髪は女の命?わたしが20代後半で金髪ショートにした理由|チョーヒカル連載#とびきり自分論

 髪は女の命?わたしが20代後半で金髪ショートにした理由|チョーヒカル連載#とびきり自分論

誰かが決めた女性らしさとか、女の幸せとか、価値とか常識とか正解とか…そんな手垢にまみれたものより、もっともっと大事にすべきものはたくさんあるはず。人間の身体をキャンバスに描くリアルなペイントなどで知られる若手作家チョーヒカル(趙燁)さんが綴る、自分らしく生きていくための言葉。

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髪は女の命、という慣用句がしっくりきたことが一度もない。髪なんて命でもなんでもないし、長い髪を切るときに泣く女の子たちの気持ちはいまだにわからない。でも私が本当に髪を短くできたのは25になってからだった。

最初は何がきっかけだったのか覚えていない。ただなんとなく、自分に飽きてボブにした。それから3ヶ月くらいしてからまた美容院に行き、担当になった美容師のお姉さんに鏡越しで

「バッサリ短くしてください、かっこいい女にしてください」

と言った。

結果私の髪はそこいらの男性よりも短くなった。襟足も刈り上げた。1、2回奇抜な髪型にしたことはあったけれど、短くなった自分の髪型に対して「ああこれが正しかったんだ」と満足感を感じたのはあれが初めてだった。

これは私に限った話だけれど、思春期から大学卒業まで私がほぼずっと肩より長い髪を保っていたのには明確なモチベーションがあった。「モテたい」だ。特に強く意識していたわけではなかったけれど、「女の子らしい」と言われる女子はみんな髪が長かった。高校の同級生で髪が短かったのは運動部の強そうな女子たちか、「女捨ててる」と言われる子達ばかりだった。運動も勉強もできずクラスの中で確実に奇妙なやつとして浮いていた私には髪を短くする選択肢は浮かびすらしなかった。だってモテたかったんだもの。

「女子にさ、私髪を短くしようかなーって聞くと、絶対したほうがいい!って言われるの、あれなんでだか知ってる?その子が髪短くしたら女としてのライバルが減るからだよ!」

同級生の「女の子らしい」女子が息を巻いて語るあほみたいな推測に「なるほど」と思っていたほどだ。それほど普通に「髪の長さ=女らしさ」という方程式が脳内でできあがっていた。だから高校時代のわたしの髪はずっとずっと長かった。だって、モテたかったんだもの。

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