肌がカサカサ、手足が冷える、眠りも浅い…秋冬の不調をアーユルヴェーダで読み解く

肌がカサカサ、手足が冷える、眠りも浅い…秋冬の不調をアーユルヴェーダで読み解く
Photo by Mami Nagata
永田舞美
永田舞美
2026-11-01

秋が深まり、朝晩の空気に冷たさを感じるようになりました。 この時期になると、肌のカサつきや唇の乾燥、髪のパサつきが気になり始める方も多いのではないでしょうか。そんなとき、アーユルヴェーダでは肌だけに目を向けるのではなく、身体全体の状態や日々の暮らしを見つめ直します。実はアーユルヴェーダでは、「乾燥」は肌だけに起こるものではないと考えられているのです。 今回は、秋冬に意識したい「潤い」について、食事やオイルケアを通してお話しします。

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乾燥は、身体からの小さなサイン

アーユルヴェーダでは、私たちの身体や心の働きを、ヴァータ・ピッタ・カパという3つのドーシャから捉えます。そのうち、秋から冬にかけて特に意識したいのが「ヴァータ」です。ヴァータは風と空の要素からなり、「冷たい・軽い・乾燥・動き」といった性質を持っています。木々の葉が乾き、空気が冷たくなっていく季節。自然界に乾燥や冷たさが増えるように、私たちの身体にも同じような性質が表れやすくなると考えます。肌や唇が乾燥する、便が硬くなる、手足が冷える、身体がこわばるといった変化を感じてはいませんか?

また、ヴァータは身体の動きだけでなく、思考や神経の働きにも関係するとされ、バランスが乱れると、そわそわしたり、考えごとが増えたり、眠りが浅くなったりすることもあると考えられています。もちろん、こうした変化にはさまざまな原因があり、すべてをヴァータだけで説明できるわけではありません
ただ、アーユルヴェーダの面白いところは、身体に起こる変化を一つひとつ切り離さず、全体のバランスから見つめるところです。

肌の乾燥が気になったとき、「保湿クリームを増やそう」と考えるだけでなく、”秋晴れの暖かい日になるとつい冷たいもの食べていないか”、”忙しくてゆっくり休めていないのかも”、と、暮らし全体を振り返るきっかけを持ってみてください。

乾燥する季節には、反対の性質を取り入れる

アーユルヴェーダには、「似た性質は増え、反対の性質はバランスをとる」という基本的な考え方があります。

・冷たさが増える季節には、温かさを
・乾燥が増える季節には、油分やしっとりとした性質を
・慌ただしく動き続けているときには、ゆっくり落ち着く時間を

とてもシンプルですが、この考え方を知っていると、季節や自分の状態に合わせた暮らしの選択がしやすくなります。
特に秋冬は、温かく、適度な油分を含んだ食事を意識したい季節です。ヘルシーと思われがちな生サラダや、冷たい飲み物ばかりではなく、温かいスープや煮込み料理、お粥など、身体がほっとするものを食卓に取り入れてみましょう。

内側からの潤いを育てる、ギーのある食卓

この季節に私がおすすめしたい食材のひとつが「ギー」です。
ギーとは、バターを加熱して水分や不要なタンパク質を取り除いた、純度が高いバターオイルのこと。インドやスリランカでは古くから治療としてい使われ、日常の食卓でも使われているギーは、アーユルヴェーダで『消化され滋養を与える油分』として大切にされてきました。
アーユルヴェーダでは、ギーは油性やなめらかさを持ち、ヴァータの乾燥した性質を和らげる食材のひとつと考えられているため、今の時期にもおすすめなオイルです。

使い方はシンプルで、いつもの油をギーに変えるだけで、日常使いができます。また、温かいスープに加えてみたり、蒸した野菜や炊きたてのごはんにほんの少し添える。それだけで、いつもの食事にまろやかな風味やコクが加わります。
私は、お粥にギーを垂らして食べるのが好きです。温かいものをゆっくり味わっていると、それだけで食事の時間が少し豊かになるように感じます。
ここで大切なのは、ギーをたくさん摂ることではありません。一人一人の体質も異なりますので、食事全体のバランスや消化の状態に合わせて少量から取り入れること。そんな小さな選択を楽しんでみてください。
 

外側からの潤いには、温かいオイルケア

食事とともに、秋冬に取り入れたいのがオイルケアです。アーユルヴェーダには「アビヤンガ」と呼ばれる、オイルを使って身体をケアする習慣があります。伝統的には体質や季節に合わせてオイルを選びますが、寒い季節にはセサミオイルがよく用いられます。自宅で行うなら、まずは耳・足裏・頭の3点やりやすいところから始めてみましょう。

オイルが肌になじむ感覚を味わいながら、やさしく触れてみてください。忙しい日々の中では、自分の身体に触れる時間さえ、つい後回しになってしまいます。でも、ほんの数分でも自分の身体に意識を向けていると、「今日は足が冷えていたんだな」「思っていたより疲れていたのかもしれない」と、普段は見過ごしていた小さな感覚に気づくことがあります。オイルケアは、肌を保湿するだけでなく、自分の状態を知る時間にもなるのです。

 

「潤い」と「愛情」を意味するスネーハ

アーユルヴェーダには「スネーハ(Sneha)」という言葉があります。スネーハは、油分やなめらかさを表す言葉であると同時に、愛情や親愛という意味も持っています。私は、この言葉がとても好きです。
身体に油分を与えることと、自分に愛情を向けること。
一見すると別々のことのようですが、温かいオイルで自分の身体に触れていると、その二つがどこか重なるように感じることがあります。
身体の乾燥を感じるとき、アーユルヴェーダでは、心の内側にも乾燥の質が高まっていると考えます。潤いは外側からも、内側からも自分自身に与えてあげることで満たされていくのです。
乾燥が気になるこの季節。肌だけでなく、食事や暮らしの中にも、少しの温かさと潤いを与えてみてくださいね。

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