「食べすぎると中毒を起こす?」ぎんなんを食べない方がいい人の特徴とは|管理栄養士が解説
秋に旬を迎えるぎんなんは、10月に最も流通量が多く、店頭にも多く並びます。新鮮なぎんなんは苦味が少なく、風味も豊かで、季節ならではの味わいが楽しめます。 秋になると、つい手に取りたくなるぎんなんですが、「食べすぎると中毒を起こす」と聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。 今回は、「1日何個まで?」という摂取量の目安や、ぎんなんの摂取を控えたほうがよい人の特徴について、わかりやすく解説します。
健康への影響
ぎんなん中毒
秋に美味しいぎんなんですが、「大人は40粒、子どもは7粒まで」という目安を耳にしたことはありませんか? 実際のところ、一度に大量に食べると、中毒を起こすおそれがあります。
主な中毒症状
嘔吐、下痢、腹痛、錯乱、けいれんなどが現れることがあり、摂取後1〜12時間で発症することがあります。重篤な場合には意識を失うケースもあります。
注意したいポイント!
ぎんなんに含まれる毒成分は、比較的熱に強く完全にとり除くことはできません。内閣府食品安全委員会は「未熟で未調理のイチョウの実は毒性が強く、摂取すべきではない」また、「調理されたぎんなんであっても、(特に子ども)は1日あたり数個にとどめるべき」と注意を呼びかけています。そのため、体にやさしい範囲で、1日数粒を目安に季節の風味を味わうのがおすすめです。
ぎんなんを控えたほうがよい人
乳幼児
子どもは特にぎんなん中毒にかかりやすく、注意が必要です。5歳以下では、わずか6〜7粒の摂取でけいれんを起こしたケースが報告されており、日本中毒情報センターも「小さな子どもにはぎんなんを食べさせないようにしましょう」と呼びかけています。さらに、窒息や誤嚥の事故を防ぐため、消費者庁でも「豆やナッツ類など、硬くてかみ砕く必要のある食品は5歳以下の子どもには食べさせないでください」と注意喚起しています。こうした理由から、5歳以下のお子さまにはぎんなんを控えることが望ましいです。
偏食傾向のある人や食事を抜く習慣がある人
ぎんなんの中毒症状は、成分の一部、4’-メトキシピリドキシンがビタミンB6の働きを阻害することなどによって起こります。ビタミンB6が不足すると、神経伝達物質GABAの生成が十分に行えず、けいれんや嘔吐などの症状が起こりやすくなります。大人であっても、偏食傾向の方や食事を抜く習慣があり、ビタミンB6を多く含む食材の摂取が日頃から不足している方は、ぎんなんの摂取を控えたほうが安心です。また、高齢者や健康状態が優れない方もより注意が必要です。
ぎんなんのおすすめの食べ方
手軽に楽しみたい時には、電子レンジでの調理がおすすめ
1. ぎんなんの殻にペンチなどでひびを入れ、封筒や紙袋に入れ、口を数回折り曲げて閉じる。
2. 600Wの電子レンジで約1分間、様子を見ながら加熱する。
3. 2〜3粒が「パンッ」とはじける音がしたら、食べごろ。
※ペンチがない場合には、電子レンジにかけてから、麺棒やすりこぎなどでたたくと割れやすくなります。
シンプルに塩をひと振りして食べるのがおすすめです。新鮮な黄緑色のぎんなんは苦味が気にならず風味豊かで食べやすく、もちっとした食感も楽しめます。苦手な方もぜひ一度試してみてくださいね。冷凍保存も可能です。ラップに小分けにくるみ、チャック付き保存袋に入れて冷凍庫へ。食べるときは冷凍のまま、炒めものや茶わん蒸しなどに加えると、料理に秋の風味がプラスされます。
まとめ
秋に美味しく旬を迎えるぎんなんですが、食べる量によっては重篤な症状を引き起こす場合があります。ぎんなんにはビタミンCやカリウムなどの栄養素も含まれており、美容効果や血圧を下げる健康効果が期待される一方で、大量に食べると中毒症状により、かえって体調を悪化させるおそれがあります。ぎんなんは加熱調理をして、1日数個を目安に楽しむのが安心です。体調の良い時に、季節の味覚として少しずつ味わうことが大切です。
<参考文献>
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