【玉ねぎ】時間を置くことで増える?玉ねぎのアリシンの力を最大限に引き出す食べ方|管理栄養士が解説
玉ねぎを切ると感じる独特の香りの正体は「アリシン」という成分です。アリシンは、玉ねぎを切った直後よりも、少し時間を置くことで増えるといわれています。血流を促す働きなど、健康面で注目されるアリシンは、ちょっとした調理の工夫で効率よく摂取できます。今回は、アリシンの特徴や調理のポイントを解説します。
玉ねぎに含まれる「アリシン」とは?
玉ねぎを切ると、辛味や香りのもととなる硫黄化合物「アリシン」が生成されます。具体的には、玉ねぎに含まれる「アリイン」が酵素である「アリイナーゼ」の作用を受けて「アリシン」へ変化するというメカニズムです。アリシンは、血流を良くする作用があるとされています。血栓による脳や心臓の病気予防への可能性も研究されています。
玉ねぎのアリシンは時間が経つと増える?
アリシンは、玉ねぎを切った直後よりも、少し時間を置いた方が増えるといわれている成分です。切ってから時間を置くことで、酵素反応が進み、アリシンの生成が促される可能性が期待できます。そのため、玉ねぎはスライスやみじん切り後、10〜15分ほど放置してから食べるのがおすすめです。
アリシンを効率良く摂取するための調理のポイント
アリシンの効果を効率良く得る方法は、「時間を置いてから食べる」だけではありません。ここでは、簡単にできる調理のポイントを解説します。
①加熱を控え水にさらしすぎない
アリシンは熱を加えると減少するとされています。そのため、加熱するよりも生で食べるのが良いでしょう。また、アリシンは水に溶け出る性質があります。水に浸す時間が長いと、アリシンだけでなく玉ねぎに含まれるビタミンB6やビタミンCなども一緒に流出するため、長時間の浸水は避けましょう。
②ビタミンB1を多く含む食材と一緒に摂る
玉ねぎを食べる際は、ビタミンB1を多く含む豚肉と一緒に食べるのがおすすめです。ビタミンB1は疲労回復をサポートする効果がある栄養素です。玉ねぎに含まれるアリシンは、ビタミンB1の吸収率を高める働きが期待できます。
玉ねぎを生で食べる場合は、繊維に対して垂直に切りましょう。その後、15分ほど空気にさらすと辛みが抑えられます。水に浸すのに比べて、栄養成分の流出を防げるのもポイントです。なお、アリシンは刺激性のある成分でもあるため、胃腸の弱い方や小さなお子さまは、玉ねぎの食べすぎに注意しましょう。
切り方や食べ方を工夫して、アリシンの力を最大限に引き出そう
玉ねぎのアリシンは、切ってから少し時間を置くと生成が進むとされています。生食や少し置いてからの調理、ビタミンB1と組み合わせるなどの工夫で、日々の健康維持に役立てましょう。豚肉料理で玉ねぎを使う際は、最後にサッと加える程度にし、玉ねぎの香りとシャキッとした食感を楽しみましょう。
【参考文献】
日本植物生理学会「タマネギ | みんなのひろば 」
独立行政法人農畜産業振興機構「疲労回復に効果的! 柔らかくて甘い“新たまねぎ”」「連載>国際果実野菜年2021特集コーナー ~四季の野菜と健康」
ライター/管理栄養士 山田佳奈子
約8年間、保育園にて乳幼児向けの献立作成・給食調理・栄養相談に従事する。なかでも食育活動に注力し、0歳から5歳の発達段階に応じた指導を通じて「食を楽しく学ぶ」環境の創出に貢献。アトピーや運動誘発性小麦アレルギーの経験を通じて、からだと食の関係性に強い関心を抱く。現在は執筆活動を主軸に、食と健康に関する情報を発信している。
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