仕事で同じ失敗を繰り返してしまうなら「リスク管理思考」を学ぼう

仕事で同じ失敗を繰り返してしまうなら「リスク管理思考」を学ぼう
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「なぜ、同じようなミスを何度もしてしまうのか?」「なぜ、問題は起きてからしか気づけないのか?」「なぜ、慎重に進めたはずなのに失敗するのか?」その原因は、 能力不足ではなく「見えているつもり」で仕事をしていることにあります。『仕事のミスは、この思考で9割防げる』(フォレスト出版)より内容を一部抜粋して紹介します。

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「注意喚起」しても、ミスはなくならない

仕事をしていると、同じミスを繰り返しているケースに出くわすことがあります。

例えば、メールの誤送信。
本来は Bcc で送るべきメールを、誤って To や Cc で送ってしまうケースは後を絶ちません。その結果、個人情報が漏洩してしまう。
これは、多くの職場で起きている典型的なヒューマンエラーです。

こうした問題が起きると、まず行なわれるのは次のような「注意喚起」です。
「送信前にひと呼吸おいてよく確認しましょう」
「複数人でダブルチェックしましょう」

けれど、それでミスが減ることはあっても、なくなることはありません。なぜなら、人はどれだけ注意していても、必ずミスをする生き物だからです。

エラー
photo/Adobe Stock

「落とし穴そものを埋める」と言う発想

注意喚起とは、言わば「落とし穴があるから気をつけて歩こう」という発想です。
もちろん、それも大切です。気をつけることでミスがなくなる人も確かにいます。

しかし、それではミスという落とし穴そのものは残ったままです。

そこで必要になるのが、発想の転換です。
「どう注意するか」ではなく、「どうしたらそのミスが起こりえない構造にできるか」と考えてみましょう。

例えば、一定以上の数の外部アドレスが含まれるメールは、システム上そもそも送信できないようにする。そうすれば、誤送信というミスそのものが、物理的に起こらなくなります。実際、私が以前いた職場でも、この仕組みを導入した結果、このミスは劇的に減りました。

人の注意力に頼るのではなく、物理的にミスが起こりえない仕組みに変える。つまり、落とし穴を避けるのではなく、落とし穴そのものを埋めてしまうという発想です。

落とし穴がなくなると、人は注意のために使っていたエネルギーを、前に進むために使えるようになります。そして、仕事のスピードと自由度が圧倒的に高まります。

「その道を通らない」という発想

メール誤送信を防ぐために、誤送信が起きないような仕組みをつくる。ここまででも、大きな前進です。

しかし、もっと根本的な発想の転換は、そのさらに先にあります。

それは、「そもそも、その仕事自体をなくせないか?」という問いです。

送る
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メール誤送信の例で言えば、「送る」という行為そのものをやめることです。

これも前職の事例ですが、昔から毎月外部の関係者に送り続けてきた情報が、そもそも今の環境では必要とはされていなかったということがありました。必要のない作業を、リスクを負ってやっていたという、何とも馬鹿げた話です。すぐにやめることにしました。

これによって、誤送信というリスク自体が消えるだけではなく、仕組み化で必要とされたシステム上の手当てというコストも不要になります。

つまり、「ミスを減らす」「ミスをなくす」を超えて、 「ミスが起こる仕事そのものをなくしてしまう」のです。

ここまで来ると、落とし穴を埋めるだけでなく、落とし穴のある道そのものを変えたことになります。

もう一段上の問い

こうして整理してみると、落とし穴への向き合い方には、三つの段階があります。

◎第1段階は「注意喚起」。落ちないように気をつける。
◎第2段階は「仕組み化」。落とし穴そのものを埋める。

◎第3段階は「仕事の再設計」。落とし穴のある道そのものを変える。

ここまで考えられる人に、最後にもう一つだけ問いがあります。

「その仕事そのものがなくなったら何が起こるか?」

実際、以前は必要不可欠だったのに、今はなくなった仕事はたくさんあります。例えば、昔は株の売買をするときには、証券会社に電話して注文を取り次いでもらう必要がありました。手数料もかなりのものでした。そして多くの証券会社の収益源はこの手数料でした。

しかし、その収益源は、2000年前後に登場したネット証券によって、あっという間になくなりました。ある意味、その産業自体がなくなったと言っても過言ではありません。

ここで重要なのは、仕事がなくなることそのものではありません。その変化を受け身で迎えるのか。それとも、自ら変化を起こす側に回るのか。そこに決定的な差が生まれます。

大きな変化の中で主導権を握る人は、「誰かに自分の仕事をなくされる前に、自分でその仕事をなくせないか?」と考えます。そして仕事をなくす方法を考えた人こそ、その仕事がなくなった後の競争のルールをつくる側に回れます。

仕事がなくなる未来を恐れる人は、変化に飲み込まれる。
仕事をなくす未来を設計する人は、変化を主導する。

どちらが生き残るかは、もはや明らかです。

リスク管理とは、目の前の落とし穴を避けることではありません。
落とし穴を埋める。通る道そのものを変える。
時には、その道自体が将来なくなる可能性まで考える。
そこまで視野を広げられたとき、リスク管理は単なる「防御」ではなく、未来を切り拓く「攻め」の思考法になります。

書影
『仕事のミスは、この思考で9割防げる』(フォレスト出版)

この本の著者…伊豆原孝(いずはら・たかし)

元SOMPOホールディングス株式会社グループCRO執行役員(最高リスク責任者)。元・一般社団法人日本損害保険協会常務理事。大阪府立北野高等学校を経て京都大学文学部卒。国際大学大学院国際経営学研究科(MBAコース)修了。日本を代表する大手保険グループおよび業界団体の第一線で39年間にわたって活躍し、特にERM(統合的リスク管理)を専門とする。米国格付会社Standard & Poor’sによるERM評価では、日本の保険会社として当時最高ランクとなる「Strong」の獲得に貢献した。「月曜日が待ち遠しい社員であふれる社会」の実現を目指し、60歳にして社会保険労務士の資格を取得。現在は、企業の組織づくりや管理職育成を支援するマネジメントコーチとして活動するほか、リスク管理・コンプライアンスと組織マネジメントを融合した研修・講演を全国で行っている。人が生き生き働く組織づくりを学ぶオンライン講座「ひといき会」主宰。一般財団法人日本プロスピーカー協会認定シニアプロスピーカー。神奈川県藤沢市在住。休日は妻と合唱や海辺のランを楽しんでいる。

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