骨盤の不快症状を改善【あなたの骨盤は過緊張or低緊張?診断付き】タイプ別ヨガ対処法
ヨガジャーナルアメリカ版の人気記事を厳選紹介!骨盤に痛みや不快な症状があって悩まされているとしたら、今回紹介するヨガのシークエンスと体を探る方法によって、骨盤の調子が整い緊張がほぐれる可能性がある(といっても、骨盤底筋体操の話ではない)。セックスがよくなることから、楽に歩けるようになることまで、その効果に目を疑うはずだ。
私たち女性は「こうするべきだ」という容赦ない言葉に曝されている。女性として適切で、色気もあり、しとやかで、そして母親らしい形で立ち居振る舞い、行動するように言われる。大人になる頃には、どの女性にもこのような女性であるための方法が身についているが、女という性に最も深く結びついた部分、骨盤部に特にそれを感じるだろう。骨盤部は臓器が収まっている複雑で多層的な部分である。私はここを「1-800(フリーダイヤル)小型収納庫」と呼んでいる。手放すわけにはいかないが今すぐ向き合いたくないものを収めておく場所という意味だ。
骨盤部はその性質上、私たちの感情面と身体面の健康に結びついている。私たちはこの部分を研究して解き放ち、自分で管理する必要がある。私たちの問題を率直に認めたうえでよく理解し、私たちの体に備わっている治癒力に上手に波長を合わせなければならない。私は今こそ骨盤を解放するときだと信じている。
どの骨盤にも物語がある
「どの骨盤にも物語がある」。私は常々生徒たちにこう話している。私の物語をお話ししよう。2005年、私はヨガ指導歴が20年に達しており、「下半身のその部分」の解剖学的特徴やメカニズムについて熟知しているつもりだった。しかしその頃、骨盤部に痛みと不快な症状を感じるようになった。その理由を探っているときに、骨盤部に関する知識の多くが抽象的で総合的なもので、大部分が解剖学の本から得たものであることに気づいた。私は当時、骨盤部の特性を理解していなかった。骨盤にある筋肉についても知らなかったし、骨盤が体のほかの部分や心、あるいは自分の過去とどう関わっているかもわかっていなかった。
私は自分自身をよく理解するために、ヨガのポーズと呼吸法を練習し始めた。そして、最終的には股関節と股関節との間に隠れている何層ものトラウマや、感情、痛みを探った。骨盤部には、私の過去や文化的条件づけ、性差別、解剖学的特徴、不調といったものが入り交じっている。その複雑さに対する理解が深まるにつれて、骨盤部が私の全体的な健康と結びついていることがわかってきた。骨盤部は、身体面と感情面と精神面の健康と結びついているのだ。また、自分の骨盤底筋群がかなり硬いことがわかったが、そうなった理由も経緯も理解できなかった。そこで私の探究心は、私自身を形づくった要因へと向かっていった。自分のそれまでの姿勢、性の問題、病歴、体のイメージを受け入れられなかったこと、人間関係から受けた影響、家族、企業広告、メディア、映画など、実にさまざまなことを考えてみた。私はそこから出発して、今世界中で指導している骨盤底ワークショップの土台を生み出すに至った。
なぜヨガなのか
骨盤に問題のある人の多くが、症状を改善しようとしてさまざまな方法を試した後に私のワークショップに参加している。まず一般の開業医に相談し、次に婦人科医に行き、それでもだめで泌尿器科医も受診した後に来る人が多い。骨盤底筋体操などの筋トレや抗うつ薬さえ試した人もいる。手術を検討するほど思いつめている人もいる。こんな例を考えてみよう。40代半ばの女性が性交中に痛みを感じるようになったとする。医師は潤滑剤の使用量を増やすことを勧めるが、それでは役に立たない。そこで婦人科を受診するものの、医師はその痛みの原因を診断できない。女性はインターネットでこの問題についてさまざまなものを読み始める。そこには問題の解決に役立ちそうな運動が紹介されていて、それを試してみる。しかし、これも役に立たない。女性は自分の症状が心因性のものではないかと疑うようになり、心理療法士を探し始める……。
ここに挙げた西洋医学、運動、カウンセリングにはそれぞれ利点があるが、多くの女性にとってヨガが最後の手段、頼みの綱となっている。私は12年間にわたって骨盤底に働きかけるヨガを指導してきたため、絶対的な確信をもってこう断言する。「ヨガは最初の手段であるべきだ」。その理由は、ヨガを行うと自分自身を認識する力と自分の体に対する感度が高まるからである。ヨガは単なる運動ではない。ヨガをすることによって、体の仕組みやエネルギーを細かく観察して意識できるようになる。経験に基づいて、個々の体の独特な形についてその本質を見抜くことができるようになる。何かが起きているときに何が起きているか理解して、刻一刻と変化し続ける体調に合わせて練習を変えていくことができるようになる。ヨガによって、筋肉の解剖学的機能を広く概念的に理解することが可能になり、個々の筋肉の位置を把握して、働かせることができるようになる。ヨガはほかの運動とはまったく異なるものだ。
体を意識することが、慢性的な不調を適切に診断するカギとなる。世界中のどんな医師も、あなたが感じている痛みや張りがどういうものなのか、あなたがどんなふうに安心感やその他の感覚を覚えるのか説明できないだろう。それはあなただけが知り得ることなのだ。痛みや感覚を観察してその本質を見抜くことが、適切な診断を下すうえできわめて重要になる。ヨガは、外なる概念的理解と、内なる経験的理解を結びつける働きをする。ヨガは私たちの能力を引き出してくれる。ヨガは、自分以外の人に自分の不具合を治す責任を押し付けることなく、自分自身が積極的な役割を担う力を引き出してくれる。ヨガは自分の目で確認するよう促して、それを支えてくれる。なんといっても、それは自分の体なのだ。管理することをよく考えもせずあきらめるべきではない。あなた自身が自分の体の最高責任者なのであり、自分を探索し、観察し、理解を深めることによってその責任を果たさなければならない。ヨガは、あなた自身が引き起こした体の不調を解消するのを助け、自分自身に対する責任を芽生えさせて、それを育てていく力をもたらしてくれる。
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