5月&6月は更年期女性からの相談が増える季節|更年期症状が悪化する理由とその解決策


更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。
5月と6月は、更年期の女性からの相談が急増する時期です。ゴールデンウィーク明けの5月後半から梅雨入り前の6月にかけて、心身の不調を訴える方が目立ちます。この時期特有の気候の変化や生活リズムの乱れが、更年期症状を悪化させる要因となっているのです。
本記事では、この時期に特に多い相談内容とその背景、そして具体的な解決策を詳しく解説していきます。更年期の不調に悩むすべての女性が、この季節を少しでも楽に乗り切れるよう、実践的なアドバイスをお伝えします。
5月・6月に更年期症状が悪化する理由
気温と気圧の急激な変化
5月から6月にかけては、気温が上昇し始める一方で、気圧の変動も激しくなります。この時期の気候には以下のような特徴があります:
寒暖差:日中と朝晩の温度差が10℃以上になることも
低気圧の通過:梅雨前線の影響で気圧が不安定に
湿度の上昇:ジメジメした日が増え始める
更年期の女性の体は自律神経のバランスが崩れやすく、こうした外部環境の変化に敏感に反応します。その結果、以下のような症状が現れやすくなります:
・頭痛やめまい
・倦怠感や疲れやすさ
・イライラや不安感
・睡眠障害
・のぼせや発汗

生活リズムの変化
5月はゴールデンウィーク明けで生活リズムが乱れがちです。6月は梅雨入り前に気持ちが沈みやすく、以下のような要因が更年期症状を悪化させます:
休み明けのストレス:長い休暇後の仕事復帰が負担に
新しい環境への適応:4月からの新しい環境に疲れが出始める
日照時間の変化:日が長くなることで睡眠リズムが乱れる
社会的ストレスの増加
この時期は、新年度が始まって1ヶ月以上経ち、以下のようなストレスが蓄積しやすい時期です:
・職場での新しい人間関係
・子供の進学・進級に伴う親の負担増
・PTA活動や地域行事が本格化
こうしたストレスが更年期症状を悪化させる要因となります。
5月・6月に特に多い更年期相談トップ4
1. 倦怠感とやる気の低下
「5月の連休明けから、なぜか体がだるくて仕方がない」
「6月に入ると、何もする気が起きなくなる」
この時期、多くの女性が強い倦怠感を訴えます。更年期によるホルモンバランスの乱れに加え、気候の変化やストレスが重なることで、エネルギーが枯渇したような状態になります。
対策方法:
短時間の昼寝:20分程度の仮眠でリフレッシュ
ビタミンB群の摂取:エネルギー代謝をサポート
軽い運動:散歩やストレッチで血流を改善
2. 情緒不安定とイライラ
「梅雨入り前から、なぜかイライラが止まらない」
「小さなことでカッとなり、後で自己嫌悪に陥る」
気圧の変化はセロトニンの分泌に影響を与え、情緒を不安定にします。更年期のホルモン変動と相まって、感情のコントロールが難しくなります。
対策方法:
感情日記をつける:イライラのパターンを把握
アロマセラピー:ラベンダーやベルガモットがおすすめ
3. 睡眠障害
「暑くなり始めると、夜中に目が覚める」
「雨の日は寝つきが悪く、朝もすっきりしない」
5月以降の気温上昇と湿度増加は睡眠の質を低下させます。更年期のホットフラッシュ(のぼせ・発汗)と相まって、睡眠障害が悪化しがちです。
対策方法:
寝室環境の整備:温度25℃前後、湿度50~60%が理想
冷却枕の使用:頭部の温度上昇を防ぐ
就寝前のルーティン:軽いストレッチや読書でリラックス
4. 頭痛とめまい
「低気圧が近づくと、決まって頭が痛くなる」
「梅雨時はめまいがひどく、立っていられないときも」
気圧の変化は脳の血管や内耳に影響を与え、頭痛やめまいを引き起こします。更年期の女性は特にこの影響を受けやすい傾向があります。
対策方法:
水分補給:1日1.5~2リットルを目安に
カフェイン控えめ:血管収縮を防ぐ
耳マッサージ:耳たぶを軽く引っ張って血流改善
その他、湿度対策と気圧の変化対策も記しておきます。
◆湿度対策
除湿機の活用:室内湿度50~60%を維持
こまめな換気:湿気のこもりを防ぐ
利尿作用のある食品:きゅうり、スイカ、緑茶など
◆気圧変化対策
耳栓の使用:気圧変化を緩和する専用耳栓も
軽い運動:血流改善でむくみ予防
漢方薬の相談:漢方内科や漢方薬局を受診
更年期症状への具体的な解決策
1. 受診をためらわない
多くの女性が更年期症状を「我慢すべきもの」と考え、受診を先延ばしにします。しかし、適切な治療で症状の70~80%は改善可能です。
受診の目安:
→日常生活に支障がある
→症状が2週間以上続く
→自分でできる対策で改善しない
受診先の選択:
→婦人科(更年期外来):ホルモン補充療法など
→心療内科:心の症状が強い場合
→漢方内科:体質に合わせた漢方治療
「忙しいから」「大したことないから」と受診を後回しにすると、症状が慢性化する恐れがあります。5月・6月の不調が長引く場合は、早めの受診を検討しましょう。
2. 自分のペースで生活する
社会全体が活発になる春から夏にかけて、自分のペースが乱されがちです。更年期の体調を考慮した、独自のリズムを作りましょう。
ペースメイキングのコツ
→優先順位の明確化:本当に必要なことだけに集中
→スケジュールの余白:予定と予定の間に休憩時間を
→ノーと言う練習:無理な依頼はきっぱり断る
「以前はできたから」と過去の自分と比較するのは禁物です。今の体調と相談しながら、適切なペースを見つけましょう。
3. 人に頼る技術を身につける
更年期の不調期は、これまでのように一人で全てをこなすのが困難になります。周囲のサポートを積極的に活用しましょう。
頼り方のポイント:
→具体的に依頼:「手伝って」ではなく「〇〇をやってほしい」と明確に
→感謝の表明:助けてもらったらすぐにお礼を
→互助関係の構築:お互い様の精神で
家族には「更年期で調子が悪い時期がある」と事前に伝えておくと、理解を得やすくなります。
4. 出来ない自分を責めない
5月・6月の不調期は、できないことが増え、自己嫌悪に陥りがちです。自分への優しさを忘れずに。
セルフコンパッションの実践:
→自分への声かけ:「よく頑張っている」「無理しなくていい」と優しく
→小さな達成を認める:できたことリストを作成
→完璧主義の放棄:70点で良しとする
更年期は「できる自分」から「助けを求める自分」への転換期です。この変化を受け入れることが、心の平穏につながります。
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