LA在住エコ活動家Natsukoさんに聞く!今日から始めたくなる、楽しくゴミを減らすアイディア
「ゼロウェイスト(ゴミを出さない暮らし)」と聞いてどんなイメージを持つでしょうか。「敷居が高そう」「何からはじめて良いか分からない」そんな声をよく耳にします。ところが実際はそこまで難しく考える必要はないのかもしれません。今回はLA在住エコ活動家のNatsukoさんにごみを減らす暮らしの楽しさや今すぐ始めたくなるアイディアを伺いました。
ゼロウェイストは自分の価値観に合った暮らし方
——ゼロウェイストを目指したきっかけを教えて下さい。
Natsukoさん(以下、Natsuko):きっかけは、子育て1年目のとある日。当時はニューヨークに住んでいて夫も仕事で忙しく、私も双子の子育てにてんてこ舞いでした。忙しさを便利さでカバーするように、使い捨ての容器に入った食べものを外で買ってくることも。だから当たり前のようにゴミ箱はすぐにいっぱいになります。そんなゴミ箱を見た時にモヤっとしたのを今でも覚えています。
その数日後、Instagramを眺めていた時「ゼロウェイスト」という言葉に出会いました。「何だろう」と興味が湧き色々調べていくと、たまたまわたしが住んでいた場所の近所にゼロウェイストのお店があったんです。アメリカでも有名なゼロウェイスト活動家の方のお店で、覗いてみたらびっくり!とても”おしゃれ”だったんです。
「ゴミを出さない」というとヒッピーなイメージがあったのですが、全くそんなことなくて…「わたしにとって理想的な暮らしってこれかも」「これならわたしもやってみたいかも」と思ったのが始まりです。
——「こんな暮らしをしてみたい」というお手本がいるとイメージしやすいですね。
Natsuko:たくさんの人が「環境に配慮したことをしてみたい」と考えていると思いますが、実際にどんなことをすればいいか指南してくれる人がいれば始めやすいですよね。
そしてそれがとても簡単なことだったり、魅力的なことだったら、「やれるかも」「やってみたい」と思うのではないかと思います。
実際に彼女のお店やSNSなどで発信していることを覗いてみたら、とても簡単にできることばかりで驚きました。
例えば、マイカップやマイお箸を持ち歩くなど…「なんだそんなことでいいのか」というものが多くって。子育てでいっぱいいっぱいだった当時のわたしは外食をすることも多かったので、まずはマイカップを持っていくことから始めました。
他にも、アメリカの大型スーパーでは当時から量り売りで購入できるスペースがありました。あるのは知っていましたがそれまでは素通りしていて…容器を持ってくるだけで、パッケージされてあるものを購入する必要がありません。
環境配慮だけじゃない?ゴミを出さない暮らしのメリット
——ごみの出る生活からごみの出ない生活へシフトしていく中で何か変わったことはありますか?
Natsuko:色々なことを気にするようになり、意識的な暮らしができるようになったと思います。
それまで環境のことを気にしたことはなくて、いつもオートマチックな選択ばかりをしていました。例えば、カフェでコーヒーを飲むのも使い捨てカップがもらえるのは当たり前でしたし。
けれどゼロウェイストを目指していると「ゴミを出さないようにするためにはどうすればいいのか?」「自分の価値観に合った暮らしをするにはどうすればいいのか」と一度立ち止まることができます。
もちろん忙しい中で、時間や労力の消費を削減するという意味では、オートマチックに便利な選択をする方が良いかもしれません。けれど、何が自分の価値観に合った暮らしなのかということが分かるようになれば、それも苦ではなくなります。
また、ゴミを減らすことって環境だけでなく、わたしたち人間の暮らしを豊かにしていくことなんだということにも気づきました。健康にも気を使うようになりましたね。すごくマインドフルになれたと思います。
——健康とゴミを減らすことの関係とは?
Natsuko:ゼロウェイストを目指すようになって、それまで耳にしなかったこと、また何となく知っていたけれどそこまで深く考えてことなかったことなども考えるようになりました。
地球で今どんなことが起きているのかという情報収集をするようになり、結局全てつながっているということにたどり着いたんです。
地球の健康が自分の健康につながっているということですね。
小さな子どもがいてもゴミを減らすための工夫
——ゼロウェイストを実践する中で苦労していることはありますか?
Natsuko:社会と関わっていく中で妥協しなくてはいけない点もたくさんあります。
特に子どものことが多いですね。学校で配られるおもちゃやペットボトルやプラスチック包装をされているお菓子があったり…けれど、これは個人の責任と言うよりも社会全体のシステムの問題です。自分でコントロールできないことを嘆いても仕方がありません。
自分の中で基準を決めてその範囲でできることをやることが大切だと思っています。
——小さいお子さんがいながらゼロウェイストを実践する工夫は何かしていますか?
Natsuko:子どもにはなるべくきちんと説明するようにしています。
まだ小さいですが「どうしてペットボトルのお水を買わないのか」など、年齢に合わせて説明すれば子どもなりに理解してくれます。
子どもたちも家の中ではゴミを出さないように心がけてくれていますし、学校でも「ゼロウェイスト」について友達に話したりしているようです。
ゼロウェイストを続けるためには?
——「つい忘れてしまう」と言う人も少なくないマイ〇〇持参。習慣化するコツはありますか?
Natsuko:自分のお気に入りのアイテムを見つけるのはおすすめです。わたしも本当に大好きなマイカップに出会えたので「これを持っておしゃれなカフェでお茶をしたい」という気持ちがモチベーションにつながりました(笑)
あとは、玄関にマイバックをかけておくのもおすすめです。マイバックの中には、マイカップやマイカトラリー、何か小さなものを買った時のために小さな巾着袋をいれてあります。玄関においておけば、必ず目に入るので忘れることはありません。
——ゼロウェイストを不便と感じることはありますか?
Natsuko:わたしは不便だとは感じていません。簡単に言えば、慣れればできるといったところでしょうか。焦る必要はないので時間をかけて自分のできることを続けていくことが大切だと思います。
完璧にやろうとするのはやはり苦しい。忙しくて毎日できないのであれば、例えば週末だけはマイカップを持ち歩くようにするなど、続けやすいことから始めるのがいいかもしれません。やり方は人ぞれぞれでいいんです。
今日からできるゴミを減らすアイディア
——ゴミを減らすためのおすすめのアイディアを初級・中級・上級者向けに教えて下さい!
Natsuko:初級の方は、よく言われているマイ〇〇を持ち歩くことから始めるのがおすすめです。わたしもここから入りましたし、今は日本でもおしゃれなマイ〇〇がたくさんありますから楽しんでできるのではないかと思います。
マイ〇〇に慣れてきたら、より意識的な暮らしをすることができるのではないかと思います。「ゴミを出さない」というマインドが強まってくる人も増えるのではないかと思いますので、例えばリサイクルしやすい素材のモノを選んで買い物をするようにしたり、循環型の暮らしを目指していけるといいのではないでしょうか。
上級者の方は、マイバックを持ち歩くことにももう慣れていると思うので更にゴミを出さないために、バルクストアやファーマーズマーケットでお買いものをするようにシフトしていけたらいいですね。日本だとスーパーマーケットでは過剰包装された食品が店頭に並んでいることが多いですよね。バルクストアやファーマーズマーケットでの買い物は、場所や時間など限定されてしまうこともありますが、上級者ともなればそうした限られた中での工夫も苦にならないと思います。
ライターの取材後記
Natsukoさんのお話を伺い、”ゼロウェイスト=難しい”というイメージがなくなりました。特に印象的だったのが「個人の責任というよりは、社会全体のシステムの問題」ということ。社会生活をしていく中で、環境活動は難しいことにたくさん直面します。けれど、できない自分を責めるよりも、できていることを褒めて、楽しんでゼロウェイストを目指していこうと思いました。ゴミを出さない暮らしを楽しんでいるなつこさんは、わたしのお手本です。
お話を伺ったのは…Natsukoさん
アメリカ・ロサンゼルス在住。アメリカ人の夫、双子との4人家族でプラントベース(植物由来)な食生活とゼロウェイスト(ごみを出さない暮らし)を目指して暮らしています。Webサイトではゴミを減らすヒントや、動物性食品(肉、魚介類、卵、乳製品)を使わない簡単、健康、美味しいプラントベースのレシピなどを公開中。Instagram
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