7割の女性が“つらさ”を抱えたまま働いている|調査が示す「隠れ我慢」の実態とは
「多少つらくても、生理だから仕方ない」「この程度で休むなんて言いづらい」。そんな“我慢”が、日常になっていませんか? 生理は病気ではないという考えから、心身の不調を我慢していつも通りに仕事や家事を行う“隠れ我慢”をしている女性はとても多いのではないでしょうか(※隠れ我慢=株式会社ツムラが定義 )。生理のつらさを我慢しなくていい社会を目指し、心掛けていきたいことを、産婦人科専門医・医学博士でInaba Clinic院長の稲葉可奈子先生が解説します。
生理のつらさ、我慢していませんか?
「多少つらくても、生理だから仕方ない」「この程度で休むなんて言いづらい」。そんな“我慢”が、日常になっていませんか?
2025年7月、株式会社ツムラが発表した「生理に関する意識と実態調査」によると、生理やPMS(月経前症候群)に伴うつらさを抱えたまま、仕事や家事を“いつも通り”にこなしている女性が、実に68.5%にものぼることが明らかになりました。
ツムラでは、こうした心身の不調を我慢していつも通りに仕事や家事を行うことを「隠れ我慢」と定義しています。“隠れ我慢”を掘り下げていくと──多くの女性にとって、思い当たる節があるのではないかと考えられます。
“無理して働く”が引き起こす、心と体の負担
隠れ我慢をしたことで最も多く挙げられた影響は以下の通りです:
- 趣味や外出などへの意欲の低下(34.9%)
- 精神的症状の慢性化・重症化(31.4%)
- パフォーマンスの低下や信頼の喪失(30.9%)
特に注目すべきは、生理が日常生活に支障をきたすレベルの女性たちのパフォーマンスが平均51.8%、つまり半減しているという事実です。「立っているのもつらい」と感じる人では、28.7%にまで下がるという結果もありました。
「伝えにくさ」と「理解されにくさ」の二重苦
ツムラの調査では、「日常生活に影響がある」と答えた人の72%が「周囲に伝えにくい」と感じていることが分かりました。その理由として、
- 「分かってもらえないと思う」(51.8%)
- 「気を遣わせたくない」(43.0%)
- 「表現しにくい」(42.8%)
- 「我慢すべきだと思っている」(31.6%)
特に30〜50代の多くが、「誰にも言えなかった」「相談できる空気がなかった」と感じているのではないでしょうか。
生理・PMSのつらさは「人によって違う」
「人によって違うことを知ってもらいたい」と答えた人は91.9%。にもかかわらず、相談しにくさや誤解によって困った経験をした人は6割以上にのぼります。
特に「イライラ感」「情緒不安定」「眠気」などは、外からは見えづらく、56.8%が「理解されにくい症状がある」と回答しています。
生理のつらさを、我慢しなくていい社会へ
「無理しなくていいよ」「休んでいいよ」──そんな一言が、63.8%の人の我慢を救ったことがあるといいます。
一方で、男性の82.2%、女性の70.5%が「サポートしたいが対応がわからない」と感じています。だからこそ、「まずは知ること」「伝えること」が出発点になります。
おわりに
ツムラの調査は、「我慢しなくてもいい」ことの根拠を私たちに示してくれました。生理を語ること、休むこと、助けを求めること──それはすべて、“自分を大切にする選択肢”なのです。
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