5月&6月は更年期女性からの相談が増える季節|更年期症状が悪化する理由とその解決策

 5月&6月は更年期女性からの相談が増える季節|更年期症状が悪化する理由とその解決策
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高本玲代
高本玲代
2025-05-17

更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。

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5月と6月は、更年期の女性からの相談が急増する時期です。ゴールデンウィーク明けの5月後半から梅雨入り前の6月にかけて、心身の不調を訴える方が目立ちます。この時期特有の気候の変化や生活リズムの乱れが、更年期症状を悪化させる要因となっているのです。

本記事では、この時期に特に多い相談内容とその背景、そして具体的な解決策を詳しく解説していきます。更年期の不調に悩むすべての女性が、この季節を少しでも楽に乗り切れるよう、実践的なアドバイスをお伝えします。

5月・6月に更年期症状が悪化する理由

気温と気圧の急激な変化

5月から6月にかけては、気温が上昇し始める一方で、気圧の変動も激しくなります。この時期の気候には以下のような特徴があります:

寒暖差:日中と朝晩の温度差が10℃以上になることも

低気圧の通過:梅雨前線の影響で気圧が不安定に

湿度の上昇:ジメジメした日が増え始める

更年期の女性の体は自律神経のバランスが崩れやすく、こうした外部環境の変化に敏感に反応します。その結果、以下のような症状が現れやすくなります:

・頭痛やめまい

・倦怠感や疲れやすさ

・イライラや不安感

・睡眠障害

・のぼせや発汗

更年期
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生活リズムの変化

5月はゴールデンウィーク明けで生活リズムが乱れがちです。6月は梅雨入り前に気持ちが沈みやすく、以下のような要因が更年期症状を悪化させます:

休み明けのストレス:長い休暇後の仕事復帰が負担に

新しい環境への適応:4月からの新しい環境に疲れが出始める

日照時間の変化:日が長くなることで睡眠リズムが乱れる

社会的ストレスの増加

この時期は、新年度が始まって1ヶ月以上経ち、以下のようなストレスが蓄積しやすい時期です:

・職場での新しい人間関係

・子供の進学・進級に伴う親の負担増

・PTA活動や地域行事が本格化

こうしたストレスが更年期症状を悪化させる要因となります。

5月・6月に特に多い更年期相談トップ4

1. 倦怠感とやる気の低下

「5月の連休明けから、なぜか体がだるくて仕方がない」
「6月に入ると、何もする気が起きなくなる」

この時期、多くの女性が強い倦怠感を訴えます。更年期によるホルモンバランスの乱れに加え、気候の変化やストレスが重なることで、エネルギーが枯渇したような状態になります。

対策方法:

短時間の昼寝:20分程度の仮眠でリフレッシュ

ビタミンB群の摂取:エネルギー代謝をサポート

軽い運動:散歩やストレッチで血流を改善

2. 情緒不安定とイライラ

「梅雨入り前から、なぜかイライラが止まらない」
「小さなことでカッとなり、後で自己嫌悪に陥る」

気圧の変化はセロトニンの分泌に影響を与え、情緒を不安定にします。更年期のホルモン変動と相まって、感情のコントロールが難しくなります。

対策方法:

感情日記をつける:イライラのパターンを把握

アロマセラピー:ラベンダーやベルガモットがおすすめ

3. 睡眠障害

「暑くなり始めると、夜中に目が覚める」
「雨の日は寝つきが悪く、朝もすっきりしない」

5月以降の気温上昇と湿度増加は睡眠の質を低下させます。更年期のホットフラッシュ(のぼせ・発汗)と相まって、睡眠障害が悪化しがちです。

対策方法:

寝室環境の整備:温度25℃前後、湿度50~60%が理想

冷却枕の使用:頭部の温度上昇を防ぐ

就寝前のルーティン:軽いストレッチや読書でリラックス

4. 頭痛とめまい

「低気圧が近づくと、決まって頭が痛くなる」
「梅雨時はめまいがひどく、立っていられないときも」

気圧の変化は脳の血管や内耳に影響を与え、頭痛やめまいを引き起こします。更年期の女性は特にこの影響を受けやすい傾向があります。

対策方法:

水分補給:1日1.5~2リットルを目安に

カフェイン控えめ:血管収縮を防ぐ

耳マッサージ:耳たぶを軽く引っ張って血流改善

その他、湿度対策と気圧の変化対策も記しておきます。

◆湿度対策

除湿機の活用:室内湿度50~60%を維持

こまめな換気:湿気のこもりを防ぐ

利尿作用のある食品:きゅうり、スイカ、緑茶など

◆気圧変化対策

耳栓の使用:気圧変化を緩和する専用耳栓も

軽い運動:血流改善でむくみ予防

漢方薬の相談:漢方内科や漢方薬局を受診

更年期症状への具体的な解決策

1. 受診をためらわない

多くの女性が更年期症状を「我慢すべきもの」と考え、受診を先延ばしにします。しかし、適切な治療で症状の70~80%は改善可能です。

受診の目安:

→日常生活に支障がある

→症状が2週間以上続く

→自分でできる対策で改善しない

受診先の選択:

→婦人科(更年期外来):ホルモン補充療法など

→心療内科:心の症状が強い場合

→漢方内科:体質に合わせた漢方治療

「忙しいから」「大したことないから」と受診を後回しにすると、症状が慢性化する恐れがあります。5月・6月の不調が長引く場合は、早めの受診を検討しましょう。

2. 自分のペースで生活する

社会全体が活発になる春から夏にかけて、自分のペースが乱されがちです。更年期の体調を考慮した、独自のリズムを作りましょう。

ペースメイキングのコツ

→優先順位の明確化:本当に必要なことだけに集中

→スケジュールの余白:予定と予定の間に休憩時間を

→ノーと言う練習:無理な依頼はきっぱり断る

「以前はできたから」と過去の自分と比較するのは禁物です。今の体調と相談しながら、適切なペースを見つけましょう。

3. 人に頼る技術を身につける

更年期の不調期は、これまでのように一人で全てをこなすのが困難になります。周囲のサポートを積極的に活用しましょう。

頼り方のポイント:

→具体的に依頼:「手伝って」ではなく「〇〇をやってほしい」と明確に

→感謝の表明:助けてもらったらすぐにお礼を

→互助関係の構築:お互い様の精神で

家族には「更年期で調子が悪い時期がある」と事前に伝えておくと、理解を得やすくなります。

4. 出来ない自分を責めない

5月・6月の不調期は、できないことが増え、自己嫌悪に陥りがちです。自分への優しさを忘れずに。

セルフコンパッションの実践:

→自分への声かけ:「よく頑張っている」「無理しなくていい」と優しく

→小さな達成を認める:できたことリストを作成

→完璧主義の放棄:70点で良しとする

更年期は「できる自分」から「助けを求める自分」への転換期です。この変化を受け入れることが、心の平穏につながります。

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