「食べ過ぎて気を失ったこともある」女優ケリー・ワシントンが摂食障害の過去を明かした理由
ドラマ「スキャンダル」などで知られる女優のケリー・ワシントン。過去に摂食障害を患っていたことを告白しているが、障害に苦しむ中で自殺願望を抱いていたことを明らかにした。
ケリーの回顧録『 Thicker Than Water(原題)』が出版された。彼女はその中で大学時代に発症した摂食障害について詳しく触れている。
ケリー曰く「私の体と食べ物の関係は、飢え、ドカ食い、体型への執着、強迫的な運動などによる自己虐待という有毒なサイクルに陥った」。回顧録発売前に受けたインタビューで「この虐待がまさに自分を傷つける手段になっていると自分でも感じていた。あのときの私はまるでここにいたくないと思っているようだった」「とてもつらくて、ここにはいられないという思いになるのが怖かった」。インタビュアーにそれは自殺を考えたということかと聞かれると「そう。あのときの私の行動は自分を破壊するためのものだった」と認めた。
摂食障害になりやすい人やなった人の性格を1つにまとめることはできないが、優等生タイプが多いと言われている。ケリーも自分が「いい子」で、問題があることを周囲の人に察知されないように気をつけていたと語っている。「完璧な子を演じるのが得意だった。コントロールするのも上手だった。一晩中夜遊びしてお酒を飲んだりセックスしたりしても、翌朝は大学に行っていたし成績も良かった」。
ケリーは過去にも症状を具体的に語っている。「大学の寮の部屋でこっそり丸ごとのピザやパイントサイズのアイスクリームを食べ、さらにピーナッツバターを1瓶丸ごと、フライドポテトを何箱も平らげてきた。食べ過ぎて気を失ったこともある」。食べたことを人に気がつかれないよう、ジムに行って運動していたとも。ジムに行くのも内緒だった。「図書館に行くと嘘をついてジムに行き何時間も何時間も運動していた」。嘘をつくこと、行動を人から隠すことで周囲との関係も壊れていったという。「孤独なのが非常につらかった。罪の意識や恥も意識も募っていった」。
摂食障害の人は自分の食欲、体型、食べ物の量、運動量を管理することに固執すると言われるがケリーもその通りだったという。「私は自分をコントロールする方法を知っていた。食べ物がそんな私を壊した。身体醜形症や身体嫌悪は自分ではどうしようもないもので、誰かの助けが必要だということに気がついた」。身体醜形症は実際にはない外見上の欠点、あっても些細なものに囚われ、日常生活に支障をきたすほど自分は醜いと思う症状のことである。「どうやってそれと闘ったらいいのかわからなかった」とケリーは振り返る。
セラピーなどの治療を通して克服したケリー。今はかつての自分のように「どうしたらいいのかわからない」と思っている人を助けたいという。普段は私生活を明かさない主義のケリーがあえて摂食障害について語っているのもその気持ちからだという。
摂食障害を抱える人は苦しみつつもそれを上手に隠してしまうことから、周囲が手を差し伸べるのに時間がかかってしまうと言われている。そんな人たちの心にケリーの願いが届くことを祈りたい。
出典:Kerry Washington Shares She Contemplated Suicide Amid Eating Disorder Battle
Kerry's Choice: Kerry Washington
AUTHOR
長坂陽子
ライター&翻訳者。ハリウッド女優、シンガーからロイヤルファミリー、アメリカ政治界注目の女性政治家まで世界のセレブの動向を追う。女性をエンパワメントしてくれるセレブが特に好き。著書に「Be yourself あなたのままでいられる80の言葉」(メディアソフト)など。
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