中性脂肪ってどんなもの? 中性脂肪が高い方が意識するべき食事のポイントとは|管理栄養士が解説
健康診断で「中性脂肪が高い」と指摘された経験はありませんか? 中性脂肪(トリグリセリド)は、私たちの体にとって必要なエネルギー源の一つですが、その数値が高すぎると、生活習慣病のリスクが高まります。この記事では、中性脂肪とはどのようなものか、増えてしまう原因やそれによって引き起こされる病気、そして日常生活でどのようにコントロールしていくべきかについて解説します。
中性脂肪ってどんなもの?
中性脂肪とは体内に蓄えられる脂質の一種で、エネルギー源として重要な役割を果たしています。
中性脂肪は、小腸で吸収された脂肪酸や糖質、アルコールなどを材料に、肝臓や腸で合成される脂質の一種で、血液中を通じて脂肪細胞などに蓄積され、エネルギー源として使われます。脂質は1gあたり9kcalと、糖質やたんぱく質(各4kcal/g)よりも高エネルギーな栄養素で、体の主要なエネルギー源のひとつです。ただ、血中や脂肪細胞内に蓄積しすぎると様々なリスクを引き起こす可能性もあります。また、中性脂肪は脂質に限らず炭水化物やたんぱく質を摂取することでも上昇します。
中性脂肪が増える主な原因
- 糖質の過剰摂取(白米、パン、お菓子など)
- アルコールの多量摂取
- 運動不足
- 高カロリーな食事の継続
- 遺伝的要因
そのため、食事と運動を改善することで中性脂肪値の改善も見込めます。
中性脂肪が高いことで起こりうる病気
血中の中性脂肪が高い状態が続くと動脈硬化のリスクとなる上、以下のような病気の原因になります。
- 心筋梗塞:心臓の血管が詰まり、心筋が壊死してしまうリスクがある。
- 脳梗塞:脳の血流が妨げられ、脳細胞がダメージを受ける。
- 急性膵炎:膵臓の消化酵素が膵臓そのものを消化し炎症を起こす。
これらのリスクを減らすため、生活習慣の改善が必要です。
中性脂肪をコントロールするための生活習慣
中性脂肪を下げるためには、まず日々の生活習慣を見直すことが大切です。特に食事と運動は、数値の改善に大きく関わるため、積極的に改善していきましょう。
食事のポイント
中性脂肪を減らすためには、次のような食事の工夫が効果的です。
①糖質の摂取量をコントロールする
糖質は体内で中性脂肪に変換されやすいため、摂りすぎには注意が必要です。摂取した糖質は、血糖値を下げる働きを持つインスリンの効果などによって細胞内へ取り込まれエネルギー源となります。その後、余った糖質は脂肪細胞に取り込まれ、エネルギー源として貯蔵されます。
急激な血糖値の上昇によりインスリンが大量に分泌されると、余剰の糖質が脂肪酸に変換され、中性脂肪として脂肪細胞に蓄積されやすくなります。
そのため、ご飯やパン、麺などの炭水化物を多く含む食品の過剰摂取に注意し、玄米や全粒粉など食物繊維を多く含む食品を取り入れることで血糖値の急激な上昇を抑えることができます。また、ジュースやお菓子などの糖質が多い食品も要注意です。
ただし、糖質を抜いた食事をすることは他の健康被害につながるため、あくまでも適量摂取を心がけましょう。
②アルコールは控えめに
アルコールは肝臓で中性脂肪の合成を促進する上、アルコールそのものにカロリーがあり摂取エネルギー過剰になる危険性があります。そのため、アルコールは適量飲酒を守ることが重要です。
アルコールの適量は、エタノール換算で約20gとされています。これは、ビール(アルコール5%)1本(500ml)や、日本酒(アルコール15%)1合(180ml)相当です。普段からこれ以上の飲酒をしている方は、節度ある飲酒を心がけ、週に何日かは休肝日を設けましょう。
③魚を取り入れた食事をする
青魚に含まれるEPA・DHAといったn-3系脂肪酸には、中性脂肪を減らす作用があると言われています。これらの脂肪酸は、特に青魚に豊富に含まれているため、週に1〜2回、サバ、イワシ、アジなどの青魚を食事に取り入れてみるところから始めてみましょう。
また、缶詰や冷凍品を活用すれば調理の手間が減るためおすすめです。ただし、EPA・DHAを効率よく摂るためには、揚げ物よりも焼き魚や煮魚など、脂質を抑えた調理法がおすすめです。
運動のポイント
運動には、動脈硬化の予防効果や中性脂肪の減少作用などがあると言われています。そのため、以下で紹介するようなポイントを意識して、食事と同時に実践していきましょう。
①有酸素運動を取り入れる
ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、中性脂肪を燃焼させるのに適しているためぜひ取り入れましょう。
その際、1回の運動で20〜30分程度は継続しましょう。というのも、有酸素運動では、運動開始直後から脂肪も糖もエネルギー源として使われますが、運動を20〜30分以上継続することで、より脂肪が使われやすくなるとされています。
継続時間が短いと脂質の利用が見込めないため、まずは1日30分、週に3回を目標に続けましょう。
②日常生活内で活動量を増やす
中性脂肪を減少させるためには、日常生活の中で運動できるように工夫をすることも効果的です。例えば、通勤時に一駅分歩く、エスカレーターではなく階段を使う、こまめに立ち上がるなど、ちょっとした工夫でも活動量を増やすことができます。
③筋肉量を維持する
筋トレなどで筋肉量を保つことで、基礎代謝が高まり、脂質をエネルギー源として消費しやすくなります。ジムに通わなくても、スクワットやかかとの上げ下げ運動など、自宅でできる簡単なものから取り入れてみましょう。ただし、急に筋トレを始めると怪我の原因となりますので、まずは少ない回数から始めてみましょう。
まとめ
中性脂肪は、体にとって必要な栄養素でありながら、増えすぎると生活習慣病のリスクを高める原因にもなります。糖質やアルコールの摂取量など、日常的な食事の内容を見直しつつ、運動習慣を身につけることで、より効果的に数値の改善を目指していきましょう。
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