"元祖スーパーモデル"リンダ・エヴァンジェリスタが「しわが欲しい」と語る真意とエイジングへの葛藤
元祖スーパーモデルとして活躍したリンダ・エヴァンジェリスタ。現在58歳になる彼女が雑誌アメリカ版『Vogue』のインタビューでエイジングについて語った。
リンダ曰く「年を取ることは気にしていない。私たちは年を重ねることで、こうなりたいと望む自分の姿になれる。私にとってそれは長生きすること」「メイクアップアーティストのケヴィン・オークインはしわを恐れていて彼の顔にはまったくしわがなかった。でも私はしわが欲しい。額にボトックスを打っているから偽善的になってしまうけれど、年を取りたい。息子が素敵な若者に成長するのを見たい」。
この発言がファンを驚かせている。彼女は2015年に「クールスカルプティング」と呼ばれる痩身術を受け大失敗している。これは脂肪組織が他の組織に比べて低温に弱いことを利用。体を冷やすことで脂肪細胞だけを除去する。しかしリンダは逆に太ってしまった。冷やすと脂肪細胞が膨らみ広がってしまうと言う珍しい副反応が出たことが原因だった。リンダの体型は大きくはわり、ランウェイからもブランドのキャンペーンからも姿を消した。
リンダは2021年9月にSNSでそのことを告白。「施術によって永遠に姿を変えられてしまった」と描写し、施術した会社を訴えていることを明らかにした。2022年2月には雑誌『ピープル』のインタビューで告白に至った心境を語っている。「私はキャットウォークに立つのが大好きだった。今は知り合いにばったり遭遇するのも怖い。もうこれ以上恥ずかしがって隠れて生きることはもうできない。ついに告白する気になった」。7月には会社との裁判で和解。リンダはそれをファンに報告しつつ声明の中でこう語っていた。「友人や家族と人生の次の章を歩むのを楽しみにしている。この一件を過去のものにできてとても嬉しい。手を差し伸べてくれた人たちに感謝している」。
今回のインタビューで、年を取りたいと言いつつボトックスを使っていることを認めたリンダ。年齢を重ねることをポジティブに評価したいけれど、若々しくもありたいという矛盾した心境を正直に語ったことは賞賛に値する。とはいえ美容整形が原因で引きこもるほどつらい経験をしてもなお、ボトックスに頼ってしまう姿は人間が持つ美と若さへの執着を物語っているようで怖くもある。
リンダは副反応で姿が変わってしまったことを告白したのをきっかけに表舞台に復帰、ランウェイにカムバックした。リンダがスーパーモデルとして活躍していた90年代から、美の基準は変わってきている。当時に比べてより多様な美しさが評価されるべきだと考えられるようになった。「痩せている=美しい」という前時代の基準でつらい思いをしたリンダだからこそ、「人生の次の章」ではそれにとらわれない新たな美の姿を見せてくれれば説得力があったはず。そう思うのは望みすぎだろうか。
Linda Evangelista Shares First Photos of Her Body Since Fat-Freezing Nightmare: 'I'm Done Hiding'
Linda Evangelista Says She's 'Pleased to Have Settled' CoolSculpting Case After Fat-Freezing Trauma
AUTHOR
長坂陽子
ライター&翻訳者。ハリウッド女優、シンガーからロイヤルファミリー、アメリカ政治界注目の女性政治家まで世界のセレブの動向を追う。女性をエンパワメントしてくれるセレブが特に好き。著書に「Be yourself あなたのままでいられる80の言葉」(メディアソフト)など。
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