私たちの身体はトレンドのネタではない|ヘロインチックの流行についてパーソナルトレーナーが思うこと

 私たちの身体はトレンドのネタではない|ヘロインチックの流行についてパーソナルトレーナーが思うこと
mikiko
mikiko
2022-12-04

「桃尻の次は、懐かしの”ヘロインチック”」と、90年代に流行った病的なまでの痩身トレンドを次の流行として紹介した米メディアが各方面から批判される出来事がありました。女性の身体を流行として消費する風潮のおかしな点を、ニュージーランドに拠点を置くパーソナルトレーナーが指摘します。

広告

事の発端

米メディアが「Bye-bye booty: Heroin chic is back」とSNSに投稿したことで、Jameela Jamil, Izzie Rodgers, Fearne Cottonをはじめとした女性セレブたちが猛反発しました。

ヘロインチックとは、90年代に流行った、(ヘロインを吸っているかのように)病的に痩せ細り、青白いほど色白のスタイルを指します。このトレンドは、多くの若い女性たちを摂食障害に導き、モデル業界では「痩せすぎのモデルの起用を禁止する」というルールまで生まれるほど社会問題となりました。

にもかかわらず、一部の業界ではそのトレンドを再び呼び戻そうとしているようなのです。私はこの投稿を目にした時、自身の摂食障害経験を思い出しながら「この流行で多くの人が命を落とし、その後何十年も摂食障害で苦しんでる人がいることなんて気にしないんだ...。記事がより多くの人に読まれればそれでいいんだ...。」と、悲しみと怒りの混じった感情が生まれました。

私たちの身体はトレンドのネタではない

今流行っている「桃尻」だって、どこかで誰かが作った流行です。その1つ前のトレンド、ヘロインチックの時期はローカットでヘソ出しのスタイルが流行っていました。90年代、00年代のミュージックビデオを見ると、トレンドが顕著に見えて「そういえば、あぁいうのが流行ってたなぁ」と懐かしくなりますよね。Kim Kardashianのような桃尻も、10年後、20年後には「懐かしい流行」になるのです。

今こうしている間にも、また次の流行を作り出そうと動いている人たちがいます。なぜ流行を作る必要があるのでしょうか?人は目新しいものに飛びつくからです。その好奇心を利用してお金を稼ぐことができます。トレンドとは、誰かがお金を回すために作り出すものなのです。

トレンドは数年ごとに変わります。あなたの身体は生涯で1つだけ。コロコロと変わる流行りに合わせて身体を変える必要ないのです。飽きたら捨てればいいような洋服じゃないんだから。あなたの身体をトレンドのネタとして消費する社会に慣れてはいけません。「流行にかかわらず、あなたが1番輝ける身体を探そうね」と言ってくれる環境に身を置いてください。今回声をあげたセレブたちは、そう言ってくれる社会を作ろうと立ち上がったのです。そうじゃないと、何度生まれ変わっても”理想”には近づけないから。

「極端」が「普通」になっている

私はこうしたトレンドを作る側のことまで考える機会がなかった頃、いつまでも完璧な理想の身体に近づけないで自分を責めていました。モデルみたいに恵まれた骨格で生まれなかったことを後ろめたく感じて…。完璧とはほど遠い自分の姿を恥ずかしく思っていた時期は、糖質制限やファスティングみたいな「極端なダイエット」をして、桃尻や太ももの隙間みたいな「極端なボディイメージ」を追いかけていたんです。

そういう極端なダイエットやフィットネスは、自傷行為と変わりません。こんな極端な考え方ばかりが一般的になってしまったがために、普通に栄養バランスの取れた食事は健康食と呼ばれるようになりました。「自分の個性や体質を受け入れて、自分に合った身体を目指そう」と当たり前のことを言うとボディポジティブと呼ばれるようになりました。「極端」と「普通」が入れ替わってしまってるのです。こんな社会、おかしい。人々の平凡な幸せを犠牲にダイエット業界は膨れ上がりました。

そもそもその「完璧」ってどこで誰が何のために作った理想像なの?
なんで「理想のボディ」はトレンドとして移り変わるの?
移りゆくトレンドに合わせた身体になったところで何を得るの?
自分の個性を無視したトレンドの追いかけっこで失うものは何?

こうした質問が話題にあがる機会がもっとあってもいいと思うし、あの頃苦しんでいた私にこういう問いかけをしてくれる人がいたらよかったなぁと思います。

あなたの「理想のボディ」はあなたが定義するもの

「桃尻はもう時代遅れだよ?」「その体型、あなたには似合ってないよ?」「もっと痩せてたら魅力的なのに」なんて誰かが言ってきたって、そんなの知ったこっちゃない。メディアだろうと、ファッションの専門家だろうと、フィットネスの専門家だろう、親だろうと、彼氏だろうと、関係ありません。あなたの身体の魅力は、誰かが決めていいものではありません。できると思って口出ししてくる人たちは、自分を神様か何かと勘違いをしています。(神様ですらその権利など持ってませんが)

”あなたが”あなたの魅力を決めていいんです。誰かにあなたの魅力を定義されるのが当たり前の世界では、あなたの幸せは搾取されるだけ。自分の魅力や理想の身体を”自分で”定義する事で、移りゆくトレンドに振り回されずに、まっすぐ軸の立った人生を歩んでいきたいですね。

広告

AUTHOR

mikiko

mikiko

パーソナルトレーナー|自身の失敗経験を元に個人差や体質を重視した『mikiko式フィットネス論』を提唱|身体と人生観が変わるフィットネス哲学で、一生ブレないための視野と学びを発信しています|流行を根拠と本質で斬る人| 筑波大学健康増進学修士|NZベストトレーナー入賞



RELATED関連記事