自律神経と呼吸の関わり|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと

 自律神経と呼吸の関わり|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと
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得原藍
得原藍 2019-05-13
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呼吸を使った自律神経の調整は、自律神経の乱れを呼吸を利用してコントロールしようとするものです。副交感神経優位であれば、深く落ち着いた呼吸になるはずだから、深く落ち着いた呼吸をしよう、ということです。しかし、深く落ち着いた呼吸をしようと一生懸命意識を働かせて集中して呼吸をしても、いい結果を生みません。深く落ち着いた呼吸をするには、一生懸命に行うのではなく、まずは深い呼吸とは何かを感じてみることから始めるといいのではないでしょうか。

医療現場で使う呼吸の安楽姿勢とは?

医療現場で使う呼吸の安楽姿勢に、ファーラー位というものがあります。呼吸器に疾患のある患者さんの呼吸を楽にするための姿勢です。解剖学的に、内臓が横隔膜を圧迫しないように、また、生理学的に身体に入った空気が肺の全体に効率よく分布するように考えられた姿勢です。こう聞くと難しいように感じるかもしれませんが、簡単です。仰向けに寝た状態から背もたれが30度程度持ち上がるような姿勢になれば良いのです。リクライニングチェアなどがあれば簡単に再現できますし、ベッドでも大きな枕や布団を使って背中を持ち上げることでこの姿勢をとることができます。また、セミファーラー位といって、ファーラー位の姿勢に加えて膝を軽く曲げるように膝下にクッションを置く方法もあります。経験的にはセミファーラー位の方がより安楽になるようです。

ファーラー位やセミファーラー位のような呼吸の安楽姿勢をとってみると、楽に呼吸をする感覚というものを簡単に感じることができます。これらの姿勢は一生懸命呼吸をしてしまうときに働く筋を休ませる姿勢でもあるからです。この姿勢でまず呼吸をしてみる。それからこの姿勢のまま腹式の呼吸や深い呼吸をしてみる。そうすると、副交感神経優位の状態を導く呼吸というものがどのようなものかわかりやすくなるかもしれません。また、夜寝る前に一度この姿勢で呼吸を整えるだけでも、日中の交感神経支配の身体から、うまくスイッチを切り替えることができるでしょう。

教えてくれたのは…得原藍さん
大学時代にアメリカンフットボールの学生トレーナーをした経験から身体運動に興味を持ち、卒業後社会人経験を経て大学に再入学し理学療法士となる。総合病院と訪問リハビリテーションで臨床経験を積み、身体運動科学について学ぶために大学院に進学、バイオメカニクスの分野で修士号を取得して5年間理学療法士の養成校で専任教員を勤める。現在はSchool of Movement®️ IES Directorとして様々な運動関連職種の指導者に対してバイオメカニクスを中心とした身体運動の科学を教えている。

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