「書くこと」で得られる心理的なメリットとは?「ジャーナリング」の具体的な取り組み方
「頭の中がぐるぐるする」「なんとなくモヤモヤする」など、はっきりした原因はわからないけれど、心や身体がなんだかしんどいときにおすすめなのが「ジャーナリング」と呼ばれる方法。頭や心にぎゅうぎゅうと押し込まれた気持ちを「書く」というシンプルな方法で解きほぐし、様々な効果をもたらします。今回は「書くこと」で得られる心理的なメリットと「ジャーナリング」の具体的な取り組み方について紹介します。
「書くこと」で得られる心理的なメリット
ネガティブな気持ちを軽減できる
「書くこと」には、ネガティブな気持ちを和らげる効果があると報告されています。私たちはときに「過去の失敗」や「将来の不安」にとらわれ、心がネガティブでいっぱいになることがあります。しかし、書く作業に集中することで意識が「今」に向き、過去や未来の不安と適度な距離を取ることができます。
また、心の中に漠然と抱えていた不安を書き出すことで、「思っていたより大したことではない」「そこまで絶望的な状況ではない」と捉え直せることがあります。このように、不安を言語化することがネガティブな気持ちの軽減につながります。
自己理解が進む
私たちは、仕事や家事など日々のタスクをこなすことに精一杯で、「もっと〇〇したい」という本当の気持ちを後回しにしてしまいがちです。
そんなとき、抑え込んでいた気持ちを「書くこと」を通して言語化してみると、「私は本当はこう感じていたのか」「今の自分に必要なのは〇〇かもしれない」など、自分への理解がぐっと深まります。書くことで、自分の気づかなかった本音や、人生をよりよくするためのヒントに出会える可能性があるのです。
考え方のクセがわかる
人は誰しも、特有の「考え方のクセ」を持っています。
たとえば、上司から「今日は頑張っているね」と声をかけられたとき、
A.「褒められた!」とポジティブに受け取って喜ぶ
B.「これまでは頑張っていないと思われていたのかも…」とネガティブに捉えて落ち込む
といったように、同じ出来事でも、考え方のクセによって受け止め方は大きく変わります。もし、Bの考え方がクセになると心が疲れやすくなるかもしれません。
自分の思考や感情を思うままに書き出し、客観的に眺めてみると、「私はいつもこう考えて苦しくなっているな」と気づくことができます。その気づきが、苦しくなる思考パターンを見直し、改善していくきっかけになります。
もっと心理的メリットが得られる書き方「ジャーナリング」とは?
ジャーナリングとは、テーマについて頭に思い浮かんだことをそのまま書き出していく方法です。ここでは、効果を高めるポイントを紹介します。
テーマに沿って書き続ける
ここまで読んで、「書くことのメリットはわかったけれど、何を書けばいいのかな」と迷う人もいるかもしれません。
そんなときは、次のようなテーマから選んで書いてみるのがおすすめです。
【テーマ例】
・自分とは何か
・嬉しかった出来事
・幸せを感じる瞬間
・不安に思っていること
・感謝したいこと
・本当はやりたいと思っていること
・今の自分に必要だと感じるもの
・なぜか捨てられないもの
これらのテーマから書きやすそうなものを選び、1日5〜15分程を目安として時間を設定して、ジャーナリングに取り組んでみましょう。
リラックスできる環境で取り組む
騒がしい場所では、周囲が気になって、自分の思考や感情を見つめる余裕が損なわれてしまうかもしれません。ジャーナリングに取り組むときは、邪魔の入らない静かな場所・落ち着く場所を選びましょう。
頭に浮かんだことをそのまま書く
「正しい文章で書こう」「こんな文章じゃ恥ずかしい」などと気負わず、頭に浮かんだ言葉をそのまま紙に書き出していきます。まとまらない文章になったり、流れが急に変わったりしても問題ありません。誤字や脱字なども気にしなくてOK。思考が自由に出てくるのを認めてあげることで、自分の本当の気持ちを掴みやすくなります。
書いたものを読み返す
書き終えたら、少し時間と距離を置いて読み返してみましょう。
すると、「このことがずっと心にひっかかっていたんだな」「私は同じ悩みにとらわれているな」「実はこんな風に感じていたのか」など、意外な発見や気持ちの変化に気づけることがあります。
こうした振り返りのプロセスは、自己理解をさらに深める大切なステップになります。
おわりに
「書くこと」はとてもシンプルですが、自分の気持ちや考え方の理解・整理に役立ちます。特別な道具も技術もいらず、思い立ったそのときにすぐ始められる気軽さも魅力です。
忙しかったり、ストレスでいっぱいになったりしがちな毎日だからこそ、ほんの数分でも「書く時間」をつくることは、自分を大切にすることにつながります。
今日の自分のために、そして明日の自分が少し楽になれるように、日々のなかにジャーナリングを取り入れてみてくださいね。
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