【「妊娠力」を高める自然療法】妊活に役立つアーユルヴェーダの教え~メンタル編~
妊娠や不妊について学んだ記憶はありますか? この連載では、不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ、また妊活ヨガセラピストとして活動するわたなべまさよさんが、妊娠を望んでいる人が知っておきたいことや不妊治療の現状を連載形式で綴っていきます。いつかお母さんになりたい人はきちんと知ってこれからのライフステージをデザインしてゆきましょう。
赤ちゃんを授かりやすい体と心になるためにアーユルヴェーダでできること【メンタル編】
日本で年々増加傾向にある「不妊」。不妊かも?と疑い、何らかの不妊治療・検査を受けたことがあるカップルは5.5組に1組、不妊に悩んだことがあるカップルは3組に1組と言われています。
赤ちゃんがほしいと望んだときに授かれるようアーユルヴェーダ的妊活について、アーユルヴェーダやヨガを長年、研究、実践されている西川眞知子先生に伺いました。
「食事」「ボディケア」「メンタル」をテーマに3回シリーズでお伝えし、今回は最終回メンタル編です。
アーユルヴェーダってどんなメソッド?
アーユルヴェーダを知っているという人は増えてきましたが、多くの人は額にオイルを垂らす「シロダーラ」や「エステ」を思い浮かべるようです。ですが、それはほんのごく一部。アーユルヴェーダは体や心、そして日常生活などの幅広い情報を、長い時間かけて経験を積み、実践され、まとめられてきたものなのです。
自然の力を味方に「妊娠力」を高める
私たち人間は地・水・火・風・空という五つの自然の力からできています。人間も取り巻く環境もみな自然。なかなか自然を感じにくくなっている今だからこそ、もう一度「自然の豊かさが自分」だと感じてみてはいかがでしょうか。
- 地に足ついて生きることかもしれないし
- 水のようにさらさらと流れることかもしれないし
- 火は太陽のように生き生きと燃えることかもしれないし
- 風のようにいろんなものを心地よく吹かせることかもしれないし
- 空間は心地良いゆったりしたスペースかもしれません
まずは自分を見つめ、自然の中の何を一番忘れちゃったかな?ということに気づくことから。そして健康に目を向け、本来持っている妊娠する力を高めていきます。
アーユルヴェーダではこの五つの組み合わせを三つの体質「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」に分類します。
アーユルヴェーダ的に妊娠しづらい体と心とは?
現在の日本の環境は殺伐としていて「風」が増加傾向。体は冷えて乾いた状態になりやすくなっています。赤ちゃんができないと追い詰められたり焦ったり……。心の状態は体に影響します。焦りは火が増え、不安は風が増えてしまいます。何とかして妊娠したいからゆったりしなきゃ!リラックスしなきゃ!とつい妊活を「仕事」にしてしまいがち。かえって妊娠を遠ざけてしまっているかもしれません。
では、どのようにバランスすればよいか、心の面から見ていきましょう。ところで「ゆったりする」って何でしょう?ゆったりするとは、気持ちがよくて、リラックスできて、自分が戻ってきた感じ。あったかい潤いのある心と体の環境づくりを自然に委ねられながらできるといいですよね。
脳を休めてリラックス
先ほどのシロダーラですが、なぜ額にオイルを垂らすかというと、心配や不安になったとき眉間にシワを寄せませんか?アーユルヴェーダではツボのようなポイントのことを「マルマ」といいます。眉間は非常に優れたマルマで、ここにオイルを丁寧に繊細に適量垂らし続けることで、その奥にある脳をリラックスさせていきます。まどろみの中、緊張がほぐれて心配ごとから解放してくれる優れた方法です。
不安を感じたときに額に手を当ててゆっくり呼吸をする、これもすぐに実践できるアーユルヴェーダのひとつの方法です。
パートナーの呼吸を感じる
パートナーと背中合わせになり、呼吸を感じることもおすすめです。お互いの呼吸を感じ始めると、最初は息や背中のふくらみが全然違っています。でも、続けていくとびっくりするくらい同調してきます。お互いの皮膚感覚や温もり、呼吸がひとつになる感覚です。背中合わせになるだけでも何かを感じ取れます。何を感じるかな?とうところで止めてもいいですし、ふだんは言えないことを語ってみたりするのもいいですね。
価値観にとらわれない
そして、赤ちゃんができるということも自然の摂理だと思うんです。赤ちゃんをほしいと願っても、もしかしたら赤ちゃんより他のことを今回の生きるテーマとして学んだ方がいいという人もいるかもしれません。人と比べるのは戦っているということですし、人と比べても何の意味もない。みんな違ってみんないい。人生は経験するためで、自分は自分の素敵な生き方を、この人生に発見するためにあるんじゃないかなと思います。価値観にとらわれ過ぎず、自然を感じ、自分の軸を思い出してみてはいかがでしょうか。
アーユルヴェーダ的妊活のポイント<メンタル編>まとめ
- ・ 自分を大切にする
- ・ のんびりできる自分とパートナーとの時間を大切にする(豊か・温かい・ホッとできる)
- ・ 「風」を増やすような忙しい・慌ただしい・殺伐とした思いはいったん脇に置いておく
- ・ 調和・バランス・愛・優しさ・温かさ・豊かさ・豊潤・ゆとりなどを味方にする
- ・ 思いにはユーストレス(よいストレス)とディストレス(わるいストレス)があり、無理・頑張る・辛抱・諦めなどマイナスと感じることと、戦う・競う・ダメ・できないなどはディストレスとなる
- ・ 呼吸法・瞑想法などで心を落ち着かせる
お話しを伺ったのは……西川眞知子先生(アーユルヴェーダ&ヨーガ研究家)
株式会社ゼロサイト代表。アーユルヴェーダの基礎からインストラクターを目指す方向けに、より実践的な講座を複数開催。著書に「これ1冊できちんとわかるアーユルヴェーダ」「ヨガの効果がアップするなりきりヨガ」他多数。
AUTHOR
わたなべまさよ
不妊ピアカウンセラー・ヨガ講師・不妊体験者を支援するNPO法人Fineスタッフ。長期の不妊治療で体と心のバランスを崩したときに毎日実践したヨガで回復。その後妊活をサポートする側にシフトし、自治体、病院などで妊活講座の講師やヨガとカウンセリングを併用したヨガセラピーを行っている。
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