乳がんを乗り越えた今、思うこと|"ナチュラルビューティハンター"シナダユイさんインタビュー
――その後すぐにビューティーの仕事をしようとは思わなかったのですか?
「思っていなかったですね。芸能の仕事をしていたときに、同じ雑誌に出ていた藤原ヒロシさんの『HEAD PORTER』に入社するのも、何か自然の流れだったような気がしています。でもそれからヘアメイクの勉強をしようと、働きながらスクールに通った時期はありました。ひとつの課程を終える際に、モデルになってくれた友人と記念写真を撮ったんです。綺麗に整えられた友人の隣に写っている自分の姿がボロボロすぎて、ショックを受けました(笑)。一度表舞台を経験した自分が、裏側に徹することはできないということを理解しました。贅沢かもしれませんが…。そのときにヘアメイクの仕事は断念しました。そして30歳を目前にしたところで、今後の生き方を考えはじめました。19歳から勤めていた『HEAD PORTER』は、とても良い会社だったので辞める人もいなく、ポジションもほとんど変わらなかったんです。同じ場で同じ職につき続けることに少しの焦りを感じながら、そろそろ原宿を出て外の世界を見てみようと、ロンドンへの半年間の留学を決意しました」
――ロンドンではどんな生活をしていたのですか?
「語学学校に通いながら、美術館に行ったり、建築物に触れて感性を磨いていました」
――英語は話せるようになりましたか?
「うーん(笑)。心を開けるようにはなりましたね。なんでも『NO』で返す”自信のない日本人"でしたが、相手の話すことをよく聞き、感じ取れれば『なんとかなる』ということを学びました。高校時代から仕事をしてきたので、遅い青春体験をさせてもらいましたね。毎日が夢の中のようでキラキラしていました。」
――留学後はどんな生活をしていたのでしょうか。
「音楽系の会社にお誘いいただき、入社しました。音楽業界でもCDが売れない時代に取って代わる何かを…という中、化粧品を出すことになりました。その企画や宣伝のためのイベントなどを運営する仕事を担当しました。そこで初めてビューティーの仕事と向き合い、今もお世話になっている業界の方々との出会いの場をいただきましたね」
――そこから冒頭でお話しした「ナチュラルビューティーハンター」に繋がっていくわけですね。
「はい。その会社の都合もあり、辞めるときに名乗ったのが最初です。今はハンターとして美容情報を発信しながら『LUCK HAIR』という美容室で受付の仕事もしています」
――今のヘアカラーも素敵です!
「ありがとうございます。今いる美容室もとても環境が良く、親切にして頂いています。活動は自然派ですが、その時の“旬”を楽しむということで、ファッションに合わせてヘアカラーを楽しんでいます」
――ユイさんがSNSで発信するコスメのおすすめ情報を、楽しみにしている方は多いと思います。そんな中、突然の病気の公表がありました。
「2017年の誕生日に乳がんが発覚しました。その2ヶ月後、葛藤を乗り越え入籍。手術のために2週間ほど入院したのですが、それ以外は抗がん剤治療で自宅にいました。治療の初期段階では、美容室での仕事も入れていたんです。塞ぎ込むよりも、できる限り外に出た方が良いと思って。でも後半は薬が強くなり、白血球の数値も信じられないほど下がったので、2ヶ月ほど完全にお休みをもらいました。そんな中、SNSがストレス発散だったのかもしれません。病気の公表は自然な流れでしたね」
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