「秋、なんだか老けて見える…」睡眠不足と肌の意外な関係|管理栄養士がすすめる“豆”4選

「秋、なんだか老けて見える…」睡眠不足と肌の意外な関係|管理栄養士がすすめる“豆”4選
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松田 真紀
松田 真紀
2026-10-20

「秋になって、肌のカサつきやくすみ、ハリ不足が気になる」「しっかり寝たつもりなのに、疲れが抜けない」。そんな変化を感じていませんか?

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秋は空気の乾燥が気になり始めるうえ、夏に浴びた紫外線の影響も気になる時季。さらに睡眠不足が重なると、肌のコンディションにも影響することがあります。

そこで注目したい栄養素のひとつが、必須アミノ酸の「トリプトファン」です。

トリプトファンは、睡眠・覚醒のリズムに関わるホルモン「メラトニン」の材料になる栄養素。大豆、ひよこ豆、あずき、枝豆など、身近な豆類にも含まれています。

今回は、睡眠と肌の意外な関係をひも解きながら、40代以降の食卓にも取り入れやすい豆類の魅力と、市販のゆで豆や蒸し豆を使った簡単レシピをご紹介します。

秋の「なんだか老けて見える肌」、睡眠不足も関係している?

秋になると「急に肌が老化したように感じる」という人もいるかもしれません。

もちろん、秋になった瞬間に肌の老化が一気に進むわけではありません。

紫外線は長期的な光老化に関わるほか、気温や湿度などの環境変化によって肌の乾燥を感じやすくなることがあります。

そして、もうひとつ見逃したくないのが「睡眠」です。

人を対象にした研究では、睡眠時間を制限すると、肌の水分量や弾力が低下したり、肌のバリア機能に影響したりすることが報告されています。

「最近、肌の調子がいまひとつ」というときは、スキンケアだけでなく、食事や睡眠を含めた生活全体を振り返ってみることも大切です。

トリプトファンと睡眠にはどんな関係がある?

そこで知っておきたいのが、必須アミノ酸の「トリプトファン」です。

トリプトファンは体内で作ることができないため、食事から摂る必要があります。

食事から摂取されたトリプトファンの一部は、体内でセロトニンなどを経て、メラトニンの材料になります。

メラトニンは「睡眠・覚醒リズム」に関わるホルモン

メラトニンは、体内時計に合わせて夜間に分泌量が増えるホルモンです。

睡眠を促す働きがあり、夜になると眠くなるという自然なリズムに関わっています。

ただし、「トリプトファンを多く食べれば、その日の夜にメラトニンが増えてぐっすり眠れる」という単純な関係ではありません。

メラトニンの分泌には、体内時計や昼間に浴びる光、夜間の照明、生活リズムなど、さまざまな要因が影響します。

トリプトファンはあくまで、その材料となる栄養素のひとつと考えましょう。

メラトニンの抗酸化作用=豆を食べれば美肌、ではない

メラトニンには抗酸化作用があり、皮膚でも独自にメラトニンが作られていることが知られています。

紫外線などによる酸化ストレスから皮膚を守る働きについても研究されています。

ただし、現在研究されている皮膚への作用には、皮膚で作られるメラトニンや、皮膚に直接使用するメラトニンなどの研究も多く含まれています。

そのため、「トリプトファンを含む豆を食べる」ことで「メラトニンが増え、活性酸素を消してシミやシワを防ぐ」と直接結びつけることはできません。

豆類は「食べる美容液」ではなく、肌や体をつくるために必要な栄養素を摂る、日々のバランスのよい食事の一部として取り入れることが大切です。

40代から取り入れたい「豆類」3つの魅力

トリプトファンは肉や魚、卵、乳製品などさまざまな食品に含まれています。

その中で豆類のよいところは、トリプトファンだけではなく、たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどを一緒に摂れることです。

1.トリプトファンと植物性たんぱく質を一緒に摂れる

大豆、ひよこ豆、あずき、枝豆には、トリプトファンをはじめとするさまざまなアミノ酸が含まれています。

文部科学省の日本食品標準成分表によると、ゆでた状態100gあたりのトリプトファン量は、おおよそ次の通りです。

  • 大豆(黄大豆・国産・ゆで)……約210mg
  • 枝豆(ゆで)……約150mg
  • あずき(ゆで)……約100mg
  • ひよこ豆(ゆで)……約91mg

特に大豆はたんぱく質も多く、日常的に使いやすい植物性たんぱく質源です。

ただし、「豆類はすべてアミノ酸スコア100」というわけではありません。食品によってアミノ酸の構成は異なるため、豆だけに偏るのではなく、ご飯などの穀類、魚、肉、卵などさまざまな食品と組み合わせて食べるのがおすすめです。

2.40代から気になる食生活にも取り入れやすい

女性は更年期から閉経後にかけて、加齢や女性ホルモンの変化などによってLDLコレステロール値が上昇しやすくなることが知られています。

豆類は食物繊維を含む食品です。

豆類を取り入れた食生活と血中脂質の関係を調べた研究では、LDLコレステロールの低下が認められた報告もあります。

ただし、「豆を食べればLDLコレステロールが下がる」と考えるのではなく、野菜、魚、全粒穀物などと合わせ、食生活全体を整えることが基本です。

なお、豆類の食物繊維は「水溶性食物繊維が豊富」と一括りにすることはできません。

たとえば、ゆでたひよこ豆やあずき、枝豆では、不溶性食物繊維も多く含まれています。

3.トリプトファン以外の栄養素もまとめて摂れる

食品を食べるメリットは、ひとつの栄養素だけを摂るわけではないことです。

豆類には、たんぱく質や食物繊維のほか、カリウム、マグネシウム、鉄などの商品・種類に応じた栄養素が含まれています。

たとえば、ゆであずき100gには鉄1.6mg、カリウム430mgが含まれています。

「トリプトファンだけを摂る」というよりも、さまざまな栄養素を含む食品を毎日の食卓に取り入れる。その積み重ねが、健康的な食生活につながります。

「水煮」「蒸し豆」「冷凍」どう選ぶ?

豆類は、乾燥豆から作ろうとすると、浸水や加熱などに時間がかかります。

そこで便利なのが、市販の加工豆です。

水煮、蒸し豆、ドライパック、冷凍枝豆など、スーパーやコンビニでも手軽に手に入ります。

「蒸し豆が一番栄養価が高い」などと一律に決めるのではなく、料理や食べ方に合わせて使い分けるのがおすすめです。

① 水煮(缶詰・パウチ)

水の中で加熱された豆で、やわらかく、そのまま料理に使いやすいのが特徴です。

水に溶けやすい一部の成分は煮汁へ移ることがありますが、実際の栄養成分は商品や加工方法によって異なります。

スープやカレー、煮込み料理などに便利です。

食塩摂取量が気になる場合は、「食塩無添加」などの商品を選んだり、栄養成分表示で食塩相当量を確認したりするとよいでしょう。

② 蒸し豆

水に浸した状態で煮るのではなく、蒸気などを利用して加熱された商品です。

豆のほくほくした食感や甘みを楽しみやすく、そのままサラダや和え物に使えるのが魅力です。

水煮との栄養価の違いは、豆の種類や製造方法によって異なるため、「蒸し豆ならすべての栄養素が多く残る」とまでは言えません。

手軽さと食べやすさで選びましょう。

③ 冷凍豆・冷凍枝豆

必要な量だけ使いやすいのが冷凍タイプのメリットです。

枝豆なら解凍するだけで食べられる商品も多く、朝食やお弁当、夕食の「あと一品」にも便利です。

商品によって塩分量が違うため、塩分を控えたい場合は原材料表示や栄養成分表示を確認しましょう。

包丁いらずで簡単!ゆで豆&蒸し豆のアレンジレシピ

そのまま使えて下ごしらえの手間が少ない、市販のゆで豆・蒸し豆。

忙しい日でも作りやすい、簡単なアレンジをご紹介します。

①【大豆・ひよこ豆・枝豆】和えるだけ!豆とツナのポン酢あえ

材料(2人分)

  • 大豆やひよこ豆、枝豆(ゆで豆・蒸し豆)……約100g
  • ツナ缶……1缶
  • ポン酢……小さじ2
  • すりごま……大さじ1
  • しそ……お好みで

作り方

ボウルに水気を切った豆、ツナ、ポン酢、すりごまを入れて混ぜます。お好みでしそを加えます。

POINT

ツナにもトリプトファンやたんぱく質が含まれるほか、ビタミンB6も含まれています。

ビタミンB6はアミノ酸代謝に関わる栄養素のひとつです。

「トリプトファンの合成を強力に促す」というより、豆とツナを組み合わせることで、たんぱく質を含む一品として手軽に取り入れられることがメリットです。

②【あずき】蒸しあずきとバナナの甘酒かけ

材料(1人分)

  • バナナ……1本
  • 蒸しあずき(または無糖のゆであずき)……大さじ2
  • 米麹甘酒……小さじ2

作り方

バナナを一口大に切り、あずきと甘酒を加えて和えます。寒い日は軽く温めてもおいしくいただけます。

POINT

無糖のあずきを使えば、あずきそのものの風味や食物繊維を楽しめます。

バナナや甘酒の甘みがあるため、砂糖を加えなくてもデザート感覚で食べやすい一品です。

「これを食べれば快眠」というものではありませんが、朝食や間食の選択肢として取り入れてみましょう。

トリプトファンを意識するなら「朝食」がいい?

「トリプトファンは朝に摂ると、14~16時間後にメラトニンになって眠くなる」と紹介されることがあります。

しかし、人の体内ではそれほど単純に時間を計算できるわけではありません。

トリプトファンはメラトニンの材料になりますが、メラトニン分泌を左右する大きな要素には「光」と「体内時計」があります。

トリプトファンを含む朝食と日中の明るい光を組み合わせた研究では、夜のメラトニン分泌との関連が示されたものもあります。

一方、朝にトリプトファン1,000mgを単独で摂取しても、その日の夜のメラトニン分泌に明確な変化が認められなかった小規模研究もあります。

そのため、「朝に豆を食べれば、夜眠れる」と考えるのではなく、朝食をきちんと食べる、日中は明るい光を浴びる、夜は強い光を避ける、睡眠時間を確保する。こうした生活リズム全体を整えることが大切です。

豆類は、その朝食を充実させる食品のひとつとして活用してみましょう。

食塩摂取量が気になるなら「食塩無添加」も選択肢

加工された豆類には、商品によって食塩が加えられているものがあります。

食塩摂取量が気になる人は、「食塩不使用」「食塩無添加」などの商品を選ぶのもひとつの方法です。

ただし、塩分を控えた豆を食べるだけで「むくみを防げる」とは限りません。

むくみには長時間同じ姿勢でいることや運動不足、薬、病気など、さまざまな原因があります。

「特別な食材」より、毎日続けられるものを

美容や健康を意識すると、「話題のスーパーフード」や特別な栄養素に目が向きがちです。

でも、40代からの食生活こそ大切にしたいのは、無理なく続けられること。

大豆、ひよこ豆、あずき、枝豆は、スーパーでも手に入りやすく、市販のゆで豆や蒸し豆、冷凍食品を使えば調理の手間もほとんどありません。

もちろん、豆を食べるだけで肌が若返ったり、ぐっすり眠れるようになったりするわけではありません。

それでも、たんぱく質や食物繊維を含み、トリプトファンも摂れる豆類は、バランスのよい食事をつくる便利な食品のひとつです。

最近「肌の調子も、眠りもいまひとつ」と感じているなら、特別なものを足す前に、まずは毎日の食事と睡眠を見直してみる。

その一歩として、身近な豆を食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献・資料

  • 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「メラトニン」「眠りのメカニズム」
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
  • 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
  • Oyetakin-White P, et al. Does poor sleep quality affect skin ageing? Clinical and Experimental Dermatology. 2015.
  • Kim MA, et al. A study of skin characteristics with long-term sleep restriction in Korean women in their 40s. Skin Research and Technology. 2020.
  • Sutanto CN, et al. The impact of tryptophan supplementation on sleep quality: a systematic review, meta-analysis, and meta-regression. Nutrition Reviews. 2022.
  • Benton D, et al. Carbohydrate and sleep: An evaluation of putative mechanisms. Frontiers in Nutrition. 2022.
  • Fukushige H, et al. Effects of tryptophan-rich breakfast and light exposure during the daytime on melatonin secretion at night. Journal of Physiological Anthropology. 2014.

※トリプトファンはメラトニンの材料となる必須アミノ酸ですが、トリプトファンを含む特定の食品を食べることで、睡眠改善や肌老化予防の効果が保証されるものではありません。

※睡眠の質や肌の状態には、食事だけでなく、睡眠時間、光環境、紫外線対策、ストレス、運動などさまざまな要因が関わります。

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