完璧主義が朝活失敗のもと?「できなくて当然」から始める、挫折しない朝時間のつくり方|専門家に聞く
朝活を始めたいと思っても、「早起きが続かない」「つい夜更かししてしまう」という悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。前編では「タイムコーディネート」の考え方について伺いましたが、後編では朝の時間を無理なく確保するための具体的な工夫に迫ります。睡眠時間の確保、タスクの整理、SNSとの付き合い方——『24時間が変わる朝の30分 「時間がない!」から「余裕のある毎日」へ』(大和書房)著者の吉武麻子さんが語る、完璧を目指さず「自分に優しく」続けるコツとは。
朝時間を持つために必要なこと
——朝活が思うようにできない方に共通することはありますか?
よくお伺いすることが、寝る時間がバラバラということです。起きる時間を決めたなら、寝る時間も睡眠時間をしっかり取れるよう固定させることが重要です。
——起床時間・就寝時間はなるべく毎日同じ時間にしたほうがいいのでしょうか。
そうですね、毎日時間がバラバラですとリズムが崩れますし、「明日何時に起きるんだっけ」と決める必要が出てきてしまいます。平日は毎日同じでも、週末は疲れをとるために長く寝るという方もいらっしゃると思うのですが、生活リズムを崩さないためにも、平日と休日のズレは2時間程度までにしていただいた方がいいかと思います。時間の使い方に向き合うとき、睡眠時間を削りたくなるのはよくあることですが、寝るのが遅い中で朝活を続けるというのは、体力的にもなかなか厳しいと思いますし、結果的にパフォーマンスも落ちてしまう。必要な睡眠時間は人それぞれ違いますが、一般的には7時間~8時間と言われています。睡眠時間を確保できる時間の使い方を考えることを勧めています。
——朝の時間を確保するためには、夜の時間の工夫が必要なのですね。
寝る時間が決まると、夕方までにやること、お昼までにやっておくこと……と逆算でやることが見えてきます。したいことが溢れ出てしまうときは、タスクが多すぎるということなので、整理することも必要になるでしょう。ただ、現実的にどうしてもタスクを減らせないこともありますよね。そういうときは、寝る時間が遅くなって、思ったような時間に起きられないという状況になるかもしれません。その場合は、朝に30分時間をとるのが難しければ、15分や10分でもいいので、自分のための時間を持つと、朝の充実度は変わってきます。
シフト制のお仕事のように、日々不規則なスケジュールで生活している方は、たとえば早番の日と遅番の日とで、それぞれ時間を決めておくとか、ご飯の時間をだいたい固定にしておくとかすると、整いやすくなります。
——早く寝るために……と思って逆算すると、夕方頃からせかせかした気持ちになってしまいます。タスクを詰め込みすぎなのでしょうか。
まずはやることを書き出して、本当にやらなければいけないことなのか整理をしてみてください。「時間がない」とは、24時間という時間の箱が決まっている中で、やれること以上のタスクを詰め込んでいることが大きな要因です。どうして詰め込んでしまうのかというと、1つ1つの見積もり時間と実績の時間にギャップがある、つまり見積もりが甘いということです。見積もり時間と実績時間を記録してみて、「こんなに見積もりが甘かったから詰め込んでしまうんだ」と納得できると、両者のギャップが縮んでいきます。
——早く終わって時間が空くともったいない気がしてしまい、常に少し多めのタスクを詰め込んでしまうところがあります。
そういう方は結構いらっしゃいます。ですが「あれもこれも」と詰め込み、詰め込んだ分だけ価値があるという感覚でいると、後で疲れてしまいます。疲れてしまうと、だらだらする時間も増えて、結局寝るのが遅くなってしまうなんてことも。なので、今日必ずやるべきことを3つに絞って、あとは「時間ができたらこれをやりたい」というリストを別枠で持っておくことを提案しています。
——朝に自分の時間を持ち続けるために、やらない方がいいことはありますか?
朝起きてすぐにSNSを見てしまうと、自分の時間が持てなくなってしまいます。情報を浴びるだけであっという間に時間が過ぎますよね。いかにSNSを遠ざける環境にするかが非常に重要です。たとえば、スマホ自体を寝室から遠ざけられるなら望ましいですが、多くの方はアラームとして使っているのでなかなか難しいですよね。私の苦肉の策としては、顔認証にせず入力型にして、とにかく「面倒くさい」をつくりました。
やりたくないことに関しては「面倒くさい」を間に挟んでいくこと、逆にやりたいことに関しては面倒くささを省いていくことがポイントです。SNSを見ないためには、どうしたらSNSを見ない自分になれるかという環境づくりが非常に重要です。逆にやりたいこととしては、自分が朝起きてどう時間を使うのかを、前日の夜までに決めていると、何をするか悩んで時間が過ぎるということがなくなります。
時には飲み会など、夜に約束が入ることもあると思います。完璧主義になって「1日できなかったからダメだ」と思うのではなく、夜遅くなってしまったときの翌日は少し緩めるなど、長く続けるための方法を考えていただくといいですね。
「自分に優しく」しよう
——とはいえ、やはり予定通りにできなかったときは落ち込んでしまう人もいると思います。うまくできなかったときは、どう捉えていくといいのでしょうか。
完璧主義な方は自分への期待値が高いことが多いです。それ自体は向上心があることなので、悪いことではありません。ただその分、できなかったときの落差が大きいんです。基本的に人間は「つい楽をしたくなる怠け者」だと私は思っています。
だからこそ私自身も「怠け者が朝をうまく活用するには、どうやったらできるかな」という視点で考えています。最初からうまくいく前提にしないほうが、できたときの喜びも感じやすくなります。予定通りにできないことは、ある意味普通です。そう捉えるだけでも、自分への期待値という点で少し楽になれるのではないでしょうか。完璧主義な人は、もっとできる人を見て「自分なんてまだまだ」と思いながら目標を高く設定してしまいがちです。
ですが、他人がどうとかを一旦抜きにし、「人間は放っておくとつい楽なほうに流れる」くらいに想定してみてください。その上で、そんな自分でも自然にできるようにするにはどうすればいいかなと、少し視点を変えていただくだけで気持ち的に余裕も生まれるのではないでしょうか。
真面目な人はしっかりやろうとしてしまうのですが、その真面目さが時には自分を苦しめてしまいます。「自分に優しくする」ということを少し意識していただくと良いかと思います。
——「頑張りたい」と思っているときに、自分の中の「怠けたい気持ち」は見たくないものでもあると思います。吉武さんは自分自身の「怠けたい」という気持ちにどうやって気づかれたのでしょうか。
忙しい日々の中で、いかに楽しく時間を過ごすか、何のために人生を生きるのかと向き合ったときに、「色々とやることを抱えているんだから、怠けたくなる日があるのも当然だよな」と思うようになりました。でもそういう自分を受け入れた方が楽ですし、周りも肩の力が抜けると思うんです。
リーダーができる姿ばかり見せていると、「失敗できない」と周囲も苦しくなってしまいますが、リーダーができない姿も見せると、チームがうまく回ることがありますよね。できないことを踏まえたうえで、別の策を考えていった方が結果的には長く続くと思います。「完璧にやらなきゃ」という思いで長く続けられている人は、自分を律する力が本当に強いと思うのですが、少数派ではないでしょうか。
——自立心の強い人と自分を比べて苦しくなってしまったことはありますか?
ありました。自分より勉強ができる子や習い事を継続できる子などと自分を比べて「自分にはそこまでのものがない」と思いながら過ごしてきたのですが、ふと、人と比べても何にもならないということに気づいたんです。
仕事の関係で韓国で生活していたとき、色々な国の人と接する機会がありました。その中で印象的だったのが、やるべきことや目標も達成しながら、日々の楽しいことも大事にしている方にたくさん出会いました。「ウサギとカメ」のカメのように、瞬発力はなくても着々と前に進むことができればいいと思うようになったんです。同時に、日本人はいい意味でも悪い意味でも、抱え込みやすい人が多いとも感じました。真面目で責任感があって、家族思いで……とそれは素敵なことです。でも、もう少し肩の力を抜いていいよね、という感覚を持ちました。
決められたことをしっかりと守るのは得意な一方で、予定通りにいかなくなったときの臨機応変な対応に苦手意識を持つ人も多い。時間の使い方も同じで、ガチガチに固めすぎると、少し崩れただけで動けなくなってしまうんですよね。だから私は、やることの大枠だけは決めつつも、毎日細かくは決めすぎないようにしています。絶対に守るべき締切などは守りながら、誰かに迷惑をかけない自分との約束事は少しハードルを下げておく。そうすることで、状況に合わせて調整しやすくなり、結果的に長く続けられると感じています。
【プロフィール】
吉武麻子(よしたけ・あさこ)
TIME COORDINATE株式会社代表取締役。
キャリアとライフイベントの狭間で葛藤した経験から、疲弊せずに毎日を楽しみながら仕事のパフォーマンスもあげていく「タイムコーディネート術」を考案し、のべ4000名以上に指南。
著書に『目標や夢が達成できる 1年・1カ月・1週間・1日の時間術』や、『無駄をスッキリさせて、人生の質を高める 時間デトックス』がある。
その他、シリーズ180万部発行の『時短・効率化の前に今さら聞けない時間の超基本』の監修や、タイムコーディネート手帳の製作販売、企業研修、時間の専門家として各種メディアにて掲載・連載執筆を行っている。プライベートでは2児の母。
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