食塩無添加=食塩ゼロじゃない?意外と知らない【塩】に関する表示の違いと塩分量|管理栄養士が解説
食塩無添加、無塩、減塩など「塩」に関する食品表示は様々あります。これらの表示をするためにはルールがあり、含まれる塩分量によって使い分けがされています。この記事では塩に関する表現方法のルールとその違いについて解説します。
「塩」に関する4つの栄養強調表示
特定の栄養素の含有量について強調する表示方法を栄養強調表示と言います。これは塩に限らずエネルギーやたんぱく質、脂質など多くの栄養素で適用されますが、塩に関する栄養強調表示は4つあります。
①含まない旨を表す表現
食品100g当たりのナトリウム含量が5㎎以下のものを無塩、ナトリウムゼロ、ノンナトリウムという表現で表すことが認められています。ナトリウム含量が0㎎という意味ではない点に注意が必要です。
②低い旨を表す表現
食品100g当たりのナトリウム含量120㎎以下のものを低塩、塩分控えめ、塩分ライト、塩分控えめという表現で表すことができます。
③低減された旨を表す表現
食品100g当たりのナトリウム含量120㎎以下、かつ比較対象品との相対差(低減割合)が25%以上であるものを塩分〇g減、塩分〇%オフ、塩分〇%カット、塩分ハーフなどという表現で表すことができます。比較対象品とは自社の類似商品や標準品などのことを言い、これらと比較してどれぐらい塩分量が低いかということを表しています。一部例外としてみそとしょうゆはナトリウムの含有量を25%以上減らすと保存性や品質の保持が難しくなると言われています。よってみそは15%、しょうゆは20%以上の相対差でも低減表示が認められています。
④食塩を含まない旨を表す表現
いかなるナトリウム塩も添加していない、かつウスターソース、しょうゆなどナトリウム塩にかわる原材料や添加物を使用していないものを食塩無添加、食塩不使用と表すことができます。これらは調味料や添加物としての「食塩」含んでいないという意味になるので、食材そのものに含まれる塩分やナトリウムは含まれている可能性があります。
「ナトリウム」「食塩」「食塩相当量」違いは?
塩に関する栄養強調表示は食品中のナトリウム量によって使い分けがされていることがわかりました。しかし栄養成分表を見てみると、「食塩相当量」という表示を見かけることが多いかと思います。ここではナトリウム、食塩、食塩相当量の3つの言葉の意味を解説します。
ナトリウムとは?
ミネラルの1種で、肉、魚、野菜などの食品本体、保存料、添加物などあらゆるものに含まれています。
食塩とは?
ナトリウムと塩素が結合した「塩化ナトリウム」を主成分とする物質のことをいいます。
食塩相当量とは?
食品中のナトリウム量を食塩量に換算したものを「食塩相当量」と言います。ナトリウム量から食塩相当量の換算は次の式に当てはめて計算することができます。
ナトリウム(mg)×2.54÷1000=食塩相当量(g)
「食塩相当量」にも注目!
一部を除いて食品表示法では「食塩相当量」の表示が義務付けられています。ナトリウムの主な摂取源は食塩、または食塩を使用した調味料です。現在の日本人の食生活ではこれらの過剰摂取によって高血圧を始めとする生活習慣病の発症が問題となっています。ナトリウム量を食塩相当量に換算して表示する理由は、生活習慣病の原因となる食塩の摂取量を各自が把握しやすくし、予防に役立てるためです。
「無添加」や「減塩」といった表示だけでは実際にどのぐらい塩分が含まれているのかは把握が困難です。塩分の量が気になる方は食塩相当量まで確認することでより自分に適した商品を選ぶことができます。健康維持のために栄養表示も活用してみましょう。
〈参考文献〉
AUTHOR
田中ひろか
管理栄養士。 保育園栄養士、ダイエットインストラクターとして食事指導とレシピ提供の経験を経て渡豪。 バイロンベイでのヨガリトリート中ベジタリアンの食生活を経験したことから、幅広い野菜の食べ方を知る。 食を楽しみながら健康的なライフスタイルを築くため、’’野菜をおいしく手軽に食べる方法’’を研究中。 現在はメルボルンに在住し、オンラインの食事指導とカフェのヴィーガン、ベジタリアンメニューの提案に携る。
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