「水を飲んでもスッキリしない」「何度も水を飲みたくなる」糖尿病の初期サインかも?医師が解説
暑い日や運動の後にのどが渇いたとき、「いくら水を飲んでも口の渇きが取れない」「何度も水を飲みたくなる」といった状態が続く場合、体の代謝に関わる病気のサインかもしれません。医師が解説します。
「水を飲んでもスッキリしない」糖尿病の初期サインかも?
体の代謝に関わる病気のひとつが糖尿病です。
糖尿病というと、「甘いものを食べすぎた人がなる病気」というイメージを持つ人もいますが、実際には食生活だけが原因ではありません。
遺伝や加齢、運動不足、ストレスなど複数の要因が絡み合って発症します。
そして、初期の糖尿病は、痛みや目立った不調がないため、気づかないまま進行することが多いのです。
糖尿病になると、なぜ「水を飲んでも渇きが取れない」のでしょうか?
これは血糖値の上昇と密接に関係しています。
1. 高血糖が引き起こす口渇
血糖値が高い状態が続くと、血液中の糖を薄めるために体は水分を必要とします。
その結果、脳が「もっと水を飲め」という指令を出し、のどの渇きを強く感じます。
いくら飲んでもスッキリしないのは、単純に水分不足ではなく、血糖値の異常が原因だからです。
2. 頻尿との関係
高血糖の状態では、腎臓が余分な糖を尿として排出しようとします。
これが頻尿の原因となり、そのたびに体から水分が失われます。
結果として、さらに強い口渇を感じ、また水を飲むというサイクルが生まれます。
3. 他にもある初期症状
糖尿病の初期には、口渇や頻尿のほかにも、次のようなサインが現れることがあります。
- 急な体重減少
- 疲れやすさ、倦怠感
- 目のかすみ
これらは血糖コントロールがうまくいっていないことを示すサインであり、早期発見が非常に重要です。
「水を飲んでもスッキリしない」ときの対処法とは?
のどの渇きが続くからといって、すぐに糖尿病と決めつける必要はありません。
しかし、数日~数週間にわたって症状が続く場合や、頻尿や体重減少など他の症状も伴う場合は、できるだけ早く医療機関で検査を受けましょう。
1. まずは受診して血糖値をチェック
糖尿病の診断は、血液検査や尿検査で血糖値やHbA1c(過去1〜2か月間の血糖の平均値)を測定することで行います。
特に、空腹時血糖が126mg/dL以上、または随時血糖が200mg/dL以上の場合は糖尿病が強く疑われます。
2. 生活習慣の見直し
食事
白米やパンなどの精製された炭水化物を減らし、野菜やたんぱく質をバランス良く摂る。
運動
有酸素運動(ウォーキングやサイクリング)を1日20〜30分、週5日を目安にしましょう。
睡眠
睡眠不足はインスリンの働きを悪化させるため、6〜8時間の質の良い睡眠を心がけましょう。
3. 水分のとり方にも注意
糖尿病が疑われる場合、砂糖入り飲料やスポーツドリンクは避けましょう。これらは血糖値を急上昇させ、症状を悪化させます。
水や無糖のお茶が基本です。
4. 早期発見・早期治療のメリット
糖尿病は放置すると、網膜症、腎症、神経障害といった合併症を引き起こします。
しかし、初期の段階で適切に管理すれば、健康な人と変わらない生活を送ることも可能です。
まとめ
「水を飲んでもスッキリしない」という症状は、軽く見られがちですが、糖尿病をはじめとする代謝性の病気が隠れている場合があります。
特に、頻尿や体重の変化、疲れやすさが同時に見られる場合は注意が必要です。
早めに血糖値を測り、必要に応じて医師の指導を受けることで、病気の進行を防ぐことができます。
水分補給は大切ですが、「なぜこんなにのどが渇くのか?」という体からのメッセージに耳を傾けることが、健康を守る第一歩です。
今回の記事が参考になれば幸いです。
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