【ごぼう】注意!豊富なポリフェノールを台無しにする「NG調理法」とは?管理栄養士が解説


ごぼうには、ポリフェノールが豊富に含まれています。ポリフェノールは高い抗酸化力をもつため、細胞の酸化を防いで老化を防止する効果などが期待できるのが特徴です。今回は、ごぼうのポリフェノールについて解説します。
ごぼうにはポリフェノールが豊富に含まれている

ごぼうは、ポリフェノールを豊富に含む野菜の1つです。日本人が食べている生鮮野菜のなかで、最もポリフェノール含有量が多いともいわれています。ポリフェノールは水溶性と不溶性の2種類に分類されますが、ごぼうのポリフェノールは水溶性を示すのが特徴です。主に皮層の細胞内に含まれており、高い抗酸化力があります。
ごぼうの抗酸化力で期待できる効果

ごぼうの抗酸化作用により期待できる効果は、主に以下のとおりです。
- 細胞や粘膜の酸化を防ぐ
- 老化を防止する
- 生活習慣病を予防する
酸化を防ぐはたらきで肌荒れなどを予防でき、きれいな肌づくりをサポートしてくれるでしょう。また、活性酵素のはたらきを抑えることは、動脈硬化などの予防にもつながります。
抗酸化力を保って美味しく仕上げるために気をつけるべき調理時のポイント

ごぼうに含まれるポリフェノールは熱に弱く、調理次第では抗酸化力が失われる可能性があります。また、ごぼうを調理する際は抗酸化力だけでなく、美味しく仕上げるのも重要です。ここでは、抗酸化力を保って美味しく仕上げるために気をつけるべき調理時のポイント、3つに分けてご紹介します。
➀ごぼうの切断回数は少なくしカット面積を小さくする
ごぼうを切る際は、切断回数を減らしてカットする面積をなるべく小さくしましょう。切断回数が多くカットした際に見える断面の面積が大きいほど、細胞内に含まれるポリフェノールが溶出しやすくなります。ごぼうの代表的な切り方には千切りやささがき、輪切りなどがありますが、3つのなかでごぼうのポリフェノールの溶出を防ぐのにおすすめなのは「輪切り」です。とくに、厚みをつけた輪切りは、千切りに比べて切断回数が少なくささがきに比べてカットした際に見える面積が小さいため、ポリフェノールの溶出を防げます。ごぼうを切る際は切り口に注目し、ごぼうのポリフェノールの溶出を減らす工夫をしましょう。
➁ごぼうの加熱には電子レンジを活用する
ごぼうを加熱する際は、電子レンジを活用するのがおすすめです。ごぼうのポリフェノールは50度から95度で加熱をしても維持されますが、高温での調理は、ごぼうが軟化して食感が落ちたり変色して見た目が悪くなったりなどを招きます。電子レンジ調理は、ポリフェノール量だけでなくごぼうの硬さや色を保ったまま美味しく調理することができます。また、ごぼうに含まれる水溶性のポリフェノールは、水で煮ると外に溶け出てしまうのが特徴です。そのため、鍋に大量の水を入れて煮込むよりも、電子レンジで加熱するのがおすすめです。
➂ごぼうの浸漬や茹でる際には酢を入れる
ごぼうを水に浸したり茹でたりする機会があるときは、酢を加えることでポリフェノール量の減少を抑えることができます。ごぼうには、酸化酵素であるポリフェノールオキシターゼが含まれています。ポリフェノールオキシダーゼは、ごぼうの褐色反応に関与する成分です。酸性もとではポリフェノールオキシダーゼの活性を抑えることができ、ポリフェノールの減少を防ぐことにつながります。そのため、酢の活用がおすすめです。上記の方法は、ごぼうを水に浸して水で茹でた場合や酢水に浸して水で茹でた場合に比べて、加熱後のポリフェノール残存率がよかったといった研究結果が報告されています。ごぼうのポリフェノールを効率よく摂るために、ぜひ3つのポイントを押さえながら調理してみてください!
【参考文献】
秋山聡子 池田昌代 鈴野弘子 ごぼう中のポリフェノールとミネラル量に与える調理操作の影響
ライター/菅理栄養士 山田佳奈子
約8年間保育園で献立作成や給食づくり、栄養相談に携わる。とくに食育活動に力を入れており、0歳から5歳の年齢に合わせた指導で「食を楽しく学ぶ」を大切に活動。出産を機に「食に興味をもつ子を育てる」ことをより意識し、さらに食育活動に力を入れる。アトピーや運動誘発性小麦アレルギーの発症、2年間のイギリス生活などでからだと食の関わりに関心をもつ。現在は、子育てをしながら執筆活動をメインに食と健康に関する情報を発信している。
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