更年期に〈16時間断食〉はやってもいい?NG? 筋肉を守りたい世代の「やさしい断食」
体重は気になる。けれど、食事を減らすほど疲れやすくなる——そんな変化を感じていませんか。 40代後半から50代は、体重だけでなく、筋肉や回復力もゆらぎやすい時期です。 体重管理の方法として16時間断食(時間制限食)を取り入れる人は増えています。 一方で、更年期の女性では、ただ食べない時間を長くするだけでは整わないこともあります。 筆者も54歳。まさに更年期のただ中で、体の静かな変化を日々感じています。 だからこそ、日本のガイドラインを手がかりに、私たち世代に合う“無理のない断食”の設計を考えてみたいと思います。
筋肉を守るという視点― フレイル・サルコペニア関連ガイドラインから
フレイルやサルコペニアの予防・介入では、適切な栄養摂取と運動が重視されています。
サルコペニア診療ガイドラインでは、適切な栄養摂取、とくに十分なたんぱく質摂取の重要性が示されており、あわせてレジスタンストレーニングを含む運動介入が筋肉の維持・改善に有効とされています。
たんぱく質摂取量の目安としては、高齢者では体重1kgあたり1.0〜1.2g/日がひとつの推奨範囲とされています。更年期以降の世代でも、極端な食事制限でたんぱく質不足にならないよう意識することは大切です。
筋力を維持するためには、たんぱく質を1日数回に分けて摂る工夫も役立ちます。加齢に伴って、食事や運動に対する筋たんぱく合成反応は若年期より弱くなりやすいため、食事回数を極端に減らしすぎないことも一つの工夫になります。
腎臓の視点― 日本腎臓学会のガイドラインより
日本腎臓学会のCKD診療ガイドライン2023では、加齢に伴ってeGFRが低下することがある一方で、それがすべて進行性の腎疾患を意味するわけではないことが示されています。高齢者では、純粋な加齢によるGFR低下が含まれる場合もあり、病的変化との区別が重要です。
ただし、
- 過度な栄養制限
- 脱水状態
- 腎機能に不安がある中での極端な高たんぱく食
などは、体への負担につながる可能性があるため注意が必要です。
健康な方が時間制限食を行うこと自体が、直ちに問題になるわけではありません。
ただし、極端な食事制限や、たんぱく質摂取の設計が不十分なまま続けると、筋肉量や除脂肪体重の低下につながる可能性があります。栄養不足が続くと、体は筋肉を分解してエネルギーを補おうとしやすくなるため、筋肉を守る視点を忘れないことが大切です。
断食を取り入れるなら“設計”が鍵
更年期世代では、次のような設計が安心です。
空腹時間は12〜14時間でも十分
急激な制限を目指すより、まずは緩やかな時間調整から始めるほうが、無理なく続けやすくなります。
1日3回、たんぱく質を分けて摂る
1回に偏らせるより、数回に分けて摂ることで筋合成の刺激を保ちやすくなります。
週2〜3回、筋肉に刺激を入れる
椅子のポーズ、戦士Ⅱ、ブリッジなど、抗重力筋を意識して使うポーズは、筋肉への刺激を保つ一助になります。必要に応じて、スクワットやチューブ運動などのレジスタンス運動を組み合わせるのもよい方法です。
水分をこまめに摂る
脱水予防は腎臓ケアの基本です。断食中は、食事から摂れていた水分が不足しやすくなるため、食べない時間こそ、こまめな水分補給を意識することが大切です。
更年期は「減らす」より「守る」
更年期は、ただ体重を削る時期ではなく、筋肉と機能を守る時期。
疲れやだるさ、気持ちの落ち込みはないか
- 筋肉を守れているか
- 無理なく続けられそうか
そうしたことを指標にしながら、自分の体調に合う方法を選ぶことが大切です。
自分にやさしい選択を、少しずつ。
無理のない形で、整える方向へシフトしていきましょう。
参考文献:
Lowe DA, et al. Effects of Time-Restricted Eating on Weight Loss and Other Metabolic Parameters in Women and Men With Overweight and Obesity. JAMA Intern Med. 2020. PMC
日本老年医学会. フレイル診療ガイド 2018年版. 日本老年医学会
Bauer J, et al. Evidence-Based Recommendations for Optimal Dietary Protein Intake in Older People: A Position Paper From the PROT-AGE Study Group. J Am Med Dir Assoc. 2013. PDF
日本腎臓学会. CKD診療ガイドライン2023. 日本腎臓学会
日本サルコペニア・フレイル学会. サルコペニア診療ガイドライン2017年版(一部改訂). 日本サルコペニア・フレイル学会
AUTHOR
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く




