「寝汗・ほてり」は更年期だけじゃない?リンパ系の病気との違いとは|医師が解説
「寝汗やほてりがあれば、更年期」と思い込むのは危険です。医師が解説します。
「寝汗・ほてり」は更年期だけじゃない?リンパ系の病気との違いとは
「急に顔が熱くなる」「夜に寝汗で目が覚める」などの症状を自覚した時に、「更年期かも」と思っていませんか。
実は、似たような症状が“全く別の病気”でも起こることがあるのです。
更年期症状と似ていて紛らわしい「リンパ系の病気」のなかで、特に注意が必要なのが、悪性リンパ腫などの血液のがんです。
リンパは、身体の免疫機能で重要な役割を果たしていますが、その免疫機能を司るリンパも「がん」になることがあります。
リンパのがんを「悪性リンパ腫」といい、悪性リンパ腫になると身体にさまざまな体調不良を引き起こします。
悪性リンパ腫は、血液中のリンパ球ががん化する病気です。
悪性リンパ腫の場合、主にリンパ節、脾臓、扁桃腺などのリンパ組織に発生するのみならず、胃、腸管、甲状腺、肺、肝臓、皮膚、骨髄、脳を含めてリンパ組織以外の様々な部位にがん病変が発生します。
悪性リンパ腫も、ホットフラッシュや寝汗に似た症状を引き起こします。
更年期障害の寝汗は、日中のほてりと連動することが多いが、悪性リンパ腫では、夜間にびっしょり濡れるほどの汗が認められます。
ほてり・熱感についても、更年期障害は、上半身・顔が熱くなる(数分~数十分)一方で、悪性リンパ腫では、微熱が続き、全身が熱っぽくなることも考えられます。
更年期障害においては、リンパ節の腫れは基本的に起こりませんが、悪性リンパ腫の際には、首・脇・足の付け根などが腫れてくることがあります。
それ以外にも、悪性リンパ腫において、原因不明の発熱・急な体重減少が見られることもありますし、強い倦怠感が継続するケースがあります。
以下の場合には、悪性リンパ腫を疑って、血液内科など専門医療機関を受診することが重要です。
- 寝汗が夜だけに大量に出る
- 微熱が続いている
- 体重が急に減った
- 首や脇の下にしこりがある
- 更年期年齢ではない(例:30代・60代以上)など
悪性リンパ腫は、血液検査(白血球・炎症反応・腫瘍マーカーなど)、画像検査(CT、超音波、X線)、リンパ節の触診・生検(必要時)などで診断できます。
ホットフラッシュと似ているが、別物の可能性あり
「ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ、発汗など)」とよく似た症状でも、実は更年期障害ではなく、悪性リンパ腫など他の病気が隠れていることがあります。
悪性リンパ腫では、夜間の寝汗(寝巻きを濡らすほど)、原因不明の発熱、リンパ節の腫れ(首・脇・鼠径部など)、体重減少や倦怠感などのサインがでます。
それ以外にも、ホットフラッシュのような症状が出る疾患として、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)があります。
この病気では、発汗、暑がり、動悸、体重減少、手の震え、不眠、不安感などが見受けられることもあります。
また、感染症において、発熱、寝汗、体重減少、慢性的な咳、倦怠感を伴う場合もありますし、褐色細胞腫(副腎腫瘍)では、発作的な発汗、動悸、血圧の変動、頭痛などが認められます。
夜中に汗びっしょりになる、原因不明の発熱や体重減少、首や脇のしこり(リンパ節の腫れ)、ホットフラッシュの持続期間が長すぎる(数年以上)、40代未満や60代以降の発症(更年期ではない年齢)など該当すれば、単なる更年期症状ではない可能性があります。
医療機関で、血液検査(炎症反応・腫瘍マーカー・甲状腺ホルモンなど)、胸部X線・CT(リンパ節の腫れや感染の有無)、超音波検査(甲状腺、副腎など)を実施することが有用です。
まとめ
「寝汗やほてりがあれば、更年期」と思い込むのは危険です。
長引く症状や違和感がある場合は、念のため医療機関でチェックしましょう。
特に、「夜の寝汗がびっしょり」、「首にしこり」、「原因不明の微熱」などがある場合には、悪性リンパ腫などの病気の早期発見につながるかもしれません。
「ホットフラッシュだから更年期だろう」と決めつけず、持続期間や他の症状にも目を向けることが大切です。
心配であれば、早めに血液内科など専門医療機関を受診しましょう。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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