オーガズム状態をもたらす「ASMR瞑想」体験記|脳が気持ちよくなる新感覚瞑想とは

 オーガズム状態をもたらす「ASMR瞑想」体験記|脳が気持ちよくなる新感覚瞑想とは
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熱心なファンが、すぐにYouTubeに動画を投稿した。模擬診察に、フェイスマッサージ、ポテトチップの袋をカサカサさせる音なんていうものまである。すべてに動画は、ゾンビみたいに力が抜けてリラックスできるようにということを狙って作られたもので、後にASMRという総称で知られるようになるものだった。この感覚そのものは、いまだに謎に包まれているが(この感覚が引き起こされる人もいれば、そうでない人もいるのがなぜなのかまだ誰も分かっていない)、現時点で専門家たちは、この感覚を体験できる人にとっては、ASMRは瞑想に匹敵する強力なツールになりうると言っている。シェフィールド大学による新しい研究が科学ジャーナル『PLOS One』6月号にて公表された。この研究が示すところによれば、ASMRは心拍数を落とし、皮膚のコンダクタンスレベル(これは「性的興奮」を聞こえ良くした用語で、注意力や記憶力の向上と関連している)を高めるということが明らかになった。研究者たちは、ASMRは精神的・身体的な健康にたいして実際に治癒効果を持ち得る生理学的覚醒であると決定した。抑鬱症状や、不安感、不眠や慢性痛を極小化できる可能性を秘めているという。
私は流行に乗り遅れてしまい、ASMRについて初めて読んだのは、去る2月のニューヨークタイムズ日曜版でのことだった。「The Currency of a Relaxing Sound or Tingle」と題した記事のなかで、アンドレア・マークス記者は、ある参加型の演劇的経験を通じて得られるセラピー効果について報告していた。その「演劇」では、たとえば「机の前に座り、誰かが耳元で紙をくしゃくしゃさせたり、『診察室』で化粧ブラシで顔をなでてもらったり、髪をブラッシングしてもらったりする」といった場面が設定されており、参加者は各々の設定のなかで受け身的な役、つまり、何かをやってもらう側の役として参加するのだ。
ブルックリンで、サンフランシスコのWhisper lodgeによる期間限定パフォーマンスが結成された。いま人々を夢中にさせているショーで、全国を興行中だ。このパフォーマンスではオーディエンスに1対1の親密なASMR体験を提供している。たいていは、禅的な雰囲気ただよう薄霧のなかに置かれた静かな繭から出てくるという内容。
「私たちの提供するパフォーマンスを体験したあとには、オーディエンスは自分の体のなかに何か『いいこと』が起きているのをはっきりと感じ取ることができます。けれども、私たちはこれまで、それを科学的に裏付けることができずにいました」Whisper lodgeの共同プロデューサーであるメリンダ・ラウはシェフィールド大学の発見について触れてこう述べた。それは瞑想に似ていると彼女は言う。なぜなら「私たちのパフォーマンスでオーディエンスが経験するのは注意を払うこと、意識することなんです。小さい音や、微細な感覚に集中します。そこでは非常に静かな状態で覚醒します」

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Text by Lindsay Tucker
Translated by Miyuki Hosoya



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