「突出した才能がなくても肩を並べられる」高山都さんの生き方

――では、マラソンや料理など、続けることにおけるスペシャリスト・高山さんでも、続かなかったことはありますか？
「語学！バレエ（笑）！子供の頃にバレエに憧れて習ったのですが、発表会に出たとき、何か違うと思いました。私には向いてないなと。母も思ったみたいですよ。人よりテンポが遅れているし、娘にはバレエじゃないって（笑）。逆に少年少女合唱団は卒業まで続けました。好きの情熱を注げるものに対しては、一途に向き合います。でも、向いていないと思ったときの切り替えも大事だと思っています。」

――今、新たな“向いていること”は、何かありますか？
「良いと思ったものを広めること。私はアーティスティックなセンスはない。でも、生活に通じる良いものを、私らしく広める才能はあると思っています。」

――活動の幅もどんどん広がっている印象です。
「ありがとうございます。例えばシェフなど、何かに秀でた才能を持った人に憧れ、羨ましく思っていました。私にはコレ！って言えるものがなくて。でも19歳で東京に出てきて、やり続けてきたことを多面体にしたときに、例えばシェフにだって肩を並べられるのではないかと思ったんです。突出したひとつの面ではないけど、繋げて面積にしたら私も同じくらい大きく、広くなってきた。それも強みになるんじゃないかな。いろんなことに挑戦しながら、肩書きではなく、“高山都”で名乗っていけるようになりたいですね。」

――では最後に、最近一番笑ったときについて聞かせてください。
「この前友達と食事をしていたときに、『みや（高山さんの呼び名）って、新幹線みたいな笑顔をするよね。』って言われて大笑いしました。風を切るようなスピード感と、皆が大好きな新幹線ってことらしくて。その日は“のんちゃん”って呼ばれました（大笑）。
自然な笑顔でいれるのは、気取らず、ダメな部分も受け止めてくれる友達や家族とリラックスしているときですね。まわりの存在はとても大きいです。」

――高山さんの大きな笑顔に、励まされるファンの方たちもたくさんいらっしゃると思います。
「トークショーなどで泣き出す方もいるんです。そして嬉しそうに笑ってくれる。きっと張り詰めていた糸が、私の前で切れてしまったんでしょうね。私がさらけ出して、思い切り笑えるようになったからだと思います。連鎖していくものですよね。だから、応援してくださる方の、さらけ出せる場、発散できる場を作っていきたいと思っています。責任重大な仕事をしているんだと、改めて感じる日々です。
実は先日大阪でのイベントの前に、母から連絡があったんです。『あなたにとっては何百人に一人かもしれないけど、来てくださる方にとってはすごく大事な時間なのだから、一人一人を大事にしてね』と。その言葉に背筋が伸びました。実際に直接話ができるのは、たった1分かもしれないけど、大事にしようと思っています。」

「ヨガジャーナルオンラインの取材だから」と、最後にヨガの話をしてくれた。
「そういえば、雑誌の企画でバリに行ったんです。そこで突然アシュタンガヨガのクラスに入れられ、人生2度目のヨガ体験をしてきました。誰かと連れ立って大勢でクラスを受けるのは苦手だけど、大自然の中で木でできた小屋の中、風が吹き抜け、鳥のさえずりを聞きながら誰も知らない人とヨガをするのは、とても贅沢で良い体験でした。また自然の中に身を置き、旅先でヨガをしたいなぁ。」

インタビュー当日、お会いして早々に彼女は焦っていた。「うわ！お財布忘れた！どうしよう！」と。でもその数秒後には、「見て！」と携帯電話のケースから1万円を見つけて嬉しそうにケタケタと笑っている。その場は一気に和んだ。
まもなく36歳を迎える彼女は、多くの方がきっと“一緒に変化しながら生きている”と感じてしまう、妙に近い距離感を感じる存在だ。でも、決して手に届くと思っているわけではない。ストイックに自分を痛みつけながら美しさを増し、凛としたオーラを放ち続ける、他とは違う存在だ。これが、何者かを一言では表現できない多面体の“高山都”なのだろう。これからも、私たちが歩みを進める先々で、きっと彼女が楽しいヒントをたくさんくれるはずだ。

高山 都（Instagram ID: miyare38）
1982年生まれ。大阪府出身。ファッション誌のビューティーモデル、ドラマや舞台の出演、ラジオ番組のパーソナリティなど幅広く活動。趣味はランニングと料理。フルマラソンを3時間41分で完走の記録を持つ。自身のインスタグラムでは「#みやれゴハン」として日々のごはんを投稿している。美味しいものと音楽、お酒とランニングをこよなく愛す。

撮影協力：LAND
渋谷駅南街区エリアの渋谷川・遊歩道に面するカフェ＆ダイニング

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