「コンドームを持ち歩くのは”はしたない”?」コンドームへの偏見が生むデメリットとは

 「コンドームを持ち歩くのは”はしたない”?」コンドームへの偏見が生むデメリットとは
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性の悩みは、こころと身体が影響しあう問題であるにも関わらず、悩んでいても「誰にも言えない」そんな人が多いようです。SNSを中心に性の悩みに関する情報を発信する臨床心理士の西田めぐみさんが、心と性にまつわる大切なお話を連載形式で綴ります。

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コンドームを持ち歩くことについてどう思いますか?

コンドームは妊娠を目的としないセックスになくてはならないものですよね。ピルやミレーナなどの避妊方法もありますが、性感染症予防においてはやはりコンドームの装着はオススメしたいところです。

ある程度の年齢になって誰かとセックスすることは自然なことですし、その時にコンドームを使うのも同じように自然なこと。だからこそコンドームはエチケット用品と同じ感覚で持ち歩いてもいいのでは、と個人的には思うのですが、世間ではまだ「コンドームを持ち歩く=恥ずかしいこと」と捉えられてしまうことが多いようです。

コンドームに対する価値観が、性を対象とした心理士になるきっかけに 

少し話が逸れますが、実はわたしが「性の悩みを対象にした心理士」になろうと思ったのも、コンドームに対する価値観がきっかけでした。大学院生だったとき、無料配布されていたコンドームを院生同士が押し付けあって揉める、という出来事があり、その時に「コンドームを持ってるなんて、なんだか恥ずかしい」「今はパートナーがいないから持っててもしょうがない」「使いそうな人が持てばいいから押しつけちゃおう」というようなことを聞いたように思います。学生といっても大学院生ですから、みんな20歳を優に超えています。そんな年齢でもコンドームは恥ずかしいと茶化されるようなものなのか…と30歳を過ぎていた私はカルチャーショックを受けたことを覚えています。

私自身、性について悩むこともあったので、心理士はどんな困りごとも一緒に考えていく立場として、性の悩みやそれに伴う知識も持つべきなのではと考えるきっかけになりました。

コンドームに対するネガティブな価値観が生むデメリット

さっそく話が脱線してしまいました。改めて、コンドームを持ち歩くことについて、みなさんはどんなふうに思いますか?性のお悩みをお聞きする中でよく耳にするのが、「恥ずかしい」「すごくセックスしたいんだと思われそう」という意見。このような考えや価値観をもつことで、どんなデメリットがでてくるでしょうか?

①いざという時にない

シンプルにまずはこれ。ラブホテルなら置いてありますが、お互いの自宅や普通のホテルでは自分で用意しないといけません。「その時に用意すればいいんでしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、“いざ”というときはいきなり来ます。当たり前のように常備しておいて損はありません。むしろ得です。

②セックスに対するプレッシャーが生まれる

「コンドームを持っている=すごくセックスしたい人」という思い込みがあることで、相手がコンドームを持っていることをプレッシャーに感じる人もいるようです。適度なドキドキはスパイスになりますが、大きすぎるプレッシャーはストレスになります。

《パートナーやデートの相手がいる人は、コンドームを持っているのがエチケット。》そんな考えが当たり前になれば、「え、コンドーム持ってるの?なんかすごいやる気なんだね」なんて思わなくなる……はず。しかも悲しいことに、これは女性がコンドームを持っている場合に思われることが多いんですね。女性が持っていたっていいです。というか、持ちましょう。自分の身体を守るため、お互いの未来を守るためにも。

③コンドームに対する興味をもちにくい

以前のコラムでもお伝えしたとおり、コンドームには形・素材・ゼリーなどいろんな種類があります。人によって合うもの合わないものもあれば、パートナーによってそれが変わることもあります。でも合うか合わないか、というのは意識して比較しないと、“今日はいつもより痛くなかったけどなんでだろう・・・ま、いいか”と意外と気付かずに通りすぎてしまうことも。コンドームに興味を持つことでセックスはもっと充実しますし、持ち歩くことでコンドームをより身近なものにしてもらえたらと思います。

コンドームを生理用品のように扱おう

そんなふうに言われても、やっぱりコンドームを持ち歩くなんて恥ずかしい!と思う方もいるかもしれませんね。でもコンドームは生理用品と同じような扱いでいいんじゃない?と私は思います。生理じゃなくても、生理用品をポーチにいれている女の子は多いと思うのですが(いつ来るかわからない時もありますしね)、そんな感じでいいんじゃないでしょうか。《今は使わないけど、いつ使う時が来るかはわからない。だから持っておこう。》 もちろん男性もですよ。

できれば潤滑剤も一緒に

コンドームとセットで持ち歩きたいのが潤滑剤(膣にいれていいもの)です。最近はパウチやスティックのものなど持ち運びが簡単で、しかもおしゃれでかわいいものがとっても多い。ゼリーが多めについているコンドームもありますが、潤滑剤もセットで使ってもらえると痛みをさらに軽減することができます。もちろん女性が十分潤っている時は使わなくていいけれど、これもコンドームと同じで、「今は使わないけど、いつ使うときが来るかはわからない。だから持っておこう」の精神です。

最後に

コンドームを持ち歩くことに対する価値観はすぐには変わらないかもしれません。でもこうして発信することで、「コンドームってむしろ持ってていいんだ、持ってるのが当たり前なんだ」という方が少しずつでも増えるといいなと思います。ぜひこの記事について誰かと話したりシェアして下さるとうれしいです。《コンドームを持ち歩くって恥ずかしいことじゃないよ、むしろエチケットだよ》そんな価値観を一緒に広めていきましょう。

※持ち歩くときは、コンドームが傷つかないような容器にいれてくださいね(財布のなかに入れるのは厳禁!)
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AUTHOR

西田めぐみ

西田めぐみ

臨床心理士 / マインドフルネス認定講師。性のお悩みについて臨床心理士の視点から発信、カウンセリングを行う。オンライン心理カウンセリング「amariカウンセリングルーム」主宰。



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