オーガズム状態をもたらす「ASMR瞑想」体験記|脳が気持ちよくなる新感覚瞑想とは

 オーガズム状態をもたらす「ASMR瞑想」体験記|脳が気持ちよくなる新感覚瞑想とは
YJ US
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ASMR瞑想の不思議な体験

瞑想で至福の状態に到達しようと何年も熱心に努力を続けている人間として、私は自分の習慣的な瞑想のプラクティスの代わりに、毎日YouTubeでASMR動画を見るようにしたら何が起きるか、知りたくなった。いちばん最初に再生したのは『Taps for Your Naps』という動画で、ASMR darling Maria (彼女は名字を伏せることを希望している)が作成したもの。人気YouTubeチャンネルGentle Whispering ASMRのパーソナリティだ。
広告をスキップしたあとに映るのは、画面いっぱいのトルマリンのような見かけの貴石。それらがアメリカ国旗の星のようにプラスティックシートの上に列をなして並んでいる。それをピンクと白のマニキュアを施された10本の指がひらひらとやさしくなでるようにタップしていく。その音がゾワゾワさせる音を立てるのだ。こんな感じである。何とも説明しづらいあたたかな、全てを包み込む感覚が、私の頭蓋骨を飲み込む。シャンプーでマッサージされているときのような感じである。「次の動画」のお知らせに出てくる動画を見尽くしてしまうころには、私の手足は力が抜けてソファのクッションに少し沈み込んでいた。

ASMRのときの脳

とはいえ、こうした柔らかな、しかし気持ち悪いのと紙一重の「入眠お助け動画」は、いったいなぜ私たちの一部を――人口の20%と推定されている――トロトロに溶かして眠りにつかせるのだろう?いったい何が起きているのだろう?確かなことを知るためには、より神経学的な方面での研究が必要になる。だが、バイオ医薬品の研究をしている教授であるクレイグ・リチャード博士は、ASMRが、リラックスやストレスホルモンの鎮静、全面的な健康の促進などの役に立つのは、それがわれわれ人間にとって遺伝的反応としてデザインされているからなのではないか、と考えている。リチャード博士には、近日出版予定の著書『Brain Tingles: the Secret to Triggering Autonomous Sensory Meridian Response for Improved Sleep, Stress Relief, and Head-to-Toe Euphoria』があり、また博士はASMR Research Projectの共同設立者でもある。「私たちの生物学的な機能と反応のほとんどすべては、私たち人類の役に立つためのものです」と彼は言う。「ではなぜわれわれはこのような形に進化してきたのか?なぜこうなったのでしょうか?」
答えは、霊長類が基本的に自分たちの子孫を可愛がる、というところにあるかもしれない、と彼は言う。母親がぐずる赤ちゃんをあやしたり、世話したりするときに、たとえば、声の調子を落としたり、優しい眼差しを注いだり、やさしく触れたりする。これは、あらゆる仕方で「大丈夫よ」と伝えているのだ。あなたは大丈夫。「こうした動画が伝えているのも同じことなんです」とリチャードは言う。「ASMR動画は視聴者に、安心していいよ、ここにいるからね、誰も怖いことはしないよ、という信号を送っているのです。子供が膝をすりむくと、抱きしめて、声を落として、そばで見ていてあげます。私たちの脳は、こうした刺激にたいするパターン認識を備えているのです」おそらく、特定の脳内化学物質が作用しているだろう、とリチャードは言う。研究が示すところによれば、親が乳児をあやしたり、あるいは教師が気むずかしい子供をなだめたりするとき、エンドルフィン、オキシトシン(ラブホルモン)、ドーパミン、セロトニン(幸福ホルモン)、ギャバ(リラクセーションと眠さを引き起こすもの)、メラトニン(眠りのホルモン)といった「脳内物質のカクテル」が分泌されている。これらが、おそらく一緒になってASMRを喚起しているのだろう。

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Text by Lindsay Tucker
Translated by Miyuki Hosoya



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