その痛み、在宅勤務で急増した“テレワーク足”が原因かも|足の専門医が解説する脚に優しくない習慣

その痛み、在宅勤務で急増した“テレワーク足”が原因かも|足の専門医が解説する脚に優しくない習慣
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ズキズキ痛い、足指がしびれる、変形がひどい、長く歩けない...その原因は、足の「骨格」の歪みにあった!日本では数少ない足専門クリニック院長の桑原靖(くわはら・やすし)さんの著書『外反母趾と足底腱膜炎 自力でできるリセット法』(アスコム)より内容を一部抜粋してご紹介します。

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足や脚に優しくない習慣にサヨナラしよう

足に負担をかける動作や習慣を避けることも、足を守ることになります。足のために「やらないほうがいいこと」「やってはいけないこと」を知ってください。

「テレワーク足」になっていないか?

「歩く」という動作にも、人それぞれにできる限界があります。「平らな道はいいんだけど、階段を上るのがつらい」「10分や20分ならなんともないけど、1時間歩くと膝が痛くなる」といったように、足にかかる「負荷の量」と「負荷のかかる時間」が増えれば増えるほど、それぞれの限界に近づくことになります。そして限界を超えると、足に不調が出るのです。かりに都会で平均的に暮らしている人が、いきなり30キロの道のりを歩けば、健康な人でも膝や脚がダメージを受けて痛みが出るはずです。それが、負荷が限界を超えたということです。個人差はありますが、誰にでもそういう活動限界値(ボーダーライン)があります。運動不足になって、脚や足の筋肉と関節を動かさないでいると、このボーダーラインが下がってきます。それは、少し運動しただけでも限界を超えてしまうということです。そうなると、それほど動いたわけでもないのに、痛みが出てくるのです。

コロナ禍でステイホームが叫ばれた時期に、立つとふらついたり、足に痛みが出たりする人が増えました。原因はテレワーク(在宅勤務)による足の機能低下です。自宅に引きこもっていたことで、足の筋肉や関節を動かさなくなり、ボーダーラインが下がってしまったのです。たとえば、かつては一日に1万歩も歩いていた人が2000歩くらいしか歩かない生活になれば、知らず知らずのうちにボーダーラインは下がっています。これは足のトラブルを引き起こす危ない状況です。私はこれを「テレワーク足」と呼ぶことにしました。

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自分のボーダーラインが知らず知らずのうちに下がっていたことに気づくのは、ステイホームが少し緩くなり、みなさんが週に1回ぐらい出社するようになったときでした。前と同じように通勤しただけなのに、帰宅すると足が痛くなっていて、異変に気づく。それで私のクリニックに駆け込んでこられたのです。コロナ禍によるテレワークだけではありません。歳をとって筋力量が少しずつ落ちていっても、同じことになります。また、寝たきりの入院生活が長いなど、狭い空間に長く閉じこもっていれば同じことが起こります。テレワークなどの弊害は、足に限りません。体全体に影響が及びます。そして足の土台がもともと弱い人は、そのマイナスがより顕著に出やすいのです。

『外反母趾と足底腱膜炎 自力でできるリセット法』(アスコム)
『外反母趾と足底腱膜炎 自力でできるリセット法』(アスコム)
 

教えてくれたのは…桑原靖(くわはら・やすし)先生

「足のクリニック表参道」 院長。2004年埼玉医科大学医学部卒業。同大学病院形成外科で外来医長、フットケアの担当医として勤務。13年東京・表参道に日本では数少ない足専門クリニックを開業。専門医、専門メディカルスタッフによるチームで、足の総合的な治療とケアを行う。日本フットケア・足病医学会評議員。

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『外反母趾と足底腱膜炎 自力でできるリセット法』(アスコム)