【練習法マンネリ化していない?】ヨガ指導者のための「ポーズをうまく並べるシークエンス」組み立て方

 【練習法マンネリ化していない?】ヨガ指導者のための「ポーズをうまく並べるシークエンス」組み立て方
Ian Spanier

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私は物心ついたときからずっと自分をヨギだと思っている。成長するにつれて、遊び場で過ごす時間よりもアーサナをする時間のほうが長くなっていった。私自身はコロラド州ボルダーで育った。両親は、ニューヨーク州北部からインドまで、世界各地で瞑想やバクティヨガを行っているスピリチュアルな共同体に属していた。幼い頃の記憶といえば、マントラを唱えたり瞑想をしたり、時にはポーズを練習したりといったことがほとんどだ。
14歳からアシュタンガヨガアイアンガーヨガアヌサラヨガを深く探究するようになり、2003年には自らのヨガスクールを設立するに至った。このヨガスクールでの指導に対する考え方は、アライメントを詳細に定めることと、ヴィンヤサの理論を用いて理論的にシークエンスを組み立てることの2点が特徴である。私自身がきわめて体系的な方法でヨガを学んできているため、私のスクールではポーズの組み合わせを固定することも、アライメントについて特定の合図を出すことも求めていない。このことを話すとよく驚かれる。私のスクールでは、妻のトレーシーと私が考案したマゼメソッドを用いて、指導者と生徒自身がそれぞれの固有の体に合った動きを見つけるのを助けている。特定のポーズやシークエンスに体を合わせようとはしていない。
マゼメソッドでは、クラスを安全に運営するために、解剖学を丁寧に学び、理にかなったシークエンスの組み立て方を習得する。その一方で、生徒たちには疑問や探究心をもってヨガに取り組んでほしいため、ワークショップやトレーニングにヨガ哲学も組み込んでいる。

ポーズをうまく並べよう

順番に並べられたポーズはクラスの地図だと考えよう。
この地図は目指している方向性に応じて変わってくる。指導者の能力または生徒のレベル、緊張をゆるめるのか体を活性化させるのかというようなその日のクラスの目標など。
指導者がクラスで用いるシークエンスは、さらに複雑な動きを学ぶうえでの基盤となる。
シークエンスを構成するときには、以下のことを考えよう。

筋肉の働きを体に記憶させるのと同時に、自信を高めるうえでかぎとなる動きを、シークエンスの最初から組み込む。これは後半で難しい動きに挑戦するときに助けになる。今回紹介するシークエンスでは、ヴィーラバッドラーサナⅢ(戦士のポーズⅢ)にチャトランガダンダーサナ(四肢で支える杖のポーズ)の腕の動きを加えることによって、その姿勢で上半身を働かせる練習ができる。また、後ろの脚を上げて活性化させることによって、ピークポーズである(今回の最も難度の高いポーズでもある)エーカパーダカウンディニャーサナⅡ(賢者カウンディニャに捧げるポーズⅡ)に向かって準備を進めていく。

●よく知られたポーズや動きを先に入れて、あまり馴染みのないポーズを後に行うようにする。

●(戦士のポーズⅠのような)上半身が左右対称のバランスポーズから、(戦士のポーズⅢのような)安定性が問われる非対称のポーズへと進めていく。こうすると安定性の高いポーズから低いポーズへと移っていくことができる。

●構造的な形を繰り返すことによって、その形に体を慣れさせて、さらに難しいポーズに準備できるようにする。今回のシークエンスでは、9番目のスプタパダングシュターサナ(横たわった足の親指をつかむポーズ)の中心となる動きが、ピークポーズによく似ている。その動きを仰向けの姿勢で行っているわけだ。

●重要な動きは簡単なポーズで定着させたのち、複雑なポーズのなかで繰り返すようにする。プロップを利用するとその移行がうまくいく。次ページのチャトランガのバリエーション(体をスライドさせて空中で動かすポーズ)では、ピークポーズに向けて体幹と肩の働かせ方を学ぶことになる。

●クラス全体の時間の3分の2から4分の3のところにピークポーズを配置する。この時点では、体の準備はできているがまだ疲れすぎてはいない。

シークエンスの終盤には、体重を支えて収縮させるポーズによって短くなっている筋肉を伸ばすポーズを行う。シークエンスの始めのほうに可動域が広い非対称のポーズを入れた場合、シークエンスの終盤では可動域が狭い左右対称のポーズを優先させて、体を再び床にしっかり下ろし、伸ばした部分のバランスをとるようにする。

初心者への3つのアドバイス

1⃣ 失敗することを自分に許そう。ポーズをしているときに生じることは、何ひとつ間違いではない。それは情報である。

2⃣ 完璧さを求めずに前進することを目指そう。進んで試してみようとするだけで、自分と体がひとつになっていく。

3⃣ 徐々に身体意識を高めていこう。ヨガのポーズの究極の目標は、自分自身との間に、もっと深くて意識的で調和がとれた関係を築くことにある。これには時間と訓練が必要である。

指導●ロッキー・ヘロン…マゼメソッドの指導者養成講師およびカリキュラムとプログラムの作成協力者。

ヨガ指導者への3つのアドバイス

1⃣ 質問に対して質問で答えよう。エーカパーダカウンディニャーサナⅡのようなピークポーズについて質問を受けたら、ポーズの形が今の自分に適切かどうかわかる質問をするとよい。たとえば、「今どこかにけがをしていますか」「そのバリエーションに取り組む前に強化すべき筋肉はどれですか」などとたずねてみよう。

2⃣ エクササイズの垣根を越えて、動き方を総合的に研究しよう。ピラティス、筋トレ、機能的可動域の調整(FRC)などから得た技術や知識は、ヨガの練習に取り入れることができる。

3⃣ 動きを少し戻すか進めて、生徒に合うようにポーズを修正しよう。たとえば、今回のシークエンスではチャトランガで体を「スライドさせて」、ピークポーズに必要になる「体を前方に移す動き」の準備をしている。アームバランスに慣れていない人は、繰り返す回数を減らし、片方の膝を床に下ろせばよいし、熟練者であれば片足を浮かせて筋力とバランスに挑戦してもよい。

指導●ロッキー・ヘロン

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by Noah Mazé 
photos by Ian Spanier
translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.75掲載

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