痩せていても安心できない。〈隠れ糖尿病〉が20〜30代女性にも増えている背景とは?医師が解説
「糖尿病って、太ってる人がなる病気でしょ?」こう思っている20〜30代の女性は、正直まだまだ多い気がします。でも、最近の医療現場ではちょっと違う声が増えてきています。医師が解説します。
「痩せてるから大丈夫」…は、もう通用しない時代に
「BMIは20前後で、むしろ細いのに血糖値が高い」
「会社の健康診断でHbA1cだけ引っかかった」
こんな“痩せ型の糖代謝異常”が、本当に増えているんです。
特に20〜30代女性。
ストレス・不規則な生活・朝食抜き・低栄養・無理なダイエット…こうした生活スタイルが積もり積もって、身体が静かに悲鳴を上げはじめます。
糖尿病って、本当は“血液の病気”じゃなくて、「糖を使う力」=代謝のトラブルなんですよね。だから、太っているかどうかよりも、以下のような内容のほうが、実はずっと影響します。
・生活リズムが崩れていないか
・食事バランスがごちゃごちゃになってないか
・ストレスでホルモンが乱れていないか
“隠れ糖尿病”は、症状がほぼ出ません。
のどが渇く、トイレが増える、だるい…なんて気づく頃には、すでに上級ステージ。
痩せていても油断は禁物なんです。
なぜ“痩せているのに血糖値が高くなる”のか? その背景
「え、太ってないのに糖尿病?」
そう思うのは普通ですが、実は理由はシンプルです。
①「筋肉不足タイプ」が実はかなり多い
筋肉は“糖を受け取る倉庫”みたいなもの。
とくに女性は筋肉量が少ないので、糖が血液中をうろうろしやすい。
痩せた女性の中には、体重は軽いけど、筋肉が少なく脂肪は意外と多い“隠れ肥満”も少なくありません。
これは、代謝の観点からすると糖尿病のリスクは普通に高い。
②ダイエットによる“ホルモンの乱れ”
極端な食事制限で、インスリン(血糖を下げるホルモン)の働きがガタガタになることも。
食事を抜く→次の食事で血糖値が急上昇→すい臓が疲れる
…この繰り返しは、若くても案外ダメージが大きい。
③ストレスと睡眠不足が、地味に血糖値を壊す
ストレスホルモン(コルチゾール)は血糖を上げる作用があります。
忙しい20〜30代は、これにかなり影響されやすい。
「残業続きでコンビニ飯」「寝不足」「週末は寝だめ」
……こんな生活を続けるほど、徐々に血糖のコントロールが効かなくなるんです。
④生理・妊娠・産後など、女性特有の変化も影響
女性は人生の中でホルモンが大きく変わるタイミングが多いので、
血糖値の乱れも実は起きやすい。“痩せ型の妊娠糖尿病”も珍しくありません。
▼こんなサインは“隠れ糖尿病”の可能性あり
- 食後だけやたら眠くなる
- ときどき強い倦怠感
- 朝起きても疲れが残っている
- イライラしやすい
- 甘いものが無性に欲しくなる
一見「ただの疲れ」に見えるんですが、血糖が乱れてる人によくあります。
まとめ:痩せ型こそ、血糖のチェックを日常に
「痩せてるから糖尿病とは無縁」、これはもう昔の話になりつつあります。
特に20〜30代女性の“隠れ糖尿病”は、生活のクセ・ホルモンの変化・筋肉不足が重なって起こる静かなトラブル。
ただし、良いニュースもあります。
血糖は“生活”に最も反応しやすい指標だから、ちょっと暮らし方を変えるだけで改善もしやすいんです。
今日からできる、小さな対策はこれだけ
- 食事を抜かない(朝食は特に大事)
- タンパク質を意識的に増やす
- 無理なダイエットをやめる
- 週2〜3回でいいので軽い筋トレ
- 7時間前後は寝る
- ストレスの逃げ道をつくる
- 年1回の健康診断で“HbA1c”を必ずチェック
どれも当たり前のようですが、これを続けるだけで「将来の自分」がかなり助かります。
痩せていても、血糖は乱れる。むしろストレスが多い現代では、若い女性がリスクを抱えやすい。
だからこそ、「痩せてる=健康」ではなく、「代謝が整っている=健康」へ。
自分の身体の声を、今日から少しだけ聞いてあげてください。
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