「浪費メンタル」から「貯金メンタル」へ。自分軸を持って幸福度を高める節約方法【体験談】

 「浪費メンタル」から「貯金メンタル」へ。自分軸を持って幸福度を高める節約方法【体験談】
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「貯金しなければ」という思いは多くの人が持っていると思います。とはいえ、物価高は苦しいですし、日々のストレスを解消するために必要なお金もあり、節約するのに苦労している人もいらっしゃるのではないでしょうか。『貯金はこれでつくれます 本当にお金が増える46のコツ』(アスコム)の著者で、YouTubeやブログで節約情報を発信する、節約オタクふゆこさんは、元々は浪費癖があったものの、自分のメンタルヘルスに向き合い、「貯金メンタル」を整えることに成功、約4年間で資産1000万円を達成しました。本インタビューでは、貯金メンタルを持つようになるまでのことや、楽しく節約するコツを伺いました。

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他人軸ではなく「自分軸」で必要なものを考える

——ふゆこさんは節約に関して、メンタルヘルスに注目しています。以前は貯金ができなかったということですが、「浪費メンタル」だった頃から、どのように考えが変わったのでしょうか?

浪費メンタルの頃は、「このくらい買わないと自分は満足できないはず」という思い込みがありました。安くてお得感を得られるという理由で、セール品のバッグやコスメを買ったものの、実際にはそんなに使っていないことも多かったです。お金を使った割には、満足感を得られないので、欲しいものを我慢している感覚もあって、「これ以上貯金のために我慢するなんて、苦しくて絶対できない」と思っていました。

でも、「アラサーならこうあるべき」「大人の女性なら持っておくべき」」といった他人軸ではなく、「自分が何を大切にしたいか」という自分軸や自分の優先度を大切にするようになってから、「必要なはず」だと思っていたものが、自分には不要だったことに気づきました。

たとえば、私はメイクが楽しくて好きなのですが、以前は「メイク好きならデパートで高いコスメを買わなきゃいけない」と思っていて。でも、自己分析をする中で「デパコスのこのブランドが好き」というわけではなくて、メイクをすること自体が好きなのだとわかりました。最近はプチプラコスメが優秀なので、費用を抑えながらもメイクを楽しんでいます。

これは優先度の問題で、自分の使えるお金が限られている中で、高いコスメを買うことの優先順位が高いのであれば、そこにお金をかければいい。「自分はこれが好き」と思ったときに、「どう好きなのか」を掘り下げることも大事なことです。こうやって考えることを面倒に思う人もいるかもしれませんが、私は考える過程も楽しんでいます。

考える
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——書籍では、会社でのストレスが大きかったことも書かれていました。

当時働いていた会社の職場環境や人間関係が不安定で、日々ストレスを溜め、物を買うことで解消していました。何か欲しいものがあって買うというより、スッキリするためだけに、買うものを探しに出かけている側面もあるくらいでしたね。

ずっと「貯金はできた方がいい」とは思っていたものの、金融リテラシーが高かったわけでもなく、「この手取りでは無理!」と思っていたので、どうやってみんなが貯金しているのか不思議で。一方で、お金以外のことも含めて、「目の前の与えられたことを頑張っていれば、いつか報われるはず」と信じていました。だから会社の業績悪化によって、手取りが17万円まで減ったときには、「私はこんなに頑張っているのに、人生がうまくいかないのは会社のせいだ」とも思いました。

でも結局は自分でなんとかしなければ、この状況を変えることはできないのかもしれないとも気づいて。実際、実質賃金が下方傾向な状態が続いている中で、全てが労働者一人ひとりの自己責任なのかと問われると、疑問に思うところもありますが、現実問題として自分のストレスを解消するには、自分で対策するしかない。この考え方はいわゆる自己責任論とは違うものだと考えていて、私は「対策自分論」と呼んでいます。

以前は「生まれてくる環境は選べないのだから、自分でなんとかするしかない」という考え方について、「結局は自分でなんとかしなきゃいけないってすごく大変。実家が太い人は羨ましい」などと思っていました。でも、世界には「女性だから」という理由で、小学校レベルの教育が当然に受けられないような国もある。そういう点では、日本に生まれたことは運が良い。浪費メンタルだった頃の私は、自分が恵まれている点を見ようとしていなくて、視野が狭かったと思います。

対策自分論を身につけたことで、貯金だけでなく、人生がトータルで改善されました。振り返ると、できないことを誰かのせいにしようとしていた自分もいて。だから最初は職場にストレスを感じていても、転職という発想に至らなかったり、挑戦する前から無理だと決めつけてもいました。

浪費メンタルの頃は、正直、無駄遣いが多くて「バカだったな」と思います。でもストレスに対する逃げ道として、ベストともベターとも言い難いけれども、最悪の選択ではなかった。社会人になって、初めて自由に使えるお金がある程度できた時期でもあったので、そういう経験も一度してよかったとは思います。ただ、浪費期間はもう少し短くてもよかったんじゃないかなとは思いますが。

節約してからの方が満足度が高くなった

——「貯金メンタル」になってから、どう変化がありましたか?

「節約=我慢」と思っている人は多いですし、私もそう思っていたのですが、実際は節約して生活費が減ってからの方が、人生の幸福度が高くなりました。

というのも、自分にとって幸福度が高い、優先度が高いことを見極めて、それ以外のことはやらなくなった結果、好きなことにお金も時間も集中できるようになったんです。言い換えれば、節約はただお金を貯めるだけでなく、自分にとって最善の使い方を考えるということではないかと思います。

たとえば、転職後にボルダリングを始めました。子どもの頃から木登りが好きだったのと、運動にもなるので一石二鳥だなって。ジムに行くと、1回1000円くらいかかるのですが、楽しいですし、健康に対する投資だと思って、お金を使うようにしています。

お金の勉強をする中で出会った『「幸せをお金で買う」5つの授業』(KADOKAWA/中経出版)という本も私にとっては楽しく節約を続けるコツに繋がっています。その本では、モノを買うよりも、経験や時間を買うことや、他人への投資を勧めています。最初はそれで満足感が得られるのか、疑っていたのですが、やってみたら実感できて。具体的には弟にiPhoneをプレゼントしたら、すごく喜んでもらえて、家族の思い出にもなりました。

お金の使い方が変わった結果、金額に見合った価値を自分が感じられるようになって、同じ金額を支払っても、大きな満足感を得られるようになりました。その結果、ストレスが減ったことも感じています。

——将来的なことを考えたら、節約・貯金した方がいいとは思いつつも、日々の生活に疲れて、なかなか未来に意識が向けられない人もいると思います。どうやって状況を変えていけばいいでしょうか?

日々のストレスが大きいと、短期的な危機感が強くて、長期的な資産形成や、人生の幸福に目が向かない状態ですよね。だからまず、目の前の問題を解決していく作業が必要だと思います。

私の場合は職場のストレスが大きかったのですが、転職をしたことが改善の一助となりました。加えて、当時は全然運動もしていなかったですし、食事も栄養バランスをあまり気にせず、適当に食べていたので、体のコンディションも良くなかったと思います。健康を気にするようになってからは、心身ともに安定してきた感覚があります。

PMS(月経前症候群)で、生理前のイライラもひどかったので、婦人科を受診するようになったのもその頃です。検診は重視していて、歯科検診にも定期的に行っていますし、個人事業主なので自費ですが、健康診断も1年に1回受けています。私は今31歳なので、年齢的には少し早いかもしれませんが、自宅でできる人間ドックも受けています。

仕事のストレスがつらいけれど、転職までは難しいという場合は、社内で部署を異動したり、一度休職をしてみるという方法もあると思います。私はうつで休職の経験もしています。なかなか休職に踏み出せないという話も聞くのですが、精神的に参っているときに医師などの専門家に相談することは大事だと思いますし、休職制度があるのであれば、権利として、活用していった方がいい。

——ふゆこさんが休職から回復するまでの過程をお伺いしてもよろしいでしょうか?

私の場合、休職前は3時間程度しか眠れないにも関わらず、日中に眠くならない日々が続いていました。寝不足なので、体力は削られるものの眠れない・眠くないという状態で、同時に食べ物の味がわからないという異変も起きていました。ただ、仕事が立て込んでいた時期でもあったので、変なハイテンションでもあって。

とはいえ、自分でも異常な状態だとは思ったので、メンタルクリニックへ行ったら「明日から仕事を休んでください」と言われました。純粋に仕事が楽しい気持ち・疲労感・自分が担当の仕事が残っているという責任感・「このくらいで休んでいいんだ」という驚きと仕事が休めてラッキーだと思う気持ちと、色々な感情が混在したまま休職しました。でも身体に起きている状態を客観的に見れば、休むべき人が休んでいるだけですよね。それがわからなかったということは、当時の私は、自分の体調に対して、冷静な判断ができていなかったのだと思います

医師には「散歩しなさい」と言われて、正直最初は面倒だったのですが、実際にやってみたらスッキリしました。家にこもってモヤモヤしていることをずっと考えがちだったのですが、毎日散歩をすることで、どうでもいいやって思えるようにもなって、ストレス耐性がついた感覚もあります。そうやって短期的な問題の解決ができると、余裕が出てきて、長期的な課題にも向き合えるようになりました。

私の場合はFIRE(Financial Independence=経済的自立、Retire Early=早期リタイア)という夢が長期的な目標達成のためのエネルギーになりました。FIREを初めて知ったときは衝撃的でした。一生、会社員として働いて生活していくものだと思っていたので、節約・貯金して資産運用で生きていく道がある。会社をやめられるかもしれないなら、節約を頑張ってみたいという気持ちになりました。

※後編に続きます。

『貯金はこれでつくれます 本当にお金が増える46のコツ』(アスコム)
『貯金はこれでつくれます 本当にお金が増える46のコツ』(アスコム)

【プロフィール】
節約オタクふゆこ

1993年2月14日生まれ、自らを「節約オタク」と称する節約・投資系YouTuber。理系の大学院修了後に開発職として電子系メーカーに就職したものの、将来のお金に対する不安を拭えなかったことがきっかけでお金について学ぶ。その後、奨学金477万円を返済しながら1カ月10万円で生活し、年間300万円を貯金、20代で資産1000万円を達成。現在は脱サラしてフリーランス。2021年から運営しているYouTubeチャンネル「節約オタクふゆこ」は日常的な節約法のほか、投資についての動画も初心者向けに配信して人気を集め、チャンネル登録者数は53万人を超える(2024年5月時点)。
 

 

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雪代すみれ

雪代すみれ

フリーライター。企画・取材・執筆をしています。関心のあるジャンルは、ジェンダー/フェミニズム/女性のキャリアなど。趣味はヘルシオホットクックでの自炊。



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