スタジオオーナーとしては失格?!成功しないビジネス論を説く|連載 #60代のリアル
「60歳」と聞いて、あなたはどんな姿をイメージするでしょうか。「もう60代」と捉えるか「まだ60代」と捉えるか、人生100年時代と呼ばれて久しいこの社会で、60代は「人生後半戦の始まり」とも言える世代ではないでしょうか。60代の体、心、仕事…連載「60代のリアル」では、現在62歳のヨガインストラクター千枝さんのリアルな心境を綴ります。
この間Threadsにこんな文章を書いた。
この前「先生のシークエンスをパクりに来ました」という人が来た。
誰にどんなヨガを習ったとか、楽しそうに自己紹介してくれたけど、なんで私のところに?と思ったし、それを私に言っちゃうのもちょっと不思議だった。レッスンも、クラス名も、コンセプトも。
誰かがどこかでやってうまくいっているものを集めて真似すれば、ビジネスとして失敗しない。そう、ビジネスとして……
私も最初はそう思ってた。
でも最近、それもちょっと違う気がしてる。人は来ては去っていき、街も変わる。
地震も多いし、来年なんてどうなるかわからない。さっぱり人が来ない日もあるスタジオで、それはそれで困ると悩みながらも、そんなこんなも含めたここでの時間を、私自身がとても楽しんでいる。
まぎれもなく、それが真実なんだ。
誰かの真似なんかしてるの、もったいないよ。
自分が伝えたいこと伝えた方が、楽しい。
自分オリジナルで、最初から行っちゃいなよ。
と思う。
私はたまにAIに「こういうのを載せたんだけどどう思う?」と、SNSなどに投稿した後に感想を聞いたりする。
するとたまに驚くほど、自分でも気づかなかった深層心理を見事に的確に言語化してくれたりする。
今回はこう答えてくれた。
この文章は一見すると「人のシークエンスをパクるなんて」という話だけど、本当に書こうとしているのは「私は成功法則を教えられるほど成功しているわけじゃない。でも、うまくいかないことまで含めて、自分で考えて、自分で作って、自分でやっている今が面白い」という話ですよね。
だから真似なんかやめて自分らしく、と。「その方が成功するよ」じゃない、「その方が楽しいよ」なんです。そしてその楽しさの前には「失敗しないために真似する」こと自体が、少し小さな話に見えてくる。
そうか。
この文章で言いたかったのはそういうことか!と自分で思ってしまった。
世間には「やりたいことだけをやっていても成功なんかしない」という、よく聞くお説教というか定説がある。
だからやりたくないことも我慢してやりましょう、それが大人であり社会というものです、と。
けれど、やりたくないことを我慢してやったとしても成功するとは限らない。
運命は気まぐれだし、地球は不安定だ。
人生や仕事の進む方向を決める照準を「成功」に合わせたつもりでも、自分に強いた明日への我慢が、必ず実を結ぶとは限らない。
やりたいことだろうがやりたくないことだろうが、それをしている間に時間は確実に溶けていく。
その結果、成功したり失敗したりする。
よく考えるとそれだけのことなのに、なぜかヨガの世界の人たちまで「ビジネス的な成功」を仕事の基準にしてしまっている。
ただ、こういうことを以前Threadsに書いて、ビジネスパーソン的な方に怒られたことがあった。
「あなたひとりでやっている分にはいいけど、そんな経営者の下に従業員がいたらたまらない」
確かにそうだ。
従業員を抱え、給与を払い、会社や株主にも責任ある経営者の立場だったら、「自分が楽しいから」を最上位に置くわけにはいかないだろう。
むしろ、利益が必要なのは分かっている。
けれど、利益や成功を「全人生の最上位の判断基準」にする必要まであるとは、私はどうしても思えない。
私だって「お客さんゼロでも私は楽しいからいいの♡」なんて思ってない。お金は欲しいし、経営として困るから色々考えるし、現実とも向き合っている。
でもその経営上の成功と、自分がその仕事をする意味や人生を楽しむことは、少し違う気がしている。
さっきも書いたけど、成功のために自分に敷いた我慢や犠牲は必ず回収されるとも限らないのだ。
「今はやりたくないことをやる。でも成功するためだから」
「人のやり方を真似する。でも売れるためだから」
「本当はやりたくない発信をする。でも集客のためだから」
それで本当に成功すれば「意味があった」と物語にできるけど、失敗したら?
「やりたくないことばかりやってきた」
「人の真似をしてもうまくいかない私」
「やりたくない発信のせいで、世間的なイメージがなりたくない自分になっている」
結果なんて残酷なまでに不確かだ。ならば、全部を楽しめるほうがいい。
ちまたには「成功するためには何をすべきか」が溢れているけれど、私は成功やビジネスを人生の第1番目にはできない。
スタジオオーナーとしては失格かもしれませんね。
でもみんながみんな成功に走らなくていいと思う。
だからやっぱり私はこう締めくくりたい。
さっぱり人が来ない日もあるスタジオで、それはそれで困ると悩みながらも、そんなこんなも含めたここでの時間を、私自身がとても楽しんでいる。
まぎれもなく、それが今の私の人生の真実なんだ。
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