「突出した才能がなくても肩を並べられる」高山都さんの生き方

 「突出した才能がなくても肩を並べられる」高山都さんの生き方
Photo by Naoki Yamashita @LAND
関早保子
関早保子
2018-11-24
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“なんとなく”が自分の20代には多かったように思います。
芯がなくて、誰かの意見に左右され、あっちに行ったりこっちに行ったり。いつも本当にお金がなくて、毎日をどう生きていくか、それしかなかった。ストレスが溜まり、どか食いをして太っていく体。高い美容器具を買ったり、下剤を飲んで痩せようとしたこともありました。たぶん空回りが多かったんだと思います。だから、人付き合いも仕事も上手くいかなかった。表面的なつながりばかりを気にして、虚勢を張っていたあの頃。(『高山都の美 食 姿2』より)

 

――2冊目の本はこんな“はじめに”からはじまりますね。女性なら誰だって経験のあることではないでしょうか。このスタートに少し安心し、一緒に歩もうと思い、高山さんのSNSを見ながら一緒に変化していくことを、ファンのみなさんは楽しんでいる気がします。
「そうかもしれません。さらけ出し、生身の部分を出していくことが私っぽいのかな。変化の行程を見せるのも、私の売りなのかもしれません。そんな気持ちになったら、世の中に出るのが怖くなくなりました。身軽になり、そして気がついたら仕事も増えて…(笑)。悩んで模索したけど、その分得られたという手応えを感じています。」

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Photo by Naoki Yamashita

――3冊目の話があったらどうしますか?
「やるとは思いますね。毎回精神的にも苦しくなるし、約4ヶ月の制作期間はやることも多くて追われます。でも、人って人生において頑張らなきゃいけない時期が何度か訪れるもの。それは学生のときかもしれないし、もっと歳を取ってからかもしれない。私にとっては、今がその頑張りどきなのだと思うと、乗り切ることができます。多分私は、気持ちの変換がうまいタイプ。実はこれは、マラソンを通じて知った変換法なんです。」

――全ては気持ちの持ちようですよね。マラソンを通じて知った変換法について聞かせてください。
「例えばフルマラソンて、30キロ地点が本当に辛いんです。体が信じられないほど重くて。そんな中、残り12キロを『まだ12キロもある』と思うのか、『12キロなんて普段練習している距離だから大丈夫!あとはいつものコースを思い出せば良いんだ。』って思うのかでずいぶん違います。マラソンは誰にも頼らずに一人でやるスポーツだから、そうやってマインドコントロールをすることが必要です。歩くのも、早めるのも、止まるのも、すべて自分次第。そうやって気持ちを変換できるようになりました。」

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早朝ランで見る贅沢な風景

――毎日走ることを、辛いと思うことはありませんか?
「あるある!もちろんあります!起きるときは、鞭打つ感じ(笑)。辛さと引き換えにする、何か楽しいことをイメージするようにしています。美味しいお酒とか。何も我慢せず、ただ得ることなんてできないし、それって人を堕落させると思います。だから走るんです。自分をあえてギリギリの状態に立たせることで、メリハリができるから。
やって悪かったことは何もありません。今日も朝5時に走りましたが、寒いし、真っ暗だし…『なんでこんな過酷なことをしているのだろう』と思うこともあります。でも、普段だったら寝ているのに、空が明るくなっていく様子を公園で眺めることができるなんて、贅沢なことだと思いませんか?『やっぱり起きてよかったな』って、しみじみ感じるんです。」

――そもそもマラソンを始めたきっかけは何かあったのでしょうか。
「2011年に香川県で行われたハーフマラソンに、仕事で参加することになったのがきっかけです。それまではプライベートでもマラソンをしたことはほとんどなかったので、まずは練習。毎日ランニングウェアに着替えて外に出たら、30分は帰らない、ということを決めました。これはマイルールなので、コンビニで立ち読みをして30分を使うのもOKなんです。走るのが嫌になれば歩いても良い。でも私はやっぱり貧乏性で、せっかく着替えたんだったら、って走ることを選ぶし、そうすると少しずつ体も慣れていって…。体も引き締まり、周りからもそれを褒められ、気がついたら10キロ走れるようになっていました。練習を始めてから、1ヶ月半〜2ヶ月くらいだったと思います。」

――その期間で10キロも!優等生だと思います。
「当時ラジオ番組を担当していたのですが、ゲストの方の新譜をiPodに入れて、よく走りながら聞いていたんです。とあるバンドのCDがすごく良くて、雪が降った数日後に、雪解けのキラキラした景色とその音楽が相まって、ノッテいたんでしょうね。もう一度聞こうと思っていたら、10キロクリア!走ろうと思っていたわけではなく、気がついたら走ってた。そのくらいが良いのかもしれません。意気込みすぎてしまうより、ちょっと気を抜いているくらいがちょうど良い。」

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Text by Sahoko Seki
Photos by Naoki Yamashita
撮影協力:LAND



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