更年期を乗り越え、老後に備えるために。「筋肉」は最も安い保険である
エコーチェンバー現象や排外主義の台頭により、視野狭窄になりがちな今、広い視野で世界を見るにはーー。フェミニズムやジェンダーについて取材してきた原宿なつきさんが、今気になる本と共に注目するキーワードをピックアップし紐解いていく。
2026年8月に日本で発売されたミランダ・ジュライの『はいつくばって』(岸本佐知子訳・新潮社)の主人公は、更年期の入り口に立った45歳の女性が主人公です。ホルモンの揺らぎや、夫との関係、自分の性欲とどう向き合うか、仕事をどうするのか、様々な問題に直面した主人公は、身体を鍛え始めます。
筋肉がつき、引き締まった身体を手に入れた主人公は、私生活もボロボロで仕事は崖っぷちだったりするのですが、それでも、鍛え上げた身体が、彼女に一抹の達成感と自信を与えます。
原題は「All Fours」。つまり四つん這い、です。これ以上落ちようがない地面に四つん這いで這いつくばっている状態から始まり、自身と徹底的に向き合い、鍛えることで、再び立ち上がることができるのだと、本書は教えてくれています。
ガブリエル・ライオンの『筋肉が全て 健康、不老、メンタル人生のすべてが変わる唯一の方法』(御立英史訳、ダイヤモンド社)もまた、更年期の女性が身体を鍛えることの重要性を指摘しています。
『筋肉が全て』は、米国で大きな話題になったベストセラーで、日本語版は2026年3月に発売されました。
更年期は、筋肉の「分岐点」になりうる
『筋肉が全て』には、「筋肉で『更年期』に対抗する」という章があります。一般に、女性は閉経の前後で、筋肉や骨の量が落ちやすくなると言われています。
また、50歳を過ぎると、筋肉量は毎年1〜2%の割合で減少する、とも言われています。多くの場合、失われた筋肉は体脂肪に置き換わり、筋力と可動性が低下し、同時に代謝も乱れるのです。
更年期の女性のほとんどは、脂肪のつき方が変わることを実感すると言います。なぜなら、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が減り、コルチゾールとのバランスが崩れるために、インスリン抵抗性が増加し、これによって、エネルギー消費の低下が相まって、体重が増加する傾向にあるからです。
この時期に筋肉量が低下し、脂肪が増加すると、その人の自信、心の健康、生活の質もともに低下してしまうこともあります。しかし本書では、適切に身体を鍛え、タンパク質を摂取すれば、筋肉を維持し、健康的な代謝の基礎を築くことは可能だ、と断言しています。
更年期を乗り切るためのヒントは、「タンパク質を積極的に摂取すること」および「筋トレ」だと著者は言います。
もちろん、更年期の不調は人それぞれで、運動がすべてを解決するわけではありません。まずは婦人科や主治医に相談するのが先です。そのうえで、筋力を保つことが日々の動きやすさの助けになるのです。
とはいえ、女性の場合、「鍛えすぎて、ムキムキになったら嫌だ」という人もいるでしょう。次に、この問題についてみていきましょう。
「ムキムキになったら困る」問題
女性がトレーニングを始めるとき、最初に立ちはだかる壁は、重いバーベルではなく、この心配です。
しかし、実際は、ムキムキは、一晩では訪れません。そこへ至る道は、才能と食事管理と、数年単位の執念でできています。週に数回、腹筋した程度で、気づいたらシックスパックに割れていた、という話は聞いたことがありません。
「ムキムキになる心配」と「何もしなくても筋肉が減っていく現実」を並べてみると、どちらを心配するべきかは明らかです。
では次に、具体的に何から始めればいいのか、を見ていきましょう。
今日から筋肉を鍛えるためにできる3つのこと
私(アラフォーのライター)自身、筋肉を鍛えようと思って真っ先に思いついた選択肢は、パーソナルジムへの入会でした。しかし、いくつか体験に出かけたのですが、とにかく高い。月額5万円程度のところが多かったため、断念し、現在は通常のジム(月額約1万円)に入会し、現在も続けています。
ただ、「ジムに行く時間的余裕がない」「まずは自宅でできることから始めてみたい」という方もいるでしょう。ここでは、本書に記載されている気軽にできる3つのことをご紹介していきます。
1:朝食でタンパク質をたくさん摂る
朝がコーヒーとパン一枚だけ、という状態は筋肉にとって望ましくありません。ゆで卵、納豆、お肉、などを足してみましょう。
本書で紹介されている実験によると、高タンパクな朝食をとったグループは、そうでないグループよりも満腹感を強く感じており、夕方にかけて間食する量も少なかったと言います。
「朝食にタンパク質を摂ると、過食を防げる」というわけです。
2:SMART目標を立てる
漠然と「筋肉を鍛える」だけだと、続けることが難しいことが多いです。
目標達成に近づくために、まずは明確な目標を立てましょう。本書ではSMART目標を立てることを推奨しています。
SMART目標とは?
・具体的であること(Specific)
・測定可能であること(Measurable)
・行動を促すものであること(Action-oriented)
・現実的で、意味があること(Realistic/Relevant)
・期限が設定されていること(Time-bound)
例えば、「三ヶ月以内に、筋肉量を1キロ増やす。そのために、朝食にタンパク質を追加し、週に二日筋トレをする」などと決め、具体的な行動を促すと良いでしょう。(ただし、この目標を決める場合は、筋肉量を測定できる体重計などを持っているか、ジムなどで測定することができる場合に限る。測定できることが重要)
3:やる気を刺激する環境を作る
忙しい毎日を送っていると、筋トレはつい後回しになってしまいがちです。三日坊主になってしまいそうだな、と思ったら、以下のやる気が出る環境を作るための施策を試してみましょう。
・やる気を鼓舞する名言や写真を、見えるところに掲示しておく
・やる気が刺激されるように、トレーニング用具を手元に置いておく
・朝起きたら確実にワークアウトできるように、運動着を着たまま寝る
・計画遂行を妨げる食べ物や、集中力を削ぐ雑多なものを身の回りから取り除く
また、「一人では続けられる自信がない」という方は、友達と今日どんな筋トレをしたのか報告し合うなど、自分にプレッシャーをかける方法を模索してみるのもいいでしょう。
では最後に、私自身が3ヶ月筋トレを続けてみた結果をお伝えします
3ヶ月筋トレを続けた結果
私自身は、これまでジムに抵抗があったのですが、いざジムに入会してみると、思ったよりも楽しく、現在、週2回以上の筋トレを続けることができています。
3ヶ月筋トレを続けた結果、筋肉を1キロ増やすことができました。いずれ年齢とともに、そして更年期とともに、筋肉量が衰えることが明白な今、日々、筋肉を増やすことは、将来に備える保険になってくれると思っています。
私がこれまで筋トレを続けることができたのは、近所のジムの筋トレプログラムが充実していて、楽しかったからです。人によっては、一人でコツコツと自宅で筋トレをする方が向いている人もいるでしょう。
これから筋トレを始めたい、という方は、ぜひいろんな方法を試して、自分が楽しめて続けやすい方法を見つけてみてください。
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