〈お金と不安〉お金では満たせない「渇き」とは?お金を使うとき、私たちは何を得ようとしているのか
社会的に活躍し、経済的にも恵まれているはずなのに、なぜかお金のことで心が揺らぐ——。衝動買いや罪悪感の裏にあるのは、意志の弱さではなく「心のサイン」かもしれません。お金の不安に“寄り添う”専門家・ファイナンシャルセラピストの岸原麻衣さんが、お金の使い方を通して本当の不安を紐解く連載です。
仕事もプライベートもそこそこ満足している。生活に不自由はない。社会的に見ても幸せな毎日を送っているはず。それなのに、なぜだろう。やっぱりなんだか満たされない——。
どんなに欲しかったものを手に入れても、どれほど外見を整えても、満たされないと感じることがあります。それは、私たちが本当に欲しているものが、本来、物質的な豊かさではないからです。
現代を生きる私たちの「渇き」
ひとつは「自己コントロール感」への渇き。仕事ではクライアントの意向に沿い、家庭では誰かのニーズに応える。期待に応え、常に周囲に自分を合わせていると、人生の手綱を自分で握っているという感覚がなくなっていきます。
そんな時、欲しいものをネットでポチッと決済する瞬間だけは、誰もあなたの邪魔をしません。いつからか失っていた「自己コントロール感」を、この時だけは取り戻すことができる。それによって、強烈な高揚感と安心感を得られるのです。
もうひとつは「ケア」への渇き。部下の育成や家族の世話など、他者をケアする立場にあるあなたは、自分自身を誰かにケアしてもらう経験が圧倒的に不足しています。
そんな時、買い物は、手っ取り早く自分を特別扱いするための(疑似的な)セルフケアになります。何もしないよりはマシだけれど、砂漠に水を撒くようなもので、水は瞬時に蒸発して、またすぐに次の「ケア」を求めて買い物のループから抜け出せなくなってしまうのです。
渇きは癒せるのか
自己コントロール感も、ケアも、残念ながら(一部のケアを除いては)お金で買えるものではありません。しかし、この渇きを一時的に潤してくれるのが「物質的な豊かさ」なのです。
では、お金を使わずに渇きを癒すことはできるのでしょうか。私が実践している一つの方法をお伝えします。アファメーション(肯定的な言葉がけ)を日常の習慣に取り入れることです。
夜、鏡の前でメイクを落とす時、あるいはベッドに入って深い呼吸をする時。あなた自身の心と身体に「今日もよくやった」「サバイブしたね」「たくさん働いてくれて、お疲れさま」と、ことばのケアを贈ってみてください。
最初はむずがゆく、過酷な超自我(※ 前回の記事で詳しく書いています)が「そんな甘いこと言ってどうするんだ!」と口を挟むかもしれません。それでも構いません。あなたの声を、あなた自身の心に届ける。主体的に自分をケアすること。その積み重ねが、いつかあなたのお金の使い方をも変えていくはずです。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く



