口角炎が治らない・舌がヒリヒリする…「鉄分不足」が関係していることも?|医師が解説

口角炎が治らない・舌がヒリヒリする…「鉄分不足」が関係していることも?|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2026-09-21

口角炎の治りづらさや舌のヒリヒリを感じる場合は鉄分不足のサインかもしれません。「貧血ではないから鉄不足ではない」というのは間違いです。口の粘膜や舌は、栄養状態や全身の病気の影響が現れる場所でもあります。鉄不足や鉄欠乏性貧血が隠れている症状について、医師が解説します。

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口の端が切れるのは、単なる乾燥とは限りません

「口角が切れて痛い」「薬を塗っているのになかなか治らない」。

そんな経験はありませんか?

口の両端が赤くなったり、ひび割れたりする状態を「口角炎」といいます。
乾燥、唾液による刺激、入れ歯やかみ合わせの問題、カンジダなどの感染症など、原因はさまざまです。

その中で意外に見落とされるのが、鉄分不足です。

鉄が不足すると、貧血だけでなく、口角炎や舌の変化など、口の中に症状が現れることがあります。

「舌がヒリヒリする」も鉄不足のサイン?

鉄不足では、舌の表面にある細かな突起が減って、舌が滑らかになる「萎縮性舌炎」がみられることがあります。

すると、舌が赤くツルツルして見えたり、ヒリヒリしたり、食事のときに刺激を感じやすくなったりすることがあります。

舌
photo/Adobe Stock

例えば、以前は平気だったのに、最近になって「辛いものを食べると舌が痛い」「舌が焼けるような感じがする」と感じるようになった場合です。

もちろん、舌の痛みがあるからといって、必ず鉄不足というわけではありません。ビタミンB12などの栄養素の不足、口腔内の炎症、感染症、薬剤など、さまざまな原因があります。

口角炎と舌のヒリヒリが「同時に起こる」とき

ここが一つのポイントです。

「口角が何度も切れる」だけなら、乾燥やカンジダなど局所的な原因も考えます。

ところが、

・口角炎がなかなか治らない
・舌がヒリヒリする
・舌が以前より赤く、滑らかになった
・最近、疲れやすい
・階段で息切れする
・顔色が悪いと言われる
・爪が割れやすくなった

こうした変化がいくつか重なっている場合には、鉄不足や鉄欠乏性貧血が隠れていないか確認する価値があります。

鉄欠乏では、疲労感や息切れなどの貧血症状に加えて、重度になると舌炎や口角炎、爪の変化などがみられることがあります。

「貧血ではないから鉄不足ではない」は間違い

ここは非常に重要です。

鉄が不足すると、まず体内に蓄えられている鉄が減っていきます。その後、鉄不足が進行するとヘモグロビンが低下し、鉄欠乏性貧血になります。

つまり、鉄不足と貧血は完全に同じではありません。

健康診断で「ヘモグロビンは正常です」と言われていても、鉄の貯蔵量が少なくなっていることがあります。

そのため、口角炎や舌の症状が続いていて鉄不足が疑われる場合には、ヘモグロビンだけでなく、血清フェリチンなどを含めて鉄の状態を確認することがあります。

「鉄を飲めば治る」と考える前に

鉄不足が確認された場合、鉄を補うことで症状が改善することがあります。

ただし、ここでも大切なのは、なぜ鉄が不足したのかを考えることです。

食事からの鉄の摂取が少ない場合もありますが、それだけとは限りません。

月経のある女性では、月経による慢性的な出血が鉄不足の原因になることがあります。

月経
photo/Adobe Stock

一方、男性や閉経後の女性で鉄欠乏が見つかった場合には、胃や腸から少しずつ出血していないかを確認することが重要になります。

胃潰瘍や大腸の病気などでは、本人が気づかない程度の出血が長期間続いていることもあります。

そのため、「鉄が足りないから鉄剤を飲んでおけばいい」と考えるのではなく、原因を調べることが大切です。

口角炎の原因は鉄だけではありません

もちろん、口角炎になったからといって、すぐに鉄不足を疑う必要はありません。

唾液が口角にたまりやすい人、入れ歯が合っていない人、口を閉じたときに口角に深いしわができる人では、局所的な刺激によって口角炎が起こることがあります。

また、カンジダなどの感染が関係している場合もあります。

さらに、鉄だけでなく、ビタミンB2などの栄養素の不足でも口角炎が起こることがあります。

ですから、「口角炎=鉄不足」と決めつけるのではなく、治りにくい場合には原因を一つずつ考えていくことが大切です。

こんな場合は一度、血液検査を

私なら、次のようなケースでは一度、貧血や鉄不足がないか確認することを考えます。

  • 「口角炎を繰り返している」
  • 「薬を塗ってもなかなか治らない」
  • 「舌がヒリヒリする、赤くなった」
  • 「舌が以前よりツルツルしている」
  • 「最近、疲れやすくなった」
  • 「階段で息切れするようになった」
  • 「顔色が悪いと言われる」
  • 「氷を無性に食べたくなる」

特に、口の症状と全身の症状が同時に出ている場合には、一度調べてみる意味があります。

口の変化は、体の中の変化を教えてくれることがあります

口角炎や舌の痛みは、身近な症状だけに「口内炎かな」「乾燥しただけかな」と済ませてしまいがちです。

しかし、口の粘膜や舌は、栄養状態や全身の病気の影響が現れる場所でもあります。

「何度も口角が切れる」「舌がヒリヒリする」という小さな変化の背景に、鉄不足が隠れていることがあります。

特に中高年では、鉄不足が見つかったときに「なぜ不足したのか」まで確認することが大切です。

口の症状を単なる口の問題として片づけず、全身の状態を見直すきっかけにしてみてください。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

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