私が「死ぬまで面白くありたい」と思う理由|女優・藤井美穂の生きる道
ハリウッドで俳優&プラスサイズモデルとして活動、SNSを使ってボディポジティブを発信するアクティビストでもある藤井美穂さん。彼女が今考えていることを、飾らない言葉で綴るコラム連載。
コラム前編で「世界で一番の美人より、世界で一番面白い人になりたい」と思う理由を綴りました。その原体験とも言える、子供時代から今に至るまでのことについてもう少し詳しくまとめたいと思います。
特別美しくないことに気づいた私は笑いという武器を手に入れた
スーパー戦隊ショーに行って、中盤の悪役が会場の子供たちを仲間に入れようとするシーンでは必ず誰よりも早く大きな声で手を挙げるーーどこに行っても選ばれる目立つ大きな声で、近所で有名な子供になった私。
そういう性格だと自然と”劇団”や”芸能界”に興味が湧いてきてしまうもので、子供の頃は「劇団ひまわり」と「モーニング娘。」に憧れていました。
今思えば、この"目立つことへの異様な執着"は、私の特性でもあるADHDから来ていたのだなと思います。ADHDは常にアドレナリンがうまく機能していないと考えられており、私の場合は、目立つときに出るアドレナリンに病みつきになっていたのだなぁと。
今でもそうです。だからこんな仕事をしています。本番に力を発揮できるタイプなのも、目立つときに出るアドレナリンのおかげで脳がめちゃくちゃアクティブになってるから。観客が多ければ多いほど、いい仕事ができる(もちろん死ぬほど練習したという前提ですが)目立ちたがり屋も結構役に立つのです。
しかし物心ついたころに「自分は”選ばれた”人間ではない」と気づいてしまいます。自分の容姿は特別美しいわけではないと気付いたのです。
幼稚園くらいの頃から、劇の発表会などで特別な役につく子たちをみて「自分はあの子ほど美しくないのだ」と気づいていました。そんなに早くから気づいて傷つかなくてもよかったのに、と今になって思いますが、やたらマセた子供だったのです。
美しい子が得る周りからの関心が羨ましくて羨ましくて。私の欲しいものは「人気」だったので、美しくなかった私は他のものでなにか人気を得る方法はないかと模索し、そこから自然と「笑い」を武器にすることを覚えました。
父がお笑いが大好きで、毎年M1を見て審査員のように採点するような人。だから、笑いは身近にありました。しかし日本でお笑い芸人になる勇気はありませんでした。なぜなら、私が日本を発った当時、女芸人は「女を捨てる」「自分の容姿を笑いにする」スタイルが割と主流とされていて、そんな風潮の中で「私がお笑い業界を変える!」と言い切れるほど自分を信じることもできず、日本でお笑いをやろうとは到底思えませんでした。
近年、「あの頃、自分を傷つけて笑いをとっていた」とカミングアウトした女芸人さんを何人か見ることがあり、心救われたところもあります。私も知らず知らずのうちにそれを見て傷ついていたのだなと。
AUTHOR
藤井美穂
女優、コメディアン、プラスサイズモデル。 ハリウッドで国際派女優を目指し奮闘中。その傍ら、プラスサイズモデルとして、インスタグラムでインフルエンサー活動も行っている。インスタグラムは現在6万人のフォロワーが、twitterには2万人のフォロワーがいる。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く