眼科検査では異常なし。でも見えづらい。急増する『スマホ老眼』の正体とは|医師が解説
「眼科で検査したら“問題なし”って言われたのに、近くがぼやけるんだよなぁ…」そんな声が、この数年で本当に増えました。いま話題になっているのが “スマホ老眼”。 名前のインパクトが強いですが、実際は年齢に関係なく起きます。医師が解説します。
目は悪くないはずなのに…ピントが合わない “あの感じ” の正体
20代でも30代でも、近くを長時間じーっと見る生活をしていると、目のピント調整に関わる筋肉(毛様体筋)が疲れて固まり、老眼に似た“見えづらさ”が出てしまう——これが本質です。
老眼というと「40代以降の話でしょ」と思われがちですが、最近は“使いすぎによるピント機能のヘタり”が若い世代に急増しています。ある意味、スマホがもたらした“現代病”のひとつと言えるかもしれません。
症状が意外とリアル
近くがぼやける、目が重い、夕方になると見づらい
スマホ老眼でよく聞くのは、こんな症状です。
- 近くの文字がやたら読みづらい
- スマホを少し離すと見やすくなる
- 夕方になると一気にピントが甘くなる
- 目の奥がズーンと重い
- 頭痛や肩こりがセットで出ることも
眼科に行くと「視力は問題ありません」「網膜もキレイですよ」と言われることが多い一方、本人は「いやいや、絶対見えづらい」と感じる。
実はこれ、“目の構造”が悪いわけではなく、“目の筋肉の働き”が落ちているのがポイントなんですよね。
ある20代女性のケース
在宅ワークで1日10時間以上パソコンとスマホを見続けていました。夕方になると急に文字がぼやけて、思わず目を細めるクセがついていたそうです。
休憩を増やし、画面との距離を40cm以上に保つようにして数週間過ごすと、「あれ…最近ぼやけないかも」と驚いていました。
つまり、原因は老化ではなく酷使。だからこそ、対策すればちゃんと戻りやすいのがスマホ老眼の特徴です。
スマホ老眼を防ぐ・改善する“目の整え方”
“治す薬”というより、生活習慣をちょっと変えるだけでけっこう改善します。
① 20-20-20ルールを習慣にする
20分画面を見たら、20フィート(約6m)先を20秒見る。目の緊張がゆるんで、毛様体筋がいい感じにリセットされます。
② スマホは顔から30~40cm離す
つい近くで見てしまう人は、腕を伸ばす習慣をつけるだけでも効果大。子どもも大人も距離が近いほど疲れやすくなります。
③ ブルーライトを避けるより、“視線を下げすぎない”が大事
意外かもしれませんが、目の疲れに強く影響するのはブルーライトより“姿勢”。顔を下に向けると目の負担が跳ね上がります。スマホを胸の高さより少し上にする、ノートPCはスタンドで高さを上げるなど、視線の角度をゆるく保つことがポイント。
④ 湿度を保つ・まばたきを意識する
集中するとまばたきの回数が半分以下に。ドライアイになるとピントが乱れやすくなるので、加湿器や人口涙液も有効です。
“目を治す”というより、“目を労わる”。
ほんの少しの積み重ねで、スマホ老眼はちゃんと改善していきます。
まとめ
・眼科で異常なしと言われても、近くがぼやけることはある
・原因は目の筋肉の疲れ。年齢に関係なく起きる
・スマホ・PCの長時間使用が引き金
・画面の距離、姿勢、休憩の入れ方が改善のポイント
“見えづらさ=年齢のせい”ではありません。スマホが手放せない時代だからこそ、目のメンテナンスもセットで考えていきたいですね。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く





