同じ製品なのに価格が2倍以上?!【眼科医が警鐘】眼内レンズ製品にまつわる価格の「闇」

同じ製品なのに価格が2倍以上?!【眼科医が警鐘】眼内レンズ製品にまつわる価格の「闇」
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順天堂大学客員教授の眼科医が、1万3000件以上の白内障手術の経験から解説する、白内障手術で後悔しないための「眼内レンズの正しい選び方」。村上 茂樹(むらかみ・しげき)さんの著書『白内障手術で後悔しないために知っておきたい本当のこと』(アスコム)より、内容を一部抜粋して紹介します。

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なぜ、同じ眼内レンズ製品で2倍以上もの徴収金額差が生じるのか?

厚労省の下での保険医療制度の一部である「選定療養」の制度下での日本眼科学学会により定められた多焦点眼内レンズのガイドライン(運用指針)によって、これらの規約が定められているにもかかわらず、眼科施設によって2倍から3倍もの大きな徴収金額差が生じる理由は何でしょうか?一体、何が多焦点眼内レンズの高額な徴収金額に乗っかっているのでしょうか?そこには大きく2つのカラクリと抜け道の「闇」があることが、業界内部の関係者からの情報で指摘されています。

第1の理由:眼内レンズの仕入れ方法の「闇」

業界内部の関係者からの情報では、眼科施設の中には、眼内レンズの納入の際にメーカーなどから直接購入するのではなく、院長の夫人や親族などが経営するメディカル・サービス法人(MS法人)などの「ファミリー企業」を経由して高額な納入価格で眼科施設が購入しているからであると聞いています。つまり、メーカーからまずMS法人が多焦点眼内レンズを安価で購入し、そこに中間マージンと手数料などをのせた高額な納入価格で、MS法人から眼科施設が購入しているというのです。このような方法で、眼内レンズの利幅での利益をMS法人などの「ファミリー企業」に受け取らせた上で、眼科施設が購入した多焦点眼内レンズの高額な金額を記載した納入伝票を添付して、高額な「保険外併用療養費」の届出申請を厚生局に提出している眼科施設が少なくないというのです。そして、患者さん側には高額な「保険外併用医療費」として請求するのが、「闇」の手法のひとつというわけです。

第2の理由:手術に関わる説明手数料などの「闇」

もうひとつの大きな問題は、手術に関わる「説明手数料」などについての「闇」です。眼科医療の現場では、診療の効率面から一般的には医師は患者さんに対して少しの時間だけ説明をして、その他の大半の説明は医療従事者である看護師や視能訓練士などのスタッフが、30~40分をかけて両眼の手術についての説明を行ないます。そこで「説明手数料」は、これらの看護師や視能訓練士などの医療従事者の0.5~1時間分の時給額が換算される根拠になっています。そのため、社会常識的には1000~3000円程度が相当と考えられています。しかし、現実には5000円から2万円前後の請求が大半で、中には5~10万円以上もの非常に高い金額を加算する施設もあるといいます。しかも、両眼の同時期の手術時には「たった一度」の術前説明なのに、「合計で片眼ずつ2度説明した計算」で2度分の説明手数料を加算して患者さんに請求している眼科施設も多いと聞きます。また、手術前後の所定の検査代金についても、同時期の両眼の手術時には、同様に手術前後に「たった各一度」の所定の検査で「両眼の合計4回分の所定検査料を加算」して請求している眼科施設も多いといいます。そして、このような請求手法は眼科業界での慣習としてまかり通っているという実態もあると聞きます。

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このような実態から、多焦点眼内レンズのメーカーの営業担当者の中には、健康保険制度の一部である「選定療養」における多焦点眼内レンズのガイドライン(運用指針)での届出価格についての規約を無視した上で、「多焦点眼内レンズでの保険外併用療養費は、眼科で自由に金額が決められるので、かなり高い金額で厚生局に届け出ても何も言われないので大丈夫」などとして、医師をあおっている営業担当の社員もいるといいます。これは、多焦点眼内レンズでの差額などで眼科サイドに利益が出なければ、多焦点眼内レンズが売れなくなってしまうためです。また、多焦点眼内レンズの手術を行なう眼科医の間でささやかれている風説として、多焦点眼内レンズの選定療養に関するガイドライン(運用指針)で規定された提出価格についての規約は無視した上で「選定療養の多焦点眼内レンズの保険外併用療養費を低い金額で設定してしまうと、手術した患者さんからのクレームがかえって多くなる傾向があり、むしろ高い金額に設定した保険外併用療養費でも支払える患者層の方を手術した方がクレームが非常に少ない」といった話が眼科業界関係者の中で広まっていることを耳にします。

事実、最近の国内の大きな眼科の学会(令和7年の第79回日本臨床眼科学会総会など)のセミナーにおける多焦点眼内レンズの手術に関わる眼科医の講演の中でも、健康保険制度の一部である「選定療養」に関するガイドライン(運用指針)での規約は無視した上で、「選定療養の保険外併用療養費を安い金額で設定してしまうと、安い金額で手術を受けられる患者からのクレームが逆に増えてしまうことが多いため、ある程度高い金額の保険外併用療養費の設定をすることで、その高い金額でも支払える患者層を相手にして手術を行なった方がクレームが少ない」などといった話や、「多焦点眼内レンズは究極の欲望産業である」といった発言をする眼科医もいるほどです。

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また、ある眼科手術医が書いた多焦点眼内レンズに関する本の中には、その眼科医の施設での他院と比べて高額な徴収金額の根拠についての内訳として、驚くことに「医師の技術料の差は当然として、検査機器の差、手術機器の差、行なう検査量の差、施設のある場所代などが他院と比較して高額な理由である」などと、「選定療養」に関するガイドライン(運用指針)での規約を完全に無視した、その独善的な見解を臆することなく述べている眼科医もいます。一方、「保険外併用療養費」の届出書を受け取った各都道府県の厚生局も、「各眼科での保険外併用療養費が、届出額の通りに院内に提示してあるかどうかのチェックをするのみ」と聞きます。このため、各多焦点眼内レンズの本来の納入価格(原価)と徴収金額との差や、同じ製品でのこの大きな金額差について、眼科施設間での比較まではせず、不問としている状態が延々と続いているのが実情となっています。 

このようなさまざまな理由が重なり、保険診療のみで手術が可能な単焦点眼内レンズと、手術に際して「保険外併用療養費」がかかる多焦点眼内レンズとの差額などで利益を出さないために定められている日本眼科学会の『多焦点眼内レンズに係る「選定療養」に関するガイドライン(運用指針)』は、事実上ザルとなり、骨抜きにされている実態があります。このような問題については、多焦点眼内レンズに係るこの「選定療養」の制度が、一般の患者さん方にはわかりにくい内部規約であるがゆえに、その「わかりにくさ」に付け込んでこの制度が悪用されて、他の都道府県においてもかなり多数の個人の眼科施設などで多焦点眼内レンズの不当に高額な「保険外併用療養費」の徴収が行なわれていると疑われる実情があります。本当に残念なことですが、このような制度の悪用などにより「多焦点眼内レンズは儲かるから」などとの理由で、多焦点眼内レンズでの手術を巧妙に勧めたり、ネット広告やSNSなども利用して巧みに誘導したりする眼科施設や医師も少なくないようです。そのため、患者さんにとっては大きな不利益と疑惑を引き起こす、憂慮すべき問題となっています。

『白内障手術で後悔しないために知っておきたい本当のこと』(アスコム)
『白内障手術で後悔しないために知っておきたい本当のこと』(アスコム)
 

この本の著者…村上 茂樹(むらかみ・しげき)

医学博士/順天堂大学客員教授/日本眼科学会認定眼科専門医/国際水素医学学会研究会理事
山口県萩市生まれ。私立 愛光学園中学・高等学校卒業。順天堂大学医学部卒業。同大学院医学研究科博士課程修了(高齢者の失明予防医学を研究)。眼科学会専門医とともに東洋医学会漢方専門医と抗加齢医学会専門医の3冠を有する、史上初の眼科医として、栄養・漢方治療も併せた眼科の統合医療を実施。世界最小でわずか2ミリからの「極小切開法(MICS(ミクス)法)」と最高品質の眼内レンズなどにより、これまで1万3,000例を超える白内障手術を行う。また、県内でも希少な緑内障治療の「選択的レーザー繊維柱帯形成術(SLT)」および、網膜治療の「マルチカラーレーザースキャン法」などによる眼に優しい無痛のレーザー光療法でも2万件以上もの実績を積み重ねている。わかりやすい解説と、堅実な医療、眼科手術が身上。日本眼科学会、日本臨床眼科学会、日本白内障屈折矯正手術学会、日本眼科手術学会など多数の学会で学術講演を行う。海外医学雑誌や日本眼科学会英文機関誌(JJO)などへの英語学術論文の掲載実績ならびに著書も多数。

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『白内障手術で後悔しないために知っておきたい本当のこと』(アスコム)