「転倒が怖い…」1時間のウォーキングに匹敵!60代からのバランス力を高める【椅子ピラティス】


年齢を重ねて運動も外出も億劫になり、活動量が減ると筋肉量はみるみるうちに減少します。そんな悪循環を断ち切るのにおすすめなので、短時間でできて運動効果が1時間のウォーキングに匹敵する「椅子ピラティス」。ヨガ・ピラティス講師の村越美加先生が、スムーズな日常動作の要となる体幹を強くする方法をレクチャーします。
普段から適度な運動、正しい姿勢で体幹の筋力を維持
「多くの女性は40代、50代で閉経を迎えます。60代では女性ホルモンのエストロゲン分泌が止まり、そこに運動量の減少も重なって体幹をはじめ全身の筋肉が弱くなりがち。加齢によるエストロゲンの減少は避けられませんが、筋肉量の減少カーブをゆるやかにするには日常的にきつすぎない運動を続けることが大切です。
また、体幹の筋肉強化には正しい姿勢の維持が大切です。頸椎は前弯、胸椎は後弯、腰椎は前弯し、背骨が自然なS字カーブを描くのが理想的。この状態をピラティスでは『ニュートラルポジション』と言います。前後・左右・上下に偏らず、各関節が機能的に中間(ニュートラル)な位置にあると体に負担がかかりにくく、体幹が働きやすくなります」 (村越美加先生)
体幹の力で動きをコントロールし、背中でCカーブを描く
「今回紹介する『椅子に座ったCカーブ』は、上体を後ろに倒し背中で英語の『C』の字を描くエクササイズです。その際、お腹がくしゃっとつぶれるとNG。体幹を働かせるにはお腹を引き込み、背骨を長く保った状態を維持するのがポイント。まずはニュートラルポジションを作るプレワークを行い、『椅子ピラティス』の基本姿勢をマスターしてエクササイズにトライしましょう」(村越美加先生)
●ニュートラルポジションを作るプレワーク
〈やり方〉
1.脚を腰幅に開いて立つ。腰の両脇の出っ張った骨(上前腸骨棘)に両手首を置き、恥骨の前で左右の人差し指と親指を合わせ逆三角形を作る。このとき人差し指が真下に向くようにしてニュートラルポジションをとる。


2.骨盤を立たせ、鼻から息を吸って肋骨を広げる。鼻から吐いて逆三角形を小さくするイメ―ジで、下腹部の奥を収縮させてお腹を薄くする。エクササイズ中はこの状態をキープして。

NG
骨盤が前傾して胸は前に、お尻は後ろに突き出ると体幹が上手く使えない。

骨盤が後傾して背中が丸まると、体幹が使えずバランスが取りづらい。

●椅子に座ったCカーブ
目的と効果:上体の動きをお腹の深層部の力を使ってコントロールし、体幹を強化。
1.椅子に浅めに座り、座骨で座面を捉え骨盤を立てる。膝の間はこぶし一つ分開け、膝とつま先を前に向ける。体の前で両腕をクロスし肋骨に手を添える。お腹を引き込み、引き上げて、吸う息でCカーブを保てるところまで上体を後ろに倒し、あごと鎖骨の間はこぶし一つ分開ける。

ポイント

肋骨に手を添えたら、吸う息で背骨を伸ばし、吐く息でお腹を引き込んでおく。
2.吐く息で、上体が腕を乗り越える位置まで体を前に戻す。肩の力は抜き、腿のつけ根の力に頼らずお腹の力を使って動きをコントロールする。10回×2セット。

〈プロフィール〉

村越美加先生
ヨガ・フィットネス・FTPピラティスライセンス取得インストラクター、健康運動指導士、介護予防運動指導員。フィットネス運動指導歴36年。大手スポーツクラブの正社員として9年勤務しチーフインストラクターとして、エアロビクス、ヨガ、ピラティス、ボディメイクトレーニングの指導のほか、インストラクター管理、インストラクターの教育&育成業務を担当。現在はフリーランスに転向し、ヨガ、ピラティス、エアロビクス、シニアエクササイズの指導のほか、大手スポーツクラブでピラティスインストラクターの新人教育を担当。
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