【大根おろし】場所とおろしかたで味と効果が変わる？！知っておくとお得なおろし方とは？栄養士が解説

大根おろしは皮ごとおろすのが正解

大根はすりおろして細胞が傷つけられることで辛み成分のイソチアシアネートが活性化し、特有の辛味が生まれます。イソチオシアネートには炎症を抑える働きや、活性酸素を除去して老化を防止する抗酸化作用など、すりおろすことでしか得られない力を発揮します。大根は通常皮をむいて使いますが、皮の付近にビタミンCが豊富に含まれるので、捨ててしまうのはもったいない。皮だけだとスジっぽく食べにくさが残りますが、すりおろすことで繊維が気にならず大根の風味や辛みを存分に楽しめます。イソチオシアネートは揮発性の成分なのですりおろしてから時間がたつとどんどん蒸発して量が減ってしまいます。すりおろしてから15分経過すると量が半減すると言われているので、「皮ごとおろしたて」を食べるのが大根おろしの栄養を漏れなく摂る方法です。

大根おろしは場所とおろしかたで味が変わる

大根おろしはピリッとした辛みがおいしさの一つですが、中には辛みが苦手という方も。大根の実は先端に向かうにつれて辛みが増していくので、甘みのある大根おろしが好きな方は葉に近い部分を。辛みが好きなかたは下部を使うと辛味を調節できます。またすりおろし方でも辛みを調節することが可能です。縦にすりおろすと繊維が壊れやすくなるので辛みが強く、ゆっくり「の」の字を書くようにくるくる回すと甘みが強くなります。

大根おろしは消化を助けるスーパー食材

焼き魚、とんかつ、お餅など重たい食べ物をさっぱりさせてくれる大根おろしは和食には欠かせません。大根には脂質を分解する酵素リパーゼや、消化を促す酵素ジアスターゼなどが豊富に含まれ、重たい食べものの消化を助けて胃の健康を守る働きがあるためです。しかしこれらの酵素は非常に熱に弱く50〜70℃で効果が半減してしまうため、生で食べられて消化の負担が少ない大根おろしが最強というわけです。年末に向けてイベントや外食が続く季節に積極的に取り入れたい食材です。

大根は捨てるところなし！皮から葉までまるごと食べよう

大根の葉

大根の葉は豊富なビタミンを含むことから緑黄色野菜に分類されます。実はビタミンやミネラルは実よりも葉に詰まっています。目や皮膚の健康に欠かせないビタミンAや、不足しがちなビタミンCやカルシウムも豊富に含みます。その量は同じ緑黄色野菜のほうれん草より5倍も多く含まれています。買ってきたらすぐに根と葉を切り分けると大根の葉が根の栄養を吸収してしまうのを防ぎ、栄養が抜けてしまうのを防ぎます。

大根の皮

大根の皮にはビタミンCが豊富に含まれます。ビタミンCは根の外側と葉に送られるため、実の部分より皮付近に豊富に含まれます。皮はスジっぽいのでむいて捨ててしまうことが多いのですが、皮ごとすりおろす他、細く切ってきんぴらや浅漬けにすると実よりポリポリとした食感を楽しめます。

大根の実

大根の実は大きく分けて上部、中部、下部の３つに分けられます。部位によって味と食感に違いがあるので料理や好みによって使い分けましょう。

上部：水分が多くみずみずしくて甘みが強い部位です。辛みが少なく生でも食べやすいのでサラダに向いています。辛みの強い大根おろしが苦手な方は上部がおすすめです。

中部：中部は甘みと辛みのバランスが良く、水分も多く含むので加熱調理に向いています。大根の定番料理であるおでんやブリ大根などの煮物によく使われます。硬さも程よくあるので煮ても型崩れしにくく見た目もきれいな仕上がりになります。

下部：辛みが強くスジっぽさが残るので薄く切って漬物にしたり、辛みの効いた大根おろしが好きな方におすすめの部位です。

〈参考文献〉

その調理、9割の栄養捨ててます！｜世界文化社