「身体に良いと思ってた…」全粒粉を食べない方がいい人の特徴【管理栄養士が解説】
最近、いつ全粒粉を食べましたか?「全粒粉って何?」、「気づかずに食べていた」、「身体に良いからよく食べる」など、全粒粉の認識は人それぞれだと思います。全粒粉は、例えば一部のパン・パスタ・健康志向のスイーツなどに使用されています。商品名に「全粒粉○○」「全粒粉入」など表記されていることも多いです。 これらの食品を選ぶ理由として「おいしい」だけでなく「全粒粉は身体に良いから」と選ばれる方もいます。実際に、全粒粉には身体に必要な栄養成分が含まれます。しかし、実は食べない方がいい人がいることはあまり知られていません。今回は全粒粉の摂取に注意したい人について解説します。
全粒粉と小麦粉の栄養の違い
全粒粉とは、小麦の表皮(ふすま,ブランともいいます)・胚芽・胚乳のすべてをまるごと粉にしたものです。通常の小麦粉は、小麦の胚乳部のみを粉にしたものをいい、小麦の粒の硬さにより、強力粉・中力粉・薄力粉が作られています。
それぞれ主な栄養成分を以下に示します。
・胚乳(小麦粉・全粒粉)…炭水化物、たんぱく質
・胚芽(全粒粉)…食物繊維、ビタミンE
・表皮(全粒粉)…食物繊維
全粒粉には小麦粉と比べて、食物繊維やビタミンEが豊富に含まれるため、小麦粉よりも健康的な食品として認識されています。
どんな人に注意が必要?
小麦アレルギーやグルテン不耐がある人
全粒粉と小麦粉の原材料は同じ小麦です。そのため小麦アレルギーやグルテン不耐のある方は、控える必要があります。
貧血がある人
全粒粉には鉄分が豊富に含まれますが、フィチン酸といい鉄分の吸収を阻害する成分も含まれます。
そのため、貧血があるときは他の食品からの鉄分の吸収に影響しないよう、全粒粉の摂取は控える方がいいでしょう。もしくは他の食品に影響を与えない食間(間食)での摂取がオススメです。
お腹を下しやすい・胃腸の調子が悪い人
栄養素や成分による違いはありますが、食物は口→胃→小腸→大腸で消化されます。胃腸の調子が悪いときは胃の蠕動運動が低下し、食べ物が停滞することにより胃もたれする場合があります。
また、全粒粉に含まれる食物繊維は不溶性の食物繊維が中心で、繊維が硬く消化に負担がかかります。腸の粘膜が敏感なときは、食物繊維が腹痛や下痢を誘発し、消化に負担がかかる可能性があります。
消化機能が未熟な子供
消化機能が未熟なお子さんにとって、食物繊維が多い全粒粉は消化に負担がかかる場合があります。消化の状態に応じて、全粒粉ではなく小麦粉で作られている食品を選択することがオススメです。
早食いの人
早食いの方は、唾液での消化が不十分な状態で食物が胃に送られます。元々食物繊維は唾液で消化されませんが、他の成分も十分に消化できないまま、胃や腸に送られるため、負担がかかりやすくなります。
全粒粉を食べるときのポイント
上記の項目に当てはまる方は、全粒粉の摂取に注意は必要ですが、アレルギーやグルテン不耐がある場合を除き、全く食べてはいけないというわけではありません。食物繊維は日本人が不足しがちな栄養素の1つです。全粒粉から補うことはできるため、体調や消化の機能に応じて調整しましょう。
食べる際のポイントは3つ、「量や頻度を調整する」「しっかり噛む」「鉄の吸収に影響する食品や食べ方の組み合わせを意識する」ことです。
全粒粉は主食からスイーツまで幅広い食品に取り入れられ、さまざまな場所で販売されています。ぜひ、お気に入りの食品を見つけてみてください。
【参考】
・食品成分表2024
・日本人の食事摂取基準2025
・食べ物と健康Ⅱ(化学同人)
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