1時間のウォーキングに匹敵!足首関節を伸ばしてすり足・転倒を防止。60歳からの「椅子ピラティス」


運動は面倒、歩くのは億劫…。その生活は脚力の低下を招き、あっと言う間に介護生活、なんてことも。運動嫌いの人におすすめしたいのが、短時間でできて運動効果が1時間のウォーキングに匹敵する「椅子ピラティス」。家の中で脚の筋肉を簡単に鍛えられる方法を、ヨガ・ピラティス講師の村越美加先生がレクチャーします。
脚力の維持は「日常生活でこまめに動く」を習慣に!
「閉経により女性ホルモンのエストロゲン分泌が止まり、そこに運動量の減少が重なると筋肉量は一気に減少します。何も対策をしないと、腿前の大腿四頭筋やお尻の臀筋群など大きな筋肉が集まる下半身の筋量が顕著に減り、老いは脚からと言っても過言ではありません。大腿四頭筋は体を支える重要な筋肉で、衰えるとバランスが取りづらくなり転倒リスクが高まります。
適度な筋トレを習慣できたらベストですが、難しければ日常生活の中でこまめに動くことを心がけて。駅の階段を使う、日中に太陽を浴びながら散歩をするなど、ちょっとした心がけが筋肉量の維持につながり、一生自分の脚で歩ける生活を叶えます」(村越美加先生)
足首の可動域を広げ、ふくらはぎの動きを柔軟に
「今回紹介する『椅子を使った足首・ふくらはぎストレッチ』は、加齢と共に硬くなる足首の可動域を広げる効果が期待できます。家で座っている時間が長く、体を動かさないと、関節の可動域はどんどん狭くなるばかり。足首が硬くなるとふくらはぎの腓腹筋が十分に稼働せず、すり足歩きになると転倒リスクが高まります。このストレッチは椅子の背もたれを持って行うのでふらつくことなく安全に足首可動域を広げ、ふくらはぎの柔軟性をアップできます。ぜひ試してみましょう」(村越美加先生)
●ニュートラルポジションを作るプレワーク
〈やり方〉
1.脚を腰幅に開いて立つ。腰の両脇の出っ張った骨(上前腸骨棘)に両手首を置き、恥骨の前で左右の人差し指と親指を合わせ逆三角形を作る。このとき人差し指が真下に向くようにしてニュートラルポジションをとる。


2.骨盤を立たせ、鼻から息を吸って肋骨を広げる。鼻から吐いて逆三角形を小さくするイメ―ジで、下腹部の奥を収縮させてお腹を薄くする。エクササイズ中はこの状態をキープして。

NG
骨盤が前傾して胸は前に、お尻は後ろに突き出ると体幹が上手く使えない。

骨盤が後傾して背中が丸まると、体幹が使えずバランスが取りづらい。

●椅子を使った足首・ふくらはぎストレッチ
目的と効果:足首をストレッチし、硬くなった関節の柔軟性を高める。
〈やり方〉
1.椅子の後ろに立ち、両手を背もたれに添える。右脚を一歩前に出し、左脚はかかとで床を押せる位置まで後ろに引く。

2.吐く息でお腹を引き込みながら右膝を曲げ、左足首をストレッチ。右膝は後ろ脚のかかとが浮かない角度まで曲げる。横から見たとき頭からかかとまで一直線、後ろ脚のかかとで床を押しながらゆっくりとした自然呼吸で15秒キープ。反対側も同様に。

NG
後ろ脚のかかとが床から浮いて腰が反り、重心が前に傾いている。かかとが浮くと膝が曲がり、足首をしっかり伸ばせない。

〈プロフィール〉

村越美加先生
ヨガ・フィットネス・FTPピラティスライセンス取得インストラクター、健康運動指導士、介護予防運動指導員。フィットネス運動指導歴36年。大手スポーツクラブの正社員として9年勤務しチーフインストラクターとして、エアロビクス、ヨガ、ピラティス、ボディメイクトレーニングの指導のほか、インストラクター管理、インストラクターの教育&育成業務を担当。現在はフリーランスに転向し、ヨガ、ピラティス、エアロビクス、シニアエクササイズの指導のほか、大手スポーツクラブでピラティスインストラクターの新人教育を担当。
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