意外と知らない…「生魚」と「焼き魚」栄養価が高いのはどっち?管理栄養士が解説

意外と知らない…「生魚」と「焼き魚」栄養価が高いのはどっち?管理栄養士が解説
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本格的に寒くなり始めるこの季節、脂の乗った魚も旬で手に入りやすくなります。魚を食べる方法として大きく分けると「生」で食べるか「加熱」して食べるかの2択に分かれますが、どちらが効率よく栄養を摂れるのでしょうか?この記事では生魚と焼き魚、煮魚どれがメリットがあるのかを管理栄養士が解説します。

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魚に脂がのり、おいしくなる季節

秋冬は海水温がゆっくりと下がり始め、さんまやさばなどの回遊魚は南下や産卵のために移動を始める時期です。移動前・移動中の魚は体力を蓄えるため脂が乗り、旨みや栄養価も高まります。また川では鮭の遡上も始まるため、魚全体がおいしくなる季節といえます。

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生魚の特徴

生魚は加熱していないため、栄養素をそのまま摂れる点が大きな魅力です。特に青魚に多く含まれるDHA・EPAといった不飽和脂肪酸は熱に弱く、刺身で食べる方が効率よく摂取できます。また、加熱で壊れやすいビタミンB群も保持されます。

一方で、生魚は傷みやすく、寄生虫や食中毒のリスクがあります。特にアニサキスなど誤って食べると体へのダメージが大きい寄生虫もあるため、妊娠中の方や高齢者、免疫力が落ちている方は注意が必要です。

焼き魚の特徴

焼き魚は加熱することで寄生虫や食中毒のリスクを減らし、安全に食べられる点が大きなメリットです。一方で青魚に豊富に含まれるDHA・EPAと呼ばれる脂質は、加熱により流出しやすいと言われています。また、焼くことで消化がしにくくなることも分かっています。

どちらを選ぶべき?

栄養素を効率よく摂るなら「生魚」がおすすめです。焼き魚は加熱により食中毒のリスクを減らせる点がメリットです。免疫力が弱い方や妊婦など、食中毒の罹患によりダメージを大きく受ける方は「焼き魚」を取り入れることが安心です。

消化の良さで選ぶなら「煮魚」がおすすめ

魚料理の中でも、最も消化に負担をかけない食べ方は「煮魚」と言われています。加熱することでたんぱく質が変性し、生魚よりも消化が良くなります。さらに、煮汁ごといただける鍋やスープにすれば、加熱によって溶け出したDHA・EPAや水溶性ビタミンも無駄なく摂取できます。白身魚のように脂質が少なく淡白な魚は鍋物やスープにぴったりです。一方で、青魚は煮付けにすることで臭みがやわらぎ、食べやすくなるのもメリットです。体調が優れないときや胃腸にやさしい食事を心がけたいときには、煮魚がおすすめです。

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まとめ

鮮度が良い物が手に入るなら「生魚」がおすすめですが、高齢者や妊婦など安全性が必要となる方には焼き魚で食べるのがおすすめです。
生と焼きの両方をバランスよく取り入れ、旬の魚を楽しみながら体調やライフスタイルに合わせて取り入れてみましょう。

【参考文献】

日本脂質栄養学会 - 調理による変化

魚食と健康(最終).ppt

サンマのEPA・DHA保持率に及ぼす加熱調理の影響

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