「初めてのヨガは苦痛だった」LA在住セレブ専任ヨガ講師RIKA KELLYがヨガを通して得たもの

 「初めてのヨガは苦痛だった」LA在住セレブ専任ヨガ講師RIKA KELLYがヨガを通して得たもの
RIKA KELLY

日本生まれ日本育ちのRIKA KELLYさんは、現在ロサンゼルス、ビバリーヒルズを拠点に、セレブヨガインストラクターとして活躍しています。RYT500、Y12SR, RESTORATIVE, PELVIC FLOOR, Prenatal yoga 指導と、さまざまなヨガインストラクターとしての資格を取得し、生まれ育った日本を離れヨガの道で活躍するRIKAさんのこれまでの人生について聞きました。

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初めてヨガをしたとき「苦痛」に感じた理由

――RIKAさんが生まれ育った環境について教えてください。

私が生まれ育ったところは、近所に住んでいるのは同じ苗字の人ばかりというくらい田舎で、とても保守的な地域でした。自由奔放な性格で好奇心旺盛だった私は、いつの頃からかその環境をすごく窮屈に感じて行くようになりました。10代の終わりから、その何とも言えない苦しさから抜け出したくて、自分探しの一人海外旅行をはじめました。学校の合間にしたアルバイトで得たお金を次の旅費に充てて海外逃亡(笑)、そんな生活。今考えると、すごく危なっかしいことをしてきたなと思います。でも当時の私には、そのくらいしか、自分の心が解放される方法がわからなかったように思います。

――その一人旅の中で、自分探しの目的を果たすことはできましたか?

自分が見つかるきっかけを感じた事が一つあります。「居場所を見つけた!」と思い、20歳のときに、大学をちょっと休学してメキシコに移住しました。休学とはいいつつ、長く住む気持ちで渡航。公的団体で、メキシコとアジアの貿易を促進する新プロジェクトを担当する仕事に就きます。ビザも降りたので、前のめりで荒々しいと形容できるほどにがむしゃらに働きました。これが自分に自信を持つきっかけを与えてくれたと思っています。

――休学していた大学を卒業後は日本で就職をされていますよね?

帰国後、大学を卒業して日本の会社に就職しました。海外事業部に配属されて、日本と海外を行ったり来たりする生活をしていました。実は、その会社で働いているときに、初めてヨガに触れる体験をしたんです。

――ヨガとの出会いは日本だったんですね!

本格的なヨガとの出会いはアメリカですが、会社の福利厚生で近所のスポーツジムに通えるというのがあり、そのジムにヨガのクラスがあったんです。

――「探していたものはこれだった!」という衝撃を受けましたか?

いえ、それが全然……(笑)。そのときに感じたのは、違和感と怒りでした。会社から徒歩3分ぐらいの場所にヨガスタジオがあったので、クラスが始まる10分前までパソコンを弾いて、そこからそのままクラスへ駆け込む形での初参加でした。「ヨガはリラックスできるらしい」っていうことだけ聞いていたのでそれだけを期待して望んだのですが、ヨガのクラスがはじまった途端、急に「深く呼吸をして~リラックス~」と言われても、心には響かないし、なかなか頭のスイッチが切り替わらない。「なんでそんなことを言われなくちゃいけないの?」って、誘導を命令のように感じたり、「これでリラックスなんてできるわけ?」とイライラしちゃって。まさかの出会いですよね(笑)。

――意外なヨガとの出会いでした。苦痛と感じたヨガが、今ではRIKAさんのライフワークになっているってすごいですよね。どのような流れで、今のようなヨガの道へ進まれたのでしょうか。

私のヨガとの本当の意味での出会いはアメリカでした。全く新しい世界で、自分で道を切り開くしかない環境にいましたから、ところどころで迷いや苦しみに遭遇していました。かといってそれにうまく対応する方法も知らない。そんな時にふと参加してみたヨガのクラスで、ヨガ哲学の話を聞いて。何か道徳というか、自分が置かれた場所を冷静に見ることができるという感覚を覚えました。動きも、必ず「あなたのペースで」と、何度も言ってもらったからそれを素直に聞いてみる。自分にチョイスを与えてくれることが心地良かった。「今日はヨガをしたいか、したくないか」を自分に聞きながら通えるようになって、どんどんヨガにハマっていきました。

――出会うタイミングやヨガの先生によって、受ける印象は全く違うんですね。

先生と自分との相性ももちろん大切だと思うのですが、私の場合、そのときに置かれている人生の場所とヨガの流れが合っていたのかもしれません。日本で最初にヨガに出会ったときの私は、まだヨガを受ける態勢ができていなかったんだと思います。

――日本ではなく、アメリカで出会ったというのも意味がありますか?

そうですね。自分の土台ができた今は「日本が合わない」とは思わないのですが、今振り返ると、もがいていたあの頃の私にとって、日本はちょっと息苦しい場所だったのかもしれません。回りに従わないで生きられる分発生してくる自己責任、そんな責任と自由のバランスを学びながら生活するというのは海外に移住したからこそ気づけたこと 。それを気づかせてくれたという意味で、アメリカでヨガと出会ったことに意味を感じます。

――RIKAさんは10代後半から自分探しをされてきましたが、ヨガに出会ったことで”自分が見つかった”と感じていますか?

見つかりつつある気がします。

海外に渡ったことではじまった、人生を自らでのみ選択していくということ。それをヨガというフィルターを通して選んできたことで、だんだん自分が欲している傾向は大体掴めてきてきているように思います。育ってきた環境の中では、自分が何をしたいかということの前に、「これをしなきゃいけない」「こうしなきゃいけない」が先行していましたが、今は、本当に望むことを真に探求し、いかにそれをバランス良く現状に当て込むかという事にフォーカス出きるようになってきているかなとは思います。

――ヨガのクラスに通う生徒という立場から、資格をとってインストラクターとして活動するようになったきっかけはなんだったのですか?

通っていたヨガクラスのオーナーに、「ティーチャートレーニングを受けてみない?」と声をかけられたことがきっかけです。費用も結構かかるし、「私が人に教えるなんて無理!」と思ったのですが、「自分のためにお金を払って追及してもいいのかも!? 」そんなセルフラブの感覚を少しずつ掴めていた頃でした。その上、人に教えるということが自分のためにもなるかもしれないという気持ちと好奇心が勝って、思いきって飛び込んでみることにしました。

――「インストラクターになることが、自分のためにもなる」というのはどういうことですか?

その当時、仕事もうまくいっていて経済的には”ほぼほぼ、満足のいく生活"をしていました。時間やお金もそこそこ不自由ない生活。好きな旅行にも定期的に行けるし、「幸せとはこういうこと」だとイメージしているものを追求して得た生活なのに、その先にあったのは実は「虚無感」でした。物質的には満たされているのに、なぜむなしいんだろうと考えたときに、日本での経験、子ども時代のことがリンクしている気がしました。心を満たすのは物質ではないという発見も、インストラクターになろうと決めたことの後押しになっていると思います。

流されるのではなく”流れに任せる”生き方を

――RIKAさんは現在、一児のママでもありますよね。ママになったことで起きた変化はありますか?

すごく強くなった気がします。なんて表現していいのかわからないけれど、内側から強さがでてきたという感じ。

「水の上でちゃんと流れるような人生を生きたい」流されるではなく、水のように流れに任せるという動きがしたいと考えています。

それに、どんなことも、軸を持ちながら流れに身を任せていたら全てがベストなタイミングで入ってくると感じています。私は今、息子という存在を得たことで、そんな生き方にチャレンジできるような気がしています。

――流れるように……。素敵な考え方ですね。ヨガを教える上でRIKAさんが大事にしていることはなんですか?

基本は、「心を整える」ということにフォーカスしています。ヨガは、目的ではなくツール。自分を知り、心と体をチューニングするための練習だと考えています。

現代人は、どうしても意識のベクトルが外に向いてしまいがち。だから、それを内側に向ける練習をする必要があります。生きていると、苦しいことは必ず起こります。苦しいことを避けるのではなく、苦しいことが起きた時にただ「苦しい」と反射的に反応するのではなく、苦しい出来事を客観的に見つめて、その上でどう反応するかを自分でチョイスする……苦しい出来事と自分の心との間にクッションを挟むようなイメージを持っていただけたらと思いますが、ヨガの練習で得られるのはこの「クッションを挟む力」だと思うんです。

ヨガのレッスンで言えば、インストラクターである私が言ったからそのポーズをするのではなく、私が言ったことを受け入れたうえで、自分の心と体の状態から、どのバリエーションでやるべきかを自分で考えられるようになるということ。自分を知るということを大事にしています。

――これまで、多くのことを経験してきたRIKAさんが、これは経験してよかったと思っていることはなんですか?

逃げないということですかね。目の前に問題が立ちはだかっても、向き合うこと。逃げるのは簡単だけど、必ず形を変えて戻ってくるんですよね。だから、ぶち当たるものがあるなら、どんなに傷ついてもそれに向き合うということを経験したのは、すごく必要な経験だったと思っています。よく「向き合うって簡単ではない」と言う方もいます。でも、一人で向き合う必要はないんです。向き合い方はそれぞれです。友人やカウンセラーといった人と話すことで向き合うことができる人もいれば、書きだすことで向き合うことができる人もいる。逃げないで、ちゃんと向き合うという姿勢を、自分にとって心地の良い形をとりながらできるということが大事だなと思います。

ヨガをしていると、普段全く気に掛けないであろう「呼吸」についての理解が深まります。 呼吸が持つ力や意味を理解すると、厳しい面に向き合いやすくもなります。その練習をするだけでも、ヨガの練習する大きな意味合いがあると思いますし、今後そんなこともクラスのなかでシェアできたらいいなと思います。

「自分らしく生きること」と「わがままに生きること」は違う

――今のRIKAさんが思う、自分を大切にする生き方に必要なことはなんですか?

固執しないことです。流れるように、自分の軸や芯を持ちつつ、心穏やかに生きること。よく「”自分の軸を持つ、自分らしく生きる”って、わがままや自己中と何が違うの」と思われる人もいるようですが、大事なのは社会や他者と調和できているかということ。自分の心と体を調和させた上で、自分も社会と調和して生きていく。それが、自分を大切にする生き方につながると思っています。

――最後に、ヨガインストラクターとしての思いを教えてください。

一人でも多くの人に、自分で自分を労り、癒すツールを持って欲しいなと思います。ヨガは私たちの心と身体に最適なものであり、健康的で調和性あるもの。それを皆さんにもぜひ試して欲しいなと思います。

私も、生徒としてまだまだ学んでいるところです。より理解を深めて、より良い自分の練習とクラスのシェア展開をしていけたらと思っています。私のヨガの学びは、まだまだ続いていきます。

プロフィール:RIKA KELLY

RIKA KELLY
RIKA KELLYさん

ビバリーヒルズを中心に、プライベートセッションを行うヨガインストラクター。クライアントの幅はハリウッドセレブからプロダンサー、妊婦からお年寄りまで多岐に渡り、クライアントの心と体に寄り添った指導に定評がある。2021年11月28日から、ヨガジャーナルオンライン公認インストラクターとしてオンラインでのレッスンがスタート!

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Text by Kahori Uehara

AUTHOR

ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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