超多忙!でも"二足のわらじ"をこなすコツは?スタイリストとヨガの仕事を両立する塚田綾子さんの場合
「新しいことへ挑戦したい!」「副(複)業に興味がある」そんなふうに思ったことはありませんか?生き方、働き方が多様化する一方、ネックになるのは「忙しさ」かもしれません。今回お話を伺った、塚田綾子さんは、ファッションスタイリストとして激務をこなしながら、小学生のお子さんを持つママでもあります。そんな彼女は、昨年からヨガを伝える活動も開始。忙しい毎日の中でも、自分のやりたいことを深めるコツについてお伺いしました。
朝型への憧れから、朝活ヨガをスタート
– 塚田さんはもともとスタイリストをされていますよね。
塚田さん: はい。ファッションスタイリストとして、ちょうど今年20年目になります。
– 私のイメージにはなりますが「スタイリスト=超多忙、超体力仕事」、と想像します。また塚田さんは、小さいお子さんもいらっしゃるんだとか。さらに昨年から、ヨガセラピストをはじめたんですよね。すごくバイタリティーに溢れていらっしゃいますね!
塚田さん: ありがとうございます。スタイリストの仕事は、洋服が大好きでこれまで続けてきました。やはり長く続けてると波があったり、逆にマンネリ化を感じたり。気持ち的に、他のことをやってみたいなっていう欲が湧いてきたんです。それで、20代の頃からちょこちょこ通っていて、すごい好きだなと思っていたヨガをもっと毎日続けられたら。そんなふうに思うようになりました。ただ、その当時もコンスタントに通えていたわけではなく月2、3回ペースでやっていたぐらい。毎日続けたいと心底思うようになった頃に、コロナ禍でオンラインヨガが増えていき…。それをきっかけに、オンラインクラスを探すようになりました。ネットでリサーチする中で、RYT200(※)を朝活で取得できるという情報に出会って。週5回、朝6時から1時間半を3ヶ月間続けて、取得できるというものだったので、どうせやるんだったら資格を取ろうと決意しました。
※RYT200: 全米ヨガアライアンスが認定する、ヨガインストラクターの国際資格。200時間の認定トレーニングを修了すると、RYT200として登録ができる。
– 週5回朝6時からはすごいですね。
塚田さん: そうですね。実は私、ずっと夜型のライフスタイルだったんですよ。けれど、ずっと朝型生活への憧れがあって。子どもに朝早く起こされるということはありますが、自分の意思で朝早く起きられるようになりたいという思いもありました。
– 朝活をはじめた当初は、辛くなかったですか?
塚田さん: めっちゃ辛かったです(笑)。朝早く起きるということはもちろんしんどかったのですが、朝から運動することもきつかった。出産して3年経っていましたが、しばらく定期的な運動からも遠のいていましたから。スタイリストの仕事でもちろん体力は使いますが、運動と仕事の動きとはやはり全く違いますし、そこから、子どもの世話をして、仕事をするというのは本当に大変でした。 1日の終わりには、ヘトヘトでした。
– お察しします(笑)。そこから、朝型生活には慣れましたか?
塚田さん: はい。やはり資格講座だったので、申し込む際にある程度、決意ができていたというのもあって。3ヶ月続け、無事に資格取得できました。そのおかげで、朝起きて運動するということにも慣れてきたし、しかも、それがすごく気持ち良いとまで感じるようになりました。その習慣は今も続けていて、朝6時にヨガをしてスッキリしてから子どもを送り出し、仕事をする、というルーティンを3年ほど続けています。
– 雑誌に出てくるような理想的なルーティンですね。
塚田さん: そうですね。私も最初は、そういった理想的な朝型生活への憧れからはじめましたが、今振り返ってみると、おそらく一人では到底できなかったのではないかと思います。オンラインにはなりますが、一緒に講座なりレッスンなりを受けている方々がいるからこそ頑張れてこれたんだと思います。資格講座が終わったあとも、継続コースを受け続けて、現在はプラス300時間の講座を受けて、RYT500(※)取得を目指しています。
※RYT500: 全米ヨガアライアンスが認定する、RYT200資格取得後のさらに300時間のトレーニングを修了することで取得できる、ヨガインストラクターのプロフェッショナルな資格
学びを定着させるためにアウトプットをしたくて「伝える仕事」を開始
– 講座を受けると決めた時から、教えようと思っていましたか?
塚田さん: いえ、それは全く思っていませんでした。最初は、自分でヨガの練習ができるようになったらいいな思って、本当に軽い気持ちで講座を受けはじめました。ヨガは旅行先だったりとか、出張先だったり、どこでもできるじゃないですか。自分を整えるために自分でヨガの練習ができたらいいなと思ったんですよね。また、この先年齢を重ねていった時に、周りの友達を集めて、みんなでわいわい体を動かすことができたら楽しそうと考えて。だから最初は、レッスンを開くということは考えていませんでした。
– それから、教えようと思ったのはどうしてでしょうか?
塚田さん: RYT200の講座を終えて、RYT500を受講していく中で、「これはもしかしてアウトプットをしないといけないかも?」と思うようになったんです。以前に知り合いから「インプットをしたら、アウトプットをした方が根付く」と言われたことがあったのですが、知識量が増えていく中で、それが腑に落ちました。
– アウトプットをするようになって何か変化はありましたか?
塚田さん: 人に伝える中で、気づくことが増えていきましたね。学びが深まる感覚があります。
– ヨガに限らず何事も、教科書を丸暗記しても、自分のものにはなりにくいですよね。
塚田さん: そうですね。あとは、何よりもヨガの学びを私がフィルターになって伝えることができているのは本当に嬉しいことだなと感じます。最初は、あくまでも自分の学びを深めるために教えはじめましたが、クラスを受けた方から「気持ち良かった」とか「体の不調が改善してきた」など言われると、人のために教えることへの喜びも湧いてきました。
– 現在クラスは、不定期で開催されているんですか?
塚田さん: そうですね。スタイリストの仕事も事務所には所属せずフリーでやっているで、そもそもの働き方が不定期なんです。そのため、ヨガのクラスも、自分が休めるときに来れる方を対象にやっています。あとは、月に1度公園でボランティアをやらせてもらっています。それが、結構気分転換になっていると感じますね。自分の内側を整えられている感覚があります。
– 内側を整えられている、とは?
塚田さん: スタイリストの仕事では、普段からいろんな人に会ったり洋服を触ったり、都内をぐるぐる回ったり、外側向きの意識が働いているんです。けれど、ヨガをすると自分に向き合うことができて、抽象的にはなってしまいますが、本来の自分に還ることができているという感覚があります。それを人に伝えるということをしていると、整う感じがして。すごく調子がいいですね。
2足のわらじを履くことことで相乗効果がある
– ヨガのお仕事とスタイリストという2つのお仕事をバランスよくやるために気をつけてることはありますか?
塚田さん: 一番は生活を整えることだと思っています。例えば、掃除をきちんとして、部屋をきれいに保つことや、自炊をして栄養バランスを整えること…どれもシンプルですが、身の回りのことをきちんとすることで、自分自身が整っていくと感じます。だから忙しい時こそ、掃除を頑張ったり、なるべく自炊をするように心がけています。今は便利すぎる世の中で、その便利さに頼ることももちろん時として助けになると思うのですが、日々の生活を丁寧に送ることが自分と向き合うことにもつながっていくと思います。家の中が整っていたり食べ物が整っていたりすると、すごく忙しくても、休みがなくても、意外と頑張れたりします。
– 確かに、お部屋の中が散らかっていると、自分の心の中も散らかったりしますもんね。
塚田さん: 部屋の状態が自分の心の状態に直結しているのは本当だと思います。部屋が整ってるとすごくすっきりするし、頭の中の余白ができるのを感じます。
– 2つのお仕事をされている中で、何か苦労されていることはありますか?
塚田さん: 先程も言ったように、ヨガのお仕事もスタイリストもフリーでやっているので、スケジュールは全部自分でコントロールできるので、その点では苦労はあまりないですね。一方で、自由な分、スケジュールに迷うことはありますね。
– 逆に、2つのお仕事をされていて相互作用を感じることはありますか?
塚田さん: ヨガを伝える仕事をはじめてから、決断力がついたと感じます。例えば、スタイリストの仕事で、コーディネートを組むのがとても早くなったり。ヨガで、時間の使い方や頭の使い方が変わり、迷わなくなりましたね。
– 面白いですね。スタイリストのお仕事でヨガのお仕事に影響してることはありますか?
塚田さん: やや抽象的にはなってしまうのですが、スタイリストもヨガの仕事も、感覚を使う仕事だと思うんです。スタイリストとして、洋服を組み合わせている時に使ってきた感覚が、フローを組み合わせる感覚に生かされていると思います。だから、私はクラスの前に準備はほとんどしないんですよね。毎回、クラスに来ている人たちを見て、その場で最適なフローを組むようにしています。その分、日々のヨガの練習やレッスンでは、「次はこういう流れでやってみよう」や「こういった動きがあったらいいな」など考えています。
– 確かに、体調も気分も毎日変わるもの。だから、生徒としても、"その日の私"に合わせてヨガができるというのは、理想的だなと感じます。
塚田さん: そうですね。それに、毎回同じだと飽きてしまうなと思っていて。私は、型にはまったり、すでに決まっていることが苦手なんです。そのため、その時の場と人を選んでフローは組んでいます。それができるのは、やはりスタイリストとして感覚を使ってきたおかげだと思いますね。決めるということに対しては、スタイリングもヨガも、感覚が似ている気がします。
– スタイリストの仕事に加えて、ヨガのお仕事をはじめて良かったと思うことはどんなことですか?
塚田さん: 新鮮な空気が流れるようになったと思っています。例えば、スタイリストの仕事をしていて出会わなかった方々と知り合いになれるのはとても刺激的です。ヨガをしていると、健康意識の高い方にもよく出会います。漢方茶に詳しい方や耳つぼをしている方と知り合ったり。実は、つい最近、お友達と一緒にポップアップイベントを開催したんです。ポップアップでは、ヨガだけでなく、色々な分野の方々と出会えるじゃないですか。これからは、そういった機会をさらに作っていけたらと思っています。
– いいですね。今日お話をお伺いしてて、塚田さんは何に対してもすごい前向きに取り組んでいる印象がありました。ヨガのお仕事をはじめる前からそうでしたか?
塚田さん: 前々から「何かをやってみたい」という気持ちはありましたが、実際行動に移すことを今までしてこなかったかもしれません。もしかしたら、ヨガをやりはじめて意識が変わったのか、あるいはフットワークが軽くなったのかもしれませんね。
– 新しいことへチャレンジするということに躊躇してしまうことも決して珍しくないと思うので、実際に行動にうつせるのはすごいですよね。
塚田さん: ありがとうございます。確かに私自身も、仕事(スタイリスト)と子育てと家事とで、本当に手一杯だったので、まさか自分がこんなふうに二足のわらじで活動するなんてことは想像もしていませんでした。けれど、両方の仕事をすることで、自分の中で作っていた「できないだろう」という思い込みを取っ払うことができ、やれば何でもできるんだな、と思うようになりました。
【プロフィール】塚田綾子
スタイリスト浜田英枝さんに師事し、独立。ファッションスタイリストとしての活動と並行して、ヨガセラピストとしてレッスンを行う。
インスタグラム: @ayakotsukada- SHARE:
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