【Voicyで人気・尾石晴さんに聞く】起業・子育て・大学院…やりたいことの時間を増やすための工夫


福岡を拠点に、オンラインヨガやヨガスタジオの運営、女性の健康促進のためのアイテムの販売を行っている(株)POSPAM代表の尾石晴さん。Voicyのパーソナリティや執筆活動でもご活躍中で、2024年には『からまる毎日のほぐし方』(扶桑社)を上梓しています。加えて、小学生のお子さんが2人いて、子育て中でありながらも、大学院の博士課程でオンラインコミュニティに関する研究も行っているとのことです。尾石さんに、やりたいことをやるための生活の工夫について伺いました。
「嫌な時間」を減らして、自分のやりたいことの時間を増やす
——ご自身の事業があり、大学院にも通われていて、かつ子育て中と、お忙しいと存じます。ある1日の流れを教えていただけますか。
4時半から5時頃に起床し、5時半からオンラインで30分のヨガのレッスンを行っています。レッスン終了後、家事をして、7時過ぎには家を出る子どもたちを見送り、ランニングや犬の散歩を30分ほどしています。
8時前には必ず仕事を開始していて、大学院に行ったり、スタジオに行ったり、原稿執筆をしたり。子どもたちが16時頃に帰宅しますので、家事をしたり子どもとの時間を過ごしたりして、21時には寝ています。
——読書好きとのことですが、どうやって時間を作っているのでしょうか。
Kindleでは、スマホとiPadを連携させているのでスキマ時間に読んだり、家事をしながら読み上げ機能を使ったりしています。
子どもたちが夕飯を食べ終わったら宿題を始めるのですが、うちはリビング学習をしているので、子どもたちの隣で、子どもの質問に答えつつ、本を読んでいることが多いです。
——時間の作り方でどんな工夫をされていますか?
時間は24時間平等にあるものです。自分のやりたいことの時間を増やすためには、何かを減らすしかない。私は自分にとって嫌な時間を減らすよう考えてきました。
私は買い物に行くのが嫌いなので、全部宅配や通販で済ませるようにしていて、かつ買うものを選ぶこと自体も好きじゃないので、定期便を利用して同じものが届くようにしています。
——決められた材料の中で献立を考えているのでしょうか?
そうですね。かつ調理器具も電気調理鍋とオーブンしか使わないという縛りを設けていて、火の前に立っていなければいけない時間をなくしています。キッチンにいる時間をできるだけ短くしたくて。
「果物やお刺身はどうするんですか」とよく聞かれるのですが、果物は日持ちしないものは届いてすぐに食べればいいですし、日持ちするものは1週間ごとでも問題なく食べられています。お刺身はお寿司が食べたいのであれば、外食に行けばいいですし、冷凍で品質の良いお刺身もあるので、困ったことはないですね。
1週間で色々な組み合わせで食材を減らしていき、冷蔵庫を空にして次の配達を迎えるという流れが、私はパズルみたいで楽しく感じるので続けられていますが、こういう工程が苦手だったり、料理が好きで長くキッチンにいたい方は向いてないと思います。
——逆に世間的には「時短術」として広がっているものの、尾石さんが時間をかけていることはありますか?
洗濯物を干したり畳んだりするのは好きですね。ドラム式洗濯乾燥機は持っているのですが、乾燥機能は使わなくなってしまって。自分が面白いと思う家事までは無理に削ることはなくて、本当に嫌なことを減らしていくと、時間を作りやすいと思います。
かつては時間がなくて悩んでいた
——これまでに『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』(実業之日本社)という本も書かれていますが「時間の使い方」について、どんな悩みがあったのでしょうか。
元々はフルタイムの会社員で、外資系の企業に勤めていたのですが、一番時間がなくて大変だったのは第一子を産んだ頃です。11年前の当時は、まだ時短勤務の制度もなく、男性で育休を取る人もいなく、女性は出産を機に退職する人も多い中、育休を取って戻ったので、部署に育休明けの社員が私しかいなかったんです。
そういう環境下で、朝7時に家を出て保育園に預け、18時には仕事を終え、延長保育を使って19時に迎えに行き、21時までには子どもを寝かせる生活をしていました。仕事は中途半端、子どもと向き合う時間もなく、家事はどんどん溜まっていき、睡眠時間も少なくなる……という時間に追われる生活を送っていました。
その結果、夫婦仲が悪くなって。夫は朝7時に家を出て、23時に帰宅といった激務の会社で働いていたのですが、私だって仕事も大事にしたいのに、なんで夫ばかり好きに残業しているんだろうとイライラして、離婚するか会社を辞めるしかないかも……というところまで追い詰められました。でも会社を変えられるわけでも、夫の労働時間を変えられるわけでもないので、私の時間の使い方を見直すしかないという結論に至って。
そこからは、1日で最も長く使ってる仕事の時間をまずは見直しました。やらなくてもいいことを見つけていくことに集中した結果、持ち帰り残業を減らすことができました。同じように家庭内でも、「やった方がいいものの、やらなくていいこと」を見つけて減らしていったので、時間を作れるようになったという経緯です。
——本書でも、やらなきゃいけないことを優先しがちなことに触れていましたが、やらなきゃいけないことをやめるためにはどんな視点が必要でしょうか。
「やらなきゃいけないこと」は、実際はやらなくてもなんとかなるものの、本人が「やらなきゃいけない」と思っているケースがたくさんあると思うんです。「毎日料理を作らないと」「ここの掃除は毎日しないと」など。
「やらないと」と思っていることを集めていくと、やりたいことに使える時間はなくなってしまいます。だから時間がないときこそ、「これは本当にやらなきゃいけないのか」という視点で見直す必要があると思っています。
一番大事なのは「やらなきゃいけないと思っている『やりたくないこと』」を見つけること。たとえば仕事で、毎日会議の報告書を書かなければいけないと思っていても、今の時代は文字起こしアプリで録音して、AIに要約してもらうという方法もある。自由に使える時間を増やすために代替できる方法がないか、見直していくことが重要だと思うんです。自分の好き嫌いを理解していることで、「やらなきゃいけないと思っているやりたくないこと」を見つけることができるのではないかと考えています。
——一緒に暮らしている家族がいるなど、他者が絡むことですと、やらなきゃいけないこととやりたいことの線引きが難しいこともあると思ったのですが、尾石さんはどう掘り下げていますか?
たとえば、うちは息子がサッカーをやっているのですが、息子がサッカーしているのを見るのは好きなのですが、仕事を中断して、車を出して送り迎えをするという時間がもったいなくて、送迎は嫌なんです。だから私にとって息子のサッカーの送迎は「やらなきゃいけないこと」になってしまいます。
でも子どものやりたいことはやらせてあげたいわけで。そこで、うちの場合はクラブチームには入れずに、サッカースクールに入れました。サッカースクールだとコーチが送迎してくれるからです。子どもにとってはサッカーができればいいので、クラブチームである必要はない。こういったふうに「やらなきゃいけない」と思っていることは、意外と手放す方法があるんです。
——お子さんのやりたいことを応援しつつも、親の生活も尊重する選択を取ることは大切だと感じました。
「やらなきゃいけないこと」は意外と社会的な思い込みの側面もあると思うんです。「子どものやりたいことは絶対に応援してあげなきゃいけない」「母親だからこういうことをやらなきゃいけない」など。
「やらなきゃいけない」と思っている部分がありつつも、「やりたいこと」なら続けていいと思うのですが、本当はやりたくないのであれば、一度疑って別の方法を探してみるのもいいと思いますし、状況によっては子どものやりたいことを応援するのが難しいこともあると思うので、その習い事を諦めてもらうという選択をとることもあってもいいと思います。
※後編に続きます。

【プロフィール】
尾石晴(おいし・はる)
Voicyパーソナリティ(株)POSPAM代表。外資系メーカーに16年勤務し、長時間労働が当たり前の中、子持ち管理職として、分解思考で時間を捻出。会社員時代にブログや音声メディア「Voicy」などの発信を始め、2020年に独立。現在は、ヨガスタジオ「ポスパム」主宰、母と子のシェアコスメ「soin(ソワン)」開発などに従事。Voicyでは6400万回再生超えを記録し、トップパーソナリティとして活躍中。著書に『自分らしく生きている人の学びの引き出し術』『「40歳の壁」をスルッと越える人生戦略』など多数。
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