着替えが必要になるほどのひどい寝汗「盗汗」は深刻な病気のサイン?医師が解説

 着替えが必要になるほどのひどい寝汗「盗汗」は深刻な病気のサイン?医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2025-06-04

ひどい寝汗の原因として考えられる病気の原因はさまざま想定できます。なかには重大な病気が隠れている可能性もあるので注意が必要です。医師が解説します。

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「盗汗」とは?

夜中や朝方に、着替えが必要になるほど、たくさん寝汗をかくことを、「盗汗(とうかん)」と呼びます。

盗汗は、甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群、悪性リンパ腫や結核などの感染症などの疾患の症状としてみられる場合が多いといわれています。

夜中でも大量に汗をかくなど、気になる汗のかき方をする場合には、早めに専門医療機関に相談することが大切です。

通常、汗は体温調節の機能を有しています。

睡眠中も汗をかくのは自然な現象ですが、寝汗が多く寝苦しさや睡眠の質が低下する、あるいは着替えが必要になるほど、寝汗をかく場合には、何らかの病気が背景に存在するかもしれません。

実際に、盗汗という症状から、はじめて発見される病気もあり、早く専門医療機関を受診して、適切な治療を施すことで症状を改善できる場合があります。

「盗汗」は深刻な病気のサイン?

着替えが必要になるほどのひどい寝汗である「盗汗」という症状がみられる場合、さまざまな病気が原因となっている可能性が考えられます。

睡眠時無呼吸症候群

例えば、睡眠時無呼吸症候群です。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸発作を繰り返す疾患であり、主に肥満体形の方の上気道が狭窄して生じる閉塞性睡眠時無呼吸症候群のパターンがもっとも多いと考えられます。

それ以外にも、脳や中枢部位からの呼吸指令が正確に届かないことによって生じる、中枢性睡眠時無呼吸症候群の場合もあります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、無呼吸状態から、呼吸が自発的に再開される際に大きないびき音を起こして、本人は自覚がない中で、家族などにいびきや呼吸停止を指摘されてはじめて疑うケースが頻度的に多いです。

睡眠時無呼吸症候群に伴って、夜中の寝汗が増えることも考えられていて、これらの症状を放置すると、心臓病や生活習慣病など多くの疾患発症リスクが上昇する恐れがあります。

睡眠時無呼吸症候群
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甲状腺機能亢進症

また、着替えが必要になるほどのひどい寝汗を認めている際には、実は甲状腺機能亢進症(バセドウ病)が隠れている可能性があります。

この病気は、新陳代謝を調節する甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態であり、代表例として、バセドウ病があります。

甲状腺機能が過剰に亢進することで、身体の代謝が異常に活発になり、盗汗といった症状だけでなく、動悸や倦怠感など、様々な症状を起こします。

症状が長引けば、不整脈を発生して、心臓などにも負担をかけますので、早急に代謝内分泌内科などの専門医療機関で、適切に対処する必要があります。

まとめ

「よく夜中に、ひどい寝汗をかいていて、何かの病気のサインではないか」と、不安になっている方もいらっしゃることでしょう。

ひどい寝汗をかく盗汗という状態は、睡眠時無呼吸症候群や甲状腺機能亢進症など、何らかの体の病気や異変を示唆している可能性もあるため、ある程度その原因を明確にしておくことが重要です。

ひどい寝汗の原因として考えられる病気の原因はさまざま想定できますので、一概に言い切れませんが、重大な病気が隠れている可能性もあるので、普段からひどい寝汗に悩んでいる場合は早めに専門医療機関を受診しましょう。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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