マインドフルネス瞑想の中で頭痛やイライラが生じた時の対処法|公認心理師が体験から学んだこと

マインドフルネス瞑想の中で頭痛やイライラが生じた時の対処法|公認心理師が体験から学んだこと
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石上友梨
石上友梨
2025-06-19

サイレントリトリートというものを知っていますか?瞑想に興味がある方は、サイレントリトリートという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、サイレントリトリートとは、

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サイレントリトリートとは?

サイレントリトリートでは、マインドフルネス瞑想を、沈黙の中でじっくりと実践します。「リトリート(Retreat)」とは、日常の生活空間から一歩離れ、心と体を整えるための時間を持つこと。マインドフルネスとは、「今、この瞬間の体験に注意を向け、それに気づき、評価せずに受け入れる」ことを意味します。

通常のマインドフルネス講座では、指導者による声かけや指示がありますが、サイレントリトリートでは言葉によるやりとりは最小限にとどめられ、参加者が自らの内側と静かに向き合う時間が中心になります。体験の共有も限定的であり、プログラム内容は主催者によって異なりますが、多くの場合、呼吸や歩行などに意識を向ける瞑想が行われます。

5日間のリトリート体験から気づいたこと

筆者は過去に5日間にわたるサイレントリトリートに参加したことがあります。その体験を通じて感じた、心と体の変化についてシェアさせてください。

1日目

とにかく眠く、集中できませんでした。日々の疲れが思った以上に溜まっていたことに気づきました。

2日目

歩くことや食器を洗うことなど、日常の動作を丁寧に行うこと自体が「楽しい」と感じられるようになりました。

3日目

「もう瞑想は辛いな」という気持ちが強まり、頭痛も感じました。リトリートの中盤は心理的にも身体的にも揺れやすいタイミングであると一般的にも言われています。

4日目

穏やかな気持ちで過ごし、意識せずとも自分を客観視している感覚がありました。

5日目

自分と深く向き合うには「自分への優しさ」が必要だと痛感しました。また、同じ目的を持って静かに共に過ごす「仲間」の存在が、大きな支えになることも感じました。

不調に気づいたときのセルフケア

特に3日目は頭痛やイライラを感じやすく、私自身もその渦中にありました。その時、私は「集中しなくては」と焦る気持ちや、「うまくできない自分」を責める思考にとらわれていたことに気づきました。

そこで、瞑想の姿勢から横になり、飼い猫に寄り添いながら、猫の「ゴロゴロ音」に意識を向けるという“猫瞑想”を試してみました。数十分後には、頭痛が少し和らいでいることに気づきました。

また、長時間同じ姿勢でいたことで肩こりや頭痛が生じていたこともあり、マインドフルに体を伸ばすストレッチを行いました。こうしたセルフケアが、乗り越えづらい3日目をやわらげてくれました。

キーワードは「セルフ・コンパッション」

こうした私の行動に共通していたのは、「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」です。セルフ・コンパッションとは、困難やストレスを感じているときに、自分を責めるのではなく、やさしさを向け、労わる姿勢のこと。

マインドフルネスとセルフ・コンパッションは、しばしば“コインの裏表”に例えられます。どちらか一方だけではなく、両方があってこそ、自分としっかり向き合い、心の癒しや変化につながるのです。

心はつねに変化している

リトリートでは、体の感覚だけでなく、心の状態にも丁寧に注意を向けます。たとえ毎日同じような行動をしていても、心の状態は日々、あるいは時間ごとに変わっていくものです。

その変化を、「良い」「悪い」と評価するのではなく、ただ気づき、手放していく。その繰り返しの中で、少しずつ心と体のつながりを体感として理解できるようになります。

サイレントリトリートは、言葉を介さずに自分自身と深く向き合う時間。外からの刺激が少ないからこそ、自分の内側からの気づきが得られやすくなります。そしてその気づきは、癒しの第一歩となることもあります。

さいごに

もし「必要かもしれないな」と感じたら、日本国内でも、オンラインでも参加できるサイレントリトリートがあります。興味のある方は、無理のない範囲で情報を探してみてください。自分と向き合う静かな時間が、思いがけない発見や癒しにつながるかもしれません。

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